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東京23区内いちばん人口が少ない区で成長し続ける美容室が22年間欠かさなかったこと【キャリア育成編】

 

東京23区内でいちばん人口が少ない区、千代田区で22年間右肩上がりで成長し続けている美容室・H&M Difference Engine(ディファレンスエンジン)。

 

【イベント編(前編)】で紹介した「人と違うことをやる」ユニークな活動のベースとなるスタッフ育成はどうなっているのでしょうか?

東京23区内いちばん人口が少ない区で成長し続ける美容室が22年間欠かさなかったこと【〜イベント編〜】

【キャリア育成編(後編)】では、仕事以外のライフステージにおける経験にも価値があると捉え、女性美容師のキャリア育成や、男性美容師の育休を推進してきた同社の教育・キャリアプランをレポートします。

 

 

目指すはトリプルライセンス100%

現在、すべてのスタッフにトリプルライセンスを推進しています。

たとえば、

1)美容師免許

2)着付け師範

3)着付け高等師範

と美容業に特化したライセンスはもちろん、

漢字検定や英語検定、色彩検定、簿記検定などでもOK。

 

中には6つ以上のライセンスを持つアシスタントが3名もいました!

 

上野さん(アシスタント1年目)

1)MSOJメイクアップ技能検定試験3級
2)JNECネイリスト技能検定試験3級
3)日本エチケットプロトコール協会初級エチケットプロトコール
4)普通自動車第一種運転免許(AT限定)
5)特待生六段(習字)
6)珠算検定試験 準初段
7)暗算検定試験 2級
その他、さまざまなジャンルのディプロマ(着付け振り袖科、新井会ディプロマ、ヴィザジズム、そろばん、習字等)も取得

 

大久保さん(アシスタント2年目)

1)美容師免許
2)JNAジェルネイル検定
3)情報処理検定3級
4)全商簿記実務検定3級
5)秘書実務検定3級
6)手話検定5級

 

坂元さん(アシスタント2年目)

1)ネイリスト技能検定試験3級
2)日本エステティック協会
3)メイク検定2級
4)電卓計算能力検定6段
5)簿記能力検定3級
6)文書処理能力検定ワープロ3級
7)文書処理能力検定表計算3級

 

自身も「美容師」「理容師」「ヘアケアマイスター」とトリプルライセンスを持つ設立者の伊藤さんにトリプルライセンスの理由を尋ねると、ここでもやはりポイントは「人と差がつけられること」だそう。

 

同社のクレドにもなっている「違いを生み出す」ことがすべての原点となっているようです。

 

 

 

2つの道を選べるキャリアプラン

 

 

Difference Engine(ディファレンスエンジン)のキャリアプランは大きく分けて2つ。

 

「あなたにとって、得意なことで能力を伸ばしてほしい」というオーナーの伊藤さんの考えに基づき、

・マネジメントキャリア

・スタイリストエキスパートキャリア

の2つの道を選ぶことができます。

 

年齢とともにサロンの運営に軸足を置く働き方にシフトしていくマネジメントキャリアの道に進む人もいれば、

出産を経て、家庭との両立を重視した働き方をしたい女性美容師もいます。

 

特に女性美容師の働き方は結婚相手や家庭の状況、子供の年齢によって変化していくものと捉え、定期的に面談を行い、1人ひとりに合わせた働き方を尊重してきました。

 

現在、育休1名、子育て中のママ美容師が2名。

ママ美容師には「ワークライフバランス型スタイリスト」を選ぶ人もいれば、出産後もとのポジションに戻ってバリバリ働く道を選ぶ人も。

 

幹部を目指すママ美容師にとっても、スタッフ育成は重要な仕事の1つ。

サロンワーク以外の時間が取りにくいママ美容師が自分のことだけにならないよう、ミーティングやレッスン参加も仕組み化し、随時更新しています。

 

 

ランクごとに6つの項目で昇格基準を明確に

各役職の昇格基準は以下の通り。

 

●店長⇨マネージャーへ昇格

・新規事業を1つ以上立ち上げる

 

●スタイリスト(1〜5年)⇨店長へ昇格

・半年間ごとに算出する、平均指名売上が常に100万円以上

・店舗ブランディングを実行

 

●ジュニアスタイリスト(0〜3年目)⇨スタイリストへ昇格

・メンズ及びレディースモデルどちらも規定人数達成

・スタイリスト試験に合格

 

●アシスタント(0〜3年目)⇨ジュニアスタイリストへ昇格

・全カリキュラム修了

・メンズまたはレディースモデルどちらかの規定人数達成

 

上記の基本の昇格基準の他、以下の6つの項目において役職ごとにクリアすべき課題をつくり、成長過程に合わせて目標設定を行なっています。

 

1)技術:常に成長・進化

2)教育・求人:自己プロデュースと夢の明確化

3)宣伝・販促:こだわりを具現化し、妥協せずに伝える

4)人間力:思いやり・尊重・礼儀が生むチームワーク

5)モチベーション:ビジョン共育・成長の実感

6)環境整備:コミュニケーション重視・清潔で快適な空間による幸せな時間

 

 

家庭も仕事もバリバリこなすママ美容師がいた!

入社して15年のeida 店長・伊藤友美子さんは出産後、2カ月で復帰。

現在、4歳と6歳の男の子を育てながら顧客を担当し、スタッフ教育はもちろん、個々のスタッフの数字戦略も練っているそうです。

 

産前産後で約1年の取得が可能であるのにもかかわらず、2カ月で復帰した理由は、ともかく早く仕事に戻りたかったから。

 

伊藤友美子さん
伊藤友美子さん
勤務店舗の近くに住み、自宅とサロンを行ったり来たり・・・。店長として元のポジションに戻ることができた以上、「子育てを理由にできないことを減らしたい」という店長としての責任と、何より「この仕事が大好き」であることが原動力です。

 

美容師さんは女性が多いため、お互いの生き方に共感して良い美容師人生を送ってもらえるように顧問の女性税理士と雇用形態を相談しながら、本人の希望をできる限り叶えられるよう会社として取り組んでいると言います。

 

 

 

 

取得してわかった!「プラスしかない」男性美容師の育児休暇

 

統括マネージャーの高橋祐司さんは生後5カ月のお子さんの育児協力のため、今年8月、10日間の育休を取得しました。

 

育休を取得しようと考えたのは、「男性スタッフで育休を取得する美容師の前例をつくれたら・・・」という事例づくりが挑戦のきっかけ。

 

実際に育休を取得してみて、想像以上に「取得してイイことしかなかった」と高橋さんは言います。

 

高橋さん:

「育休を取得すると決めて、1カ月くらい前からお客さまにアナウンスしました。

育休を通してお客さまと育児の話ができるようになったり、スタッフへの感謝やお互いの理解が深まったりとイイことだらけでしたね」

 

普段から全員接客を基本にしていることが、育休中のスムースな引き継ぎにつながったと言います。

さらに育児を通して、子育て中のお客さまへの提案幅も広がったとか!?

 

高橋さん:

「育児中のお客さまは短い方が楽だなとか、赤ちゃんが髪を触ったりするからスタイリング剤はつけられないなとか・・・。

育児に向き合う時間をつくったことで、お客さまへ還元できることが広がりました」

 

 

こんな風に新しい挑戦や反省を繰り返し、事例をつくり続ける Difference Engine(ディファレンスエンジン)。

自サロンだけじゃなく、新しい取り組みを通して見えてきたことをこれからは美容業界全体でシェアしていきたいと言います。

 

業態変革のカギとなるのは、ユニークな発想でどんどん新しいことに挑戦する姿勢。

「違いを生み出す」ことから始めた取り組みが、数年後、美容業界の新スタンダードになっているかもしれません。

 

 

 

 

 

 

H&M Difference Engine(ディファレンスエンジン)

 

伊藤秀一/いとうひでかず

1971年8月29日生まれ。東京都出身。東京総合美容専門学校、理容科&美容科卒業。実家が理容室を経営しており、理容師の道へ。さらに美容室1店舗を経て、10年の実務経験の後、1999年6月9日、ディファレンスエンジンを設立。現在はマネジメントとプレスを兼任。設立日が「ロックの日(6月9日)」であることからもわかるように大の音楽好き。

 

統括マネージャー 高橋祐司/たかはしゆうじ

1986年8月23日生まれ。国際文化理容美容専門学校卒業後、ディファレンスエンジン入社。水道橋店の店長、molocoの店長を経て、2019年より統括マネージャー。

 

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