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韓国ヘア? “日本ヘア”でしょ! 〜JAPAN HAIRの定義をつくる会〜【ABA Vol.4】
日本でも流行中の「韓国ヘア」といえばどんなヘアか、おおよそイメージできる人が多いと思いますが、「日本ヘア」はイメージできるでしょうか?
多様化している日本のヘアスタイルは定義がつくりにくいことを理由に、自国のヘアスタイルの定義なきままに海外交流やセミナーを行ってきた側面もあるのではないでしょうか?
Asia Beauty Academy(ABA)では昨日9月15日に、
「韓国ヘア? JAPAN HAIRでしょ」
のテーマで、「日本の美容師が培ってきた JAPAN HAIRの定義とは何か?」をオンラインでセッションしました。
アフターコロナに日本美容が国の重要な輸出産業となることを願い、JAPAN HAIRのアイデンティティを再定義。ヘアスタイルに宿る日本人の美意識について、議論が白熱しました!
ASIA BEAUTY ACADEMY (アジアビューティーアカデミー/通称ABA)は2015年、アジアの 黒髪美容文化を発展させるために設立されました。
⇨正会員&講師情報はコチラから
議論の発端となった“韓国ヘア”、“日本ヘア”とどう違う?
そもそもこの議論は「日本でも韓国ヘアが流行しているよね?」そんな投げかけから始まりました。
反響が大きく追加注文が多かった月刊BOB2021年8月号「韓国ヘアの技術帖」特集。
韓国ヘアが日本でも集客につながっている理由について、若い女性だけではなく、大人のお客さまに韓国ヘアを上手に提案しているサロンも増えており、日本人のニーズにフィットした提案を行っているサロンがリピートにつながっているとBOB編集部は分析しています。
日本文化のひとつになりつつある韓国ヘアを一言で言うのであれば、
・ヘアの特徴がわかりやすい
・ネーミングの付け方がうまい
・拡散力をベースとしたビジネス展開がうまい
などが挙げられます。
月刊BOB2021年8月号の特集「韓国ヘアの技術帖」はこちらから!
韓国ヘアもいいけど、日本ヘアのイイとこ挙げてみました!
ABAではまず、日本人のための日本美容師がつくるヘアスタイルの特徴をピックアップ。
ヘアカラーでは、ブリーチ技術の向上、薬剤の進化により、繊細でまろやかなヘアカラーやペールトーンを表現しやすくなったこと、カットとヘアカラーが連動して考えられていることなどが挙げられました。
【日本ならではのヘアカラーとは?】
●ブリーチ技術の向上
・単色でカラーしていた20年前に比べ、ここ10年でブリーチ技術が飛躍的に向上
・バレイヤージュなど海外から入ってきた技術も日本独自の進化を遂げてきた
・白髪に対してのカラーリングも繊細な塗り分けにより、日本独自に進化している
・ブリーチ施術は時間がかかるが、人時生産性を上げる工夫もサロンの現場で進化している
●繊細でまろやかな多色づかい
・ブラウンの範囲での提案幅が広い
・ピンクやまろやかベージュなど色彩の表現幅が繊細
・アジア人は欧米よりダメージしやすかったり断毛しやすかったりしたが、ダメージに配慮した薬剤やメニューが増えたことで艶カラーが叶うように
・褪色を楽しむ過程もセットで提案
・日差しが1年中強い国は繊細な色の見せ方はあまり考えられていないが、季節に合わせて、光に対してどのような見え方をするのを考えたカラー提案を行っているのは、四季がある日本ならでは

ABA Createsのヘアスタイル、月刊BOB誌面より構成
●カットとカラーが連動して考えられている
・カットデザインありきでトレンドスタイルにシンプルに落とし込むのが早い。たとえば、バレイヤージュ輸入時はロングのブラントヘアに行うのが主流だったが、ウルフなどのレイヤーカットにもバレイヤージュを進化させて対応できた
・レイヤーの重なりによって積み重ねるシャドウルーツなど、髪の重なりに対しての色の見え方について、カットと連動して考えるのが上手い
日本ヘアは“優しさ”でできていた
【日本ならではのカットとは?】
●オートクチュールな1点モノ
・その人らしさがJAPAN HAIRの魅力ではないか?
・ヘアスタイルの定義よりも、どれだけその人に似合わせられるかが強みであり、パーソナルな対応が上手い
・誰もが同じヘアなのではなく、生活の中でどう見えるかが考え尽くされたヘアデザイン
・顔立ちに合わせて計算された位置に髪を落とすことができ、ロジックにそれを説明できる

ABA Creatersのヘアスタイル、月刊BOB誌面より構成
●「普遍的なフォルム」と「くずし」
・ベーシックがあるから、毛先や細部の「くずし」がキマる
・ネープやもみあげの細部にわたる繊細なディテールをつくることができる
・切るところだけでなく、「残す髪」が考え抜かれている

ABA Creatersのヘアスタイル、月刊BOB誌面より構成
●仕上がりを想定したカット
・削ぐことによるダメージを考慮したカットを行っている
・高いケア意識。ケアなど日常生活も踏まえたカット
【日本ならではのパーマとは?】
●カットベースが第一!
・ワインディングが同じでもカットの仕方で何十パターンもつくれるようなパーマデザインの考え方がある
・ダメージヘアに対してケミカルをしっかり学んで、それをサロンの現場で活かしている
・島国のため、中国人や韓国人よりも髪が弱い。高い薬剤知識とケミカル知識が求められるため、アジア人の毛髪コントロールができるのは日本の美容師だけではないか
日本ヘアとは“和食”である
アジア諸国の中でも扱いにくい日本人の髪に対し、上述の日本らしいヘアデザインがなぜ生まれたのか? ABA 土屋サトル(MINX)副理事長はこう語ります。
土屋サトル副理事長
「日本人がこのようなヘアにたどり着いたか? それは島国の風土だと思います。文化は風土に根ざすと言います。
髪が乾燥する時期、湿気でまとまらない時期、気候の影響を受けにくい時期、日本には大きく分けて3つの特徴的な気候があります。
扱いずらさのある日本人の髪を扱いやすくできるか? 先人たちの工夫が、繊細でこだわりの深い日本人らしいヘアを培ってきました。
ABAではアジアのみならず、欧米にも日本の美容はいいね! と話題になるような提案をしていきたいと考えています。目の前のお客さまを美しくしながら、アジアの美容師さんにカットのロジックを伝え、間接的にアジアの女性たちを美しくしていく活動をしていきたいと考えています」
JAPAN HAIRのキーワード
・“優しい”パーソナル対応
・“普遍的なフォルム”と“くずし”
・“繊細さ”と“やわらかさ”
・スピードと再現性
・四季に映える“多色づかい”
「JAPAN HAIRとは“和食”ではないか?」
そうまとめたのはABA 理事長の渡邉弘幸さん(uka)。
素材を大事にする。
仕事が丁寧。
ヘアデザインの価値が考えられている。
素材ごとの良さを最大限に活かし、腕で勝負する「和食ヘア」の考え方をベースに、ABAではJAPAN HAIRの定義を今後も議論していきます。
日本のイイとこを褒めたたえるだけでは終わらない
「韓国ヘア? JAPAN HAIRでしょ」のテーマで、日本の美容師が培ってきた JAPAN HAIRの定義とは何か? をセッションしたABA座談会。
ヘアスタイルに宿る日本人の美意識が浮き彫りになりましたが、JAPAN HAIRのいいところを褒めたたえるだけで終わってしまっては意味がありません!
ABAでは、2022年春に向け、ABAが考えるJAPAN HAIRをわかりやすいキーワードとビジュアルで展開していきます。
そして、JAPAN HAIRはABAのものだけではなく、日本の美容業界全体でシェアして、深めて、進化させていく。そんな活動を通して、アジアの黒髪文化を創造していく考えです。
ABA(アジアビューティーアカデミー)とは?
ASIA BEAUTY ACADEMY (アジアビューティーアカデミー)通称ABA(エービーエー)は、2015年に日本の13サロンが集結し、アジアの黒髪美容文化の発展を目的とし設立しました。
これまで開催してきたセミナーは日本だけでなく、中国、台湾、韓国、タイなど数々のアジア諸国。国内外の数多くの美容師に向け、セミナーを開催しています。
Asia Beauty Academy or ABA is a collective of 13 Japanese hair salons founded in 2015 to develop the Asian black hair beauty culture.
We have been doing many hair seminars in Japan and overseas(China,Taiwan,Korea,Thailand, etc…).
亚洲美容学院(ABA)于2015年在日本经营13家沙龙为了亚洲的黑发美容文化发展而设立。到目前为止,我们为许多日本和海外的美发师举办了培训课。
아시아뷰티아카데미, 통칭 ABA는 2015년 일본의 살롱 13곳이 결집해 아시아의 흑발 미용문화의 발전을 목적으로 설립되었습니다. 지금까지 국내외 여러 미용사분들을 대상으로 세미나를 개최해왔습니다.