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美容師勤続10年目のリアル★期待とプレッシャーを楽しく乗り越える! 正反対同期女子の成長譚

企業規模10人以上の美容室に勤める美容師の平均年齢は31.2歳、平均勤続年数は6.5年と言われています(令和元年 賃金構造基本統計調査/厚生労働省より)。

キャリアを積んだのち独立する人だけでなく、近年はフリーランスという働き方も一般化してきたため、この数字だけから人材が定着しないことを一概に悲観することはないかもしれませんが……。心身の不調やライフステージの変化など、さまざまな理由で、美容師の道そのものを諦める人は非常に多いのが現状で、美容業は企業サロンの平均年齢も勤続年数も、いずれも他業種に比べて低いと言われています。

経営の道に進んだり、フリーランスとして活躍したりするのも素敵ですが、仲間と働き続けるのも同じくらい価値があることのはず。美容師免許という国家資格を有し、専門的な知識や技術を持っているからこそ、会社員としても幸せになる道がもっと充実してほしいなと思うのです。

そこで今回、2人の10年目美容師にインタビューすることに。悩んだことや頑張ったことなど、等身大の働き方や成長を感じてもらえたらと思います。また、美容室経営者にとっても、入ってきてくれたスタッフを活躍させるための環境づくりについて考えるきっかけになれば幸いです。

取材した人

埼玉県を中心に美容室、写真館、ペットサロンなど多様な業態で多数店舗展開するBeautissimo[ビューティシモ]でトップの売り上げを誇る2人にインタビューしました。

Photo by Nakamura Munenori

左/落合彩香[おちあい・さやか]さん
1990年9月21日生まれ。東京ビューティーアート卒業。新卒でビューティシモに入社し、現在川越店副店長。

右/永井優衣[ながい・ゆい]さん
1990年11月7日生まれ。専門学校エビスビューティカレッジ卒業。新卒でビューティシモに入社し、現在川越店トップスタイリスト。

サロンワークはワンオペ! アシスタントを使わず月間100万円を売り上げる

――2人とも川越店勤務なんですね。スタッフ構成はどのような感じですか?

落合さん
落合さん
スタイリスト4名で、アシスタントはいません

――10店舗以上あると、新入社員を全店に配属させるのは難しい時代ですからね。ということはみなさんワンオペでサロンワークをされていると。

永井さん
永井さん
そうですね、シャンプーなど、自分のお客さまは自分でで完結します。それぞれ手が空いたときにお互いのサポートをする感じで回していますね

――お二人は売り上げが社内トップだとうかがったんですが、それぞれ月間どのくらい売り上げておられますか?

落合さん
落合さん
私はこれまでの最高売上は月間115万円くらい……、平均すると100万円前後です
永井さん
永井さん
私は最高だと、月間売上127万円です。平均して90〜100万円で推移しています

――アシスタントを使わずに100万円以上の売り上げを上げられるのはすごいです。入社10年でどんな風に力をつけていったのかお聞きしていきたいです。

頭脳派とヒラメキ派…… 正反対の幼なじみコンビの切磋琢磨

――そもそもお二人は同期入社なんですよね。出身も埼玉県ですか?

落合さん
落合さん
そうです。私たち、地元も一緒なんですよ。学生時代陸上部に入っていて、試合などで顔を合わせていて知っていたんです。
入社式で会ってびっくりしました! お互いに美容師になると知らなかったですし、それぞれ違う専門学校に行っていましたので

――それは心強いですね! 同期がいるだけで心強いところはありますもんね

落合さん
落合さん
アシスタント時代は店舗が違ったこともあり、一緒に休みを取って遊んだりしていましたね。今は同じ店舗だから休みは合わせられないけどね
永井さん
永井さん
でも、一緒に研修旅行でパリに連れて行ってもらったりしたよね。社長(鈴木勝裕さん)には、結構セットで扱われることが多い気がする(笑)
落合さん
落合さん
そうね(笑)。それによって切磋琢磨し、成長できていると感じてます。実際、性格とか真逆なんですよ。私は行動する前にめちゃくちゃ考えるタイプで。カットとかも決まった形を切るのは得意だけど、フリースタイルが苦手で。だから、デビューまではスムーズだったんですが、デビューしてからの自己プロデュース的な部分でつまづきました
永井さん
永井さん
私はひらめいたら迷わずやっちゃうタイプで。売り上げを見て、メンズ比率が高いなと思ったら「予約サイトのスタイルをメンズ推しにしてみよう!」みたいな。やってみて、メンズ比率が上がったから単価が上がらないな……、と新しい課題にぶつかって。デビューは落合よりちょっと遅くて、3年半かかりました。
落合さん
落合さん
売り上げに関しても、私はやる前に色々頭の中でシミュレーションして、こうなった時はこうなるかも?みたいな慎重派。それをそれぞれ、うまくハッパかけるというか、そうやって育ててもらってきました。

――特性をよく見てもらっているのはありがたいですね。美容室って売り上げや歩合で評価が決まるから、評価の軸が1本になりやすかったり、仕事のスタンスの正解が1つになったりしやすいなと感じるんですが。

落合さん
落合さん
そうですね、鈴木(社長)は、私たちを変に比べるようなことは絶対しないので。ありがたいです
永井さん
永井さん
(鈴木社長は)お父さんみたいだよね〜
落合さん
落合さん
そうね(笑)

時間単価を上げるサロンワークへと進化していくために

――売上目標はどんな風に課されているんですか?

落合さん
落合さん
お給料の2.5倍というのがボーダーの売上目標です。結果が出ればお給料が上がって、翌期のボーダーが上がるという仕組み。そこは必ず意識していますね
永井さん
永井さん
目標に満たない場合は、アカデミー[所沢店併設のスタジオ]で実践的な技術講習を受けることになっています

――お二人は、売り上げを構築するためにどんな努力をされていますか?

落合さん
落合さん
私は今単価を上げていく努力をしています。施術スピードも早くなり、しっかり客数は入れるようになったと思いますが、今は500円でも1,000円でもプラスのアプローチを頑張っています。店販は苦手だったんですが、ご提案1つでその日の実績にはならなくても次につながる手応えを感じ始めました。
デビューして7年、自分の短所がクリアになったのでアプローチ方法も見えてきたなと感じています
永井さん
永井さん
私は、先ほども触れましたが、デビューしたての時にメンズ集客に注力しすぎて単価が低いのが課題になってしまって。カットだけで1日11名入客するようなこともあったんです。徐々に単価は上がってきているので引き続きプラスメニュー+店販を安定してアプローチしたいのと、指名を増やしたいです。次回予約をしっかり案内して、決まってきてくださるお客さまの層を増やせたらいいなと思っています

――アシスタントがいないオペレーションとなると、技術のスピードアップや単価アップが欠かせないですもんね。

永井さん
永井さん
そうなんですよ、カットだけの客層は、アシスタントがいてくれないと回らないので……
落合さん
落合さん
指名客数やリピートを上げていくのが大事だということを実感します。

目指せ、ワンオペで月200万⁉︎ 新しい技術の開発に着手

――お2人はこのほど髪書房から発売された『50年美容師を続けるための新ベーシック』(Beautissimo著)の技術解説を担当されました。これは鈴木勝裕社長が、サロンワークの「ワンオペ時代」に対応する実践的な技術トレーニングとして開発されたものですが、同社の中でも他のスタッフさんに先んじて当カリキュラムを教えられるようになったのはどう言った経緯だったんでしょうか?

落合さん
落合さん
私たち2人が呼ばれて「月間売上200万円までいくようなプレイヤーになってほしい」と言われたんですよ。それで、4日間かけて鈴木がデモストで技術を見せてくれ、あとは営業の合間にウイッグで自主練をして。

――実際に習得してみてどのような感想を持ちましたか?

落合さん
落合さん
私は、元々頭の中で設計図を立てて下準備をしないと切り始めることができないタイプなので、最初は「大丈夫⁉︎」とびっくりしました。ですが、頭の中で考えすぎていたから手の動きが止まってカットが遅かったんだなということがわかったきっかけになりました
永井さん
永井さん
私も「こんなに大胆でいいんだな」と思いましたね。アウトラインの作り方は大胆なのに、すき方はこれまでのベーシックと違って繊細な表現がいろいろあって面白いなと。時短しながらクオリティを上げられるし、楽しいと思いました

細かくパネルを取らず、デッサンするようにスタイルを仕上げていく新技術。1作業7分という時間設定もされている。

落合さん
落合さん
パリの研修旅行で、鈴木が参考にした技術を色々見せてもらっていたので抵抗もありませんでした。フランスでは美容師がお客さまに協力してもらってスタイルを作る、少しでも負担を減らして作業するという考え方だと鈴木にも聞いていて、なるほどなと思って
永井さん
永井さん
今回の技術解説に関しても、鈴木に教えてもらって練習はしましたが「手順やプロセスは同じようにしてほしいけど、表現や細かいデザインは自由にやっていいよ」と言ってもらったので楽しかったです
落合さん
落合さん
元々がフランス風のシルエットだったから、日本のサロンワークで使えそうなシルエットに変えたものとかもあるよね
永井さん
永井さん
うん。そういうのを試行錯誤するのは、サロンワークでの提案を見直すことにもなるので、貴重な経験をさせてもらったと思います

「任せられる」ことのプレッシャーと楽しさを糧に成長できる環境

――色々お話を聞かせてもらいありがとうございました。最後に、月間売上200万円に向けて!など、意気込みをお願いします。

永井さん
永井さん
10月に社内で売上トップになるなど、試行錯誤したことの成果が出ていると思いますので、この調子で1つずつ課題をクリアしていきたいです。とにかく今は固定のお客さまをしっかりつけたいなと。仲の良い同期と同じ店というのも心強いですし、鈴木の期待にも応えられるようにがんばりたいです
落合さん
落合さん
スタイリストデビューしてからの方が、自分で考えなければならないことが多かったり、苦手なことと向き合ったりして自分との戦いだなと思うんです。永井も言うように、そういう時に同じステージで頑張る同期がいるのは心強いと思います。
また、鈴木はむちゃブリも多いし次々にやることやプレッシャーも課されるんですが、海外での研修など楽しくやれるような工夫やアフターケアもそれ以上にしてくれるので……
永井さん
永井さん
今回の本の撮影も毎回見にきてくれたもんね
落合さん
落合さん
そう、「忙しくて行けないよ!」って言っていたのに朝行ったら誰よりも早くいた(笑)。任せてもらってることが楽しいと思えるような関わり方・見守り方をしてもらっているので、貴重な機会をいかして成長したいと思っています。

***

編集Nは新卒時代に1万人雇用する組織に勤めていたのですが、落合さんと永井さんと話していると、当時の同期を思い出す空気感だなと感じました。良い意味で「一般企業の同期同士」の空気感。お互いの良いところ・苦手なことを理解しているから比べて卑屈になることもないし、何より社長の鈴木さんがそれぞれの良さを理解し、2人を尊重しているのがよくわかると思いました。

また、実力や実績が上がり、技術者として脂が乗った10年目の今、売り上げ以外に新しい課題を与えるのも面白いですよね。(売り上げだけが評価の1本軸になってしまうと、一番勢いのあるこの時期に傲慢になってしまうこともあると思うので……)

ボブログでは、今後も「美容師勤続10年目のリアル」を追いかけていきたいと思います!

1人でも多く、せっかく選んだ美容師の仕事を離れなくて済むヒントになれば良いなと思いいます★

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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