ボブログ

郊外で特化型ブランディングは上手くいくのか? un chou chou2つのマインド改革

 

山形県山形市、バイパスから少し入った大通りに面した場所にun chou chou(アンシュシュ)はある。

 

 

 

 

サロンの周辺は住宅地で大学があるものの、車で20分走ると蔵王温泉スキー場に続く山が大きく連なり、穏やかな風景が広がる。

 

まさに郊外型の美容室でありながら、山形エリアで圧倒的に新規客を集めるun chou chou 店長 安部博紀さんのインスタグラムには「こんなにハイトーンのお客さまがいるの?」と思わず疑いたくなるようなビビッドカラーが並んでいた。

 

 

 

郊外で「ハイトーン特化」を選んで3年・・・その後

 

「客数を増やせるメニューで勝負した方が良いのでは?」

オーナーや周囲からの意見もあったが、あえての「郊外でハイトーン特化」。

 

そう決断して3年。

オーナーに相談しながら、サロンブランディングを再編してきた安部さんの奮闘とターニングポイントを聞いた。

 

安部博紀(あべひろき) @hiroki_abe_

1993年2月17日生まれ。現在29歳 。山形県出身。仙台ヘアメイク専門学校通信課程卒業。仙台市内の美容室勤務を経て帰京しun chou chou入社。現在un chou chou店長。月間売上は180〜200万円。客単価は約1万5,000円。

 

 

仙台の美容室を辞めた安部さんが半年間のブランクを経て選んだ場所は、地元・山形。

初月の売り上げ10万円からの再スタートだった。

 

さまざまな世代・客層にアプローチできなければ、このエリアでは集客は難しいと考えられていた。

先輩たちはナチュラルなヘアカラーやケアメニューを推す中で、安部さんのハイトーン特化型ブランディングは始まる。

 

 

安部さん
安部さん
これまでのブランディングと全く正反対のことへの挑戦。「そんなにハイトーンカラーをやりたい人がいるだろうか・・・」そんな不安が押し寄せることも正直ありました。

 

強みをハイトーンカラーにした理由は、SNSでアップするときにハイトーンカラーが一番わかりやすいから。ハイトーンカラーが流行っているからと言うよりは、お店をどうしていきたいかをオーナーと相談し、そのためにはハイトーンのブランディングが必要ではないかと提案しました。

 

 

 

 

ハイトーンシフトを成功させた4つの鍵

①鎖国化で売り上げ確保

ハイトーンカラーに特化し始めた最初の半年〜1年は客数を広げるというよりは敢えて客数を絞り込む形で鎖国化し、アシスタントが入れなくてもスタイリスト個人の売り上げを確保することを目的にした。

 

若い層だけでなく、主婦層にも対応できるようなバレイヤージュや脱白髪染めなどで、既存のお客さまへのデザインの落とし込みも意識。

 

お客さま1人ひとりに携わる時間を増やすことで、ファンの獲得につながった。

 

 

②店舗の客単価が6,000円から1万円へアップ

ハイトーンカラーによるブランディングを行う前の店舗全体の平均客単価は6,000〜7,000円くらいだったという。

店舗の平均単価の目標をまずは1万円に置き、スタッフ全体の技術向上・知識・接客を再確認。un chou chouにおける“美の提供力”の底上げを図った。

 

安部さん
安部さん
僕個人では目標平均単価を1万5,000円に設定しました。

 

ヘアカラーの技術力の向上を目指して、hoyu主宰のカラーリストスペシャル講座のディプロマを取ったり、目指すブランディングを確立している講師のオンラインセミナーを片っぱしから受講したり・・・。

 

ケアブリーチはオプションとしてでなく、全員にケアブリーチ込みのカラーメニューを提案し、ハイトーンとツヤの両立を目指しました

 

 

③ブランドの確立

 

これまでのオールラウンドの客層から、わかりやすい店舗の武器をつくるため、売り出す技術を明確化。的を絞った集客で紹介客を増やしつつ、仕事効率や技術を向上させ、失客の予防につなげた。

また、近隣の芸大生と合同で撮影をしたり、レセプションに芸大の学生を起用して若いお客さまの間での口コミを増やしていった。

 

※芸大生と合同で撮影会の風景写真などあれば、送ってください!

 

 

④ SNSのクオリティアップ

一般人目線で見たときにSNS上で映えるハイトーンカラーやツヤの出し方を研究。弱点でもあったSNS上での圧倒的なクオリティを求めた。

 

 

安部さん
安部さん
すぐには成果はでませんでした。2年間、技術を磨き続け、時間のかかるメニューをやり続け、インスタの活用の甲斐あって、エリアでも新規集められる上位サロンになれたと思います。

 

一番はじめにハイトーンカラーでブランディングするサロンに変えたら良いのではないかと書面化してプレゼンしたのはまだ店長になる前でした。

「山形でハイトーンなんて無理じゃないか」という不安もあり、オーナーが求めることは経営者として当然のことだなとも思っていました。

そんな葛藤の中で、自分なりにサロンをこうしていきたいという考えはあって。郊外だからと決めつけず発想を転換させることで、都会じゃなくても革新的な改革はできるなと!

 

特化型戦略は技術的に自信が持てる分、失敗も少なく、マッチングもうまくいきます。でも、特化してやっているのはどちらかというと美容師側の理由。時代に合わせて特化型を目指しましたが、今後はun chou chouの美容師それぞれの売りがまずあり、その売りを武器にたくさんの支持が得られる美容師集団を目指したいです

 

 

 

 

 

マインドをリセットさせ、ECも好調

 

ハイトーンブランディングに加えて昨年はECでも成果が出始めた。前年に比べて、2022年の店販実績が218%向上したというのがスタイリスト1年目の鈴木悠亜さん。

本人は「特別なことをしているわけではなく、需要と供給の関係の中で、お勧めするタイミングをマニュアル化しただけ」と謙遜するが、ECを導入する際リーダーに抜擢されてからのマインド改革が人とは違っていた。

 

鈴木悠亜 @u_624a

1998年6月24日生まれ。現在24歳 。山形県出身。山形美容専門学校卒業後、un chou chouに入社し、現在スタイリスト1年目。月間売上は90〜130万円。客単価は8,000円〜9,000円。韓国ヘア推しのインスタグラムを見て来店する同世代客からの支持が厚い。

 

 

悠亜さんはアシスタント時代にミルボンの「オージュアソムリエ」※を取得しており、以前から商品の提案に積極的な姿勢で取り組んでいたが、2022年にミルボンの公式オンラインストアーズ「milbon:iD(ミルボンアイディー)」を導入するにあたり、milbon:iDリーダーとなった。

※専門的な知識と技術、カウンセリング力を誇るオーダーメイドのヘアケアプログラムを創る、ミルボンのスペシャリスト資格

 

 

悠亜さん
悠亜さん
「商品を買ってください」ではなく、まず「会員登録をお勧めする」という案内の入りやすさが、私たちにとってECをお勧めしやすい1つの理由です。

「お得な情報が届きますよ」と会員登録をお勧めすると、お客さまも自然な流れで登録してくださいます。

 

入浴タイムの21〜0時にシャンプーなどのヘアケアアイテムがなくなっていることに気づき、サロン専売品をリピートしたくても、お店は閉まってたり、翌日もサロンに買いに行けなかったりで、そのとき買い求めやすい他の商品を買ってしまうことは誰しもあると思います。

その場で買えるという「買場」が広がったことが、milbon:iDを導入して、お客さまに喜んでいただけて一番嬉しく感じたことです

 

ECを始めてからも実店舗の店販売上金額は下がっておらず、お客さま1人が1回あたりmilbon:iDで購入する金額は1万前後と、実店舗の店販売上(約3,000〜4,000円)より大幅に上回っているという。

 

悠亜さん個人では、2021年1月〜10月の店販売上が合計28万円だったのに対し、milbon:iD導入後の2022年1月〜10月度は合計61万円を達成。うち30万円がmilbon:iDによる売り上げだという。

 

 

 

デビュー直後のスタイリストがECを牽引できた3つの理由

①不安要素を整理し、導線を構築

まず、新しいことを始めるときの不安要素を考え、整理したという。

【不安要素を整理】

・美容師・・・・お勧めが苦手、時間的に案内が難しいことがある

・お客さま・・・お勧めされてる感、新しいものへの抵抗

 

悠亜さん
悠亜さん
たとえば、カラオケに行ってもまず会員登録をしますよね。「カラオケがしたい」→「受付」→「会員登録をする」という流れのように、「美容室でカラーがしたい」→「予約」→「来店」→「カルテの記入」→「milbon:iDの登録」→「施術」という導線をつくりました

 

②スタッフのマインドリセット

次に、スタッフのマインドリセットを考えた。美容師の中には商品を売ることへの抵抗があるスタッフもいる。それをマインド的に解消できるようにmilbon:iDを導入することで店舗やスタッフにどういうメリットがあるのか。結果的にお客さまファーストになることも伝え、マインド改革に努めた。

 

③3段階のお勧めトークをマニュアル化

milbon:iDの会員登録をお勧めするタイミングを3段階に分けてマニュアル化。
全スタッフでのデモンストレーション実施により、成功率を上げてきた。

 

【3段階マニュアル】

1人が同じお客さまを長く施術するのは難しいことも多いため、チームプレイで3段階でお勧め。伝える内容や役割をそれぞれに設定した。

 

1)来店して最初のアプローチ

・来店されたお客さまの登録の有無が瞬時に判断できないと案内が漏れてしまうことから、毎朝、その日来店のお客さまの電子カルテに「登録済み」「登録促し」のどちらかをメモ。一目でわかる記載方法を仕組み化した。

・カウンセリング時に会員登録に前向きなお客さまには「お会計のときにも確認するので、それまでに登録しててくださいね」と軽く認知を行った。

 

2)施術中のアプローチ

・カットやカラーの放置タイムの際に「一緒に登録しましょう」とご案内

 

3)お会計時のアプローチ

・会員登録を最終確認

・会員登録をしていただいたお客さまには次回もスタッフ間で共有できるよう管理

 

さらにトーク内容やサポート体制もマニュアル化し、スタッフ間で徹底。

 

・マイナス要素のある言葉を避ける

「申し訳ございませんが登録をお願いします」などのマイナス要素のある言葉を徹底的に避ける。

お客さまにとって「最善のサービス」「バックアップができる」などプラス要素の言葉に変える。

 

・登録までをスタッフがサポート

前述の3段階アプローチに沿って、アシスタントが登録画面を一緒に見ながら会員登録までをサポートした。

 

・SNS活用 メリットの説明

SNSは認知を目的とし、milbon:iDのメリットやサービス内容をinstagramのストーリーズで展開。

 

 

悠亜さん
悠亜さん
目標は金額よりも登録者数とし、2022年12月に会員登録者数500名を目指してやってきました。

 

11月にゲリラクーポンを発行し、ブラックフライデーに合わせてmilbon:iDに登録してくれた先着3名限定で特価キャンペーンを行ったり、12月には福袋企画も行って、目標会員登録数の500名を達成できました。

 

これまでサロンが空いていないと売り上げられかったのが、今ではいつでも売り上げにつながります。チャンスが増えた分、2023年は、さらに登録者増やしてmilbon:iDによる売り上げを安定させたいですね!

 

 

ハイトーンブランディング、milbon:iD導入など、2つの改革を軌道に乗せてきたun chou chou。

旬な情報を得て、従来の発想にとらわれず自分たちを変革させていこうとする力が強い2名だった。

 

今回は山形県からお伝えしたが、今後も従来の発想を越えた挑戦で、さまざまなエリアでパラダイムシフトを起こす美容師を取材予定! 乞うご期待!

 

 

 

un chou chou〔アンシュシュ〕

・住所:山形県山形市桜田東4-9-31

・スタッフ数:6名(スタイリスト2名、アシスタント3名)

・代表:古川光伸

・HP:https://unchouchou.com

yahagi

AUTHOR /yahagi

この記事が気に入ったらいいね!しよう
Facebook Twitter Line

PICK UP BLOG

\ ボブログTV 公式SNSで最新情報をゲット! /