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コロナのピンチをチャンスへ。ZELEの組織力

 

SNS集客を中心とした個の時代を経て、組織の力を見直す声が高まっている。

 

自社単独で競争優位性を確保するのが難しくなりつつある近年、フランチャイズ制ではなく、独立した対等な立場の各社が同じZELEブランドで運営している「ゼルネットワーク事業協同組合」に注目した。

 

ゼルネットワークがどう情報を共有し、新たな価値を生み出そうとしているのか?

 

ゼルネットワーク事業協同組合の代表でもあり、埼玉県草加市や越谷市を中心にZELEブランドで14店舗を展開する株式会社おしゃれ企画 代表取締役社長 渋井健志氏に話を聞いた。

 

 

 

 

 

初の出店エリアで2カ月後、850万を売り上げられた理由

 

 

世界中がパンデミックに突入する少し前の2019年10月。

 

千葉県松戸市の大型ショッピングモール「テラスモール松戸」にZELE AVEDAテラスモール松戸がオープンした。

 

 

株式会社おしゃれ企画の千葉エリアの出店は、柏市にあるZELE AVEDAららぽーと柏の葉店に続く2店舗目。

千葉県新松戸駅周辺エリアへの出店は初となる。

 

 

株式会社おしゃれ企画は埼玉県草加市を中心にドミナント戦略を展開し、埼玉県越谷市の大型ショッピングモール「イオン越谷レイクタウン」などでZELE AVEDAを展開してきた。

 

高付加価値サービスを提供する美容室として地域のお客さまに支持され、約15年前からショッピングモール業界での定評を得ている。

 

 

渋井氏は当時をこう振り返る。

 

「ZELEがショッピングモールへ入ると、美容やファッションへの意識の高い顧客が集まるという評価をいただくことができ、15年ほど前より大型ショッピングモールのオープン時には当社に出店相談を多くいただけるようになりました。

 

ショッピングモールという話題になる場所でディスカウントはせず、中〜高価格帯の客層に向けて独自性を発揮してきたことで口コミが広がり、人口が少なく難しいと言われるエリアのショッピングモールにおいても固定客を囲い込めたことが次の出店につながってきたように思います。

 

 

2019年にグランドオープンしたテラスモール松戸も、最寄り駅から徒歩30分と遠く、集客が難しいと言われているエリアではあり、地域の方々にどう我々を知っていただくかを社内で徹底的に議論しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

2万軒のローラー作戦は単に手法。まず「人間力」

 

 

「知らないエリアで知ってもらうには、足を使うこと」

この結論に行き着いたという。

 

 

「ZELEを知ってもらうために松戸市の住人2万軒と接点を持つことを考えました。

 

SNS時代に泥臭い活動ではありますが、あえて足を使うことに。

スタッフが地域のご自宅を訪問して、ZELEがどういう美容室なのかを知ってもらうところからスタートしたのです」

 

 

訪問して話を聞いてくれた方にはブラシをプレゼントし、不在であればリーフレットをポストに投函。

 

驚くべきはこの訪問作戦の中心になったのは幹部だけでなく、20代前半の若手スタッフだということ。

 

訪問して、自分たちの想いや熱意を伝えるとなると若手スタッフにはハードルが高いのではないか・・・。

こんなふうに考えがちだが、この考えを打破する強さと背景がZELEにはあった。

 

 

 

スタッフ14名で2カ月で850万円を達成した

 

自宅を訪問時にお渡ししたリーフレット

 

 

 

 

 

 

 

 

人間力を高め、任せられる人へ

 

ゼルネットワークでは人間性を重んじる人材育成を重要視してきた。

 

組合の創業は1976年。

まだ店舗数が少なかった加盟各社が共同で「教育」に力を入れるために発足させた組合がゼルネットワーク事業協同組合だった。

 

 

 

ゼルネットワーク事業協同組合とは?

 

美容室を1〜3店舗経営していた会社が集まり、協同で教育を行う組合を1976年に設立。「美容師を育て幸せにする、地域No.1店づくり」を目指した。

 

1997年にはJr.スタイリストの研修サロン「ゼルプログレ」を東京都・渋谷に開設し、3カ月間サロンが集客した200人で実践を積んだ後、各社に戻りスタイリストとして配属される。

 

●加盟:21社、73店舗、スタッフ数843名

 

●所在地:東京都渋谷区に事務局と研修サロン。加盟企業の所在地は埼玉・東京・千葉・神奈川・山梨・福島・愛知・新潟・奈良・大阪

 

●教育内容

・新人研修

・基礎技術研修

・技術コンテスト開催

・店長会議

・経営者会議

・クリエイティブ作品の撮影

・ミラノで撮影し、イタリアを周遊。パリも訪れる研修旅行

 

 

 

中でも大きな役割を果たしたのが、幹部を育成するための教育機関として2000年に松下政経塾の元塾頭の協力を得て設立された「若竹塾」。

 

 

若竹塾の設立から22年経ち、この若竹塾で学んだ若手美容師が各社の店長や幹部として成長した。

 

若竹塾で学んだことが各社での共通言語として、ゼルネットワークの人間力のベースとなっており、自宅を訪問して「ZELEがこの地域でどんなことをしていきたいか?」を語ることができる若手スタッフの成長につながっているのだ。

 

 

 

 

次回予約率は60%以上。地域1番店であり続けるために

 

 

 

ゼルネットワークに加盟する美容室は、安売りをしない。

おしゃれ企画全店の平均客単価は9,500円。

 

上質なサービスや空間を求める顧客に美容で価値をつくり、地域No.1店を目指すことで固定客を増やしている。

 

 

 

ネイルやアイラッシュ、メイクやエステメニューを充実させ、トータルビューティを提供することで、地域における最新ビューティ情報を得られる場としても発展してきた。

 

 

 

コロナのようなパンデミックにより人々の考え方が大きく変わるとき、やはり強かったのは固定客がしっかり囲い込めている美容室。人々の密を避ける意識の高まりにより人々の行動パターンに変革が起こるとき、地域No.1店のひとり勝ちは進みやすいという。

 

コロナ禍を経て、次回予約への取り組みを強化した株式会社おしゃれ企画の次回予約率は60%以上となった。

 

独自性と口コミで地域No.1店を目指した地道な価値づくりが、次回予約率の向上と固定客の囲い込みに寄与している。

 

 

 

「口コミにつながった!」おしゃれ企画の3つの取り組み

 

 

1)マッチングとファーストコンタクト

新規のご予約があった際、お客さまのタイプに最もマッチする担当美容師をセレクトする仕組みがある。

初来店でのカウンセリングでは、幹部スタッフがまず要望や髪の悩みを引き出し、骨格・毛質・毛流からお客さまに似合うデザイン提案と仕上がりイメージを事前にセレクトした担当者と共有する「ファーストコンタクト」カウンセリングに重きを置いている。

 

2)カット、パーマ、カラー、リラクゼーションメニューを受けるすべてのお客さまに1メニューサービス

・ヘッドマッサージ

・眉カット

・10分マッサージ

・ハンドマッサージ

から1メニューを選んでいただき、毎回無料で提供。

 

 

3)スリーステップサービス

10日以内に再来店いただき髪の状態を確認し、シャンプー・トリートメント・ブローを無料で提供するサービス。2カ月以内のご来店に限り、2回目と3回目のご来店時に20%OFFで施術を提供している。

 

 

 

 

 

 

評価は個人売上ではなく、店舗の達成度

 

 

評価システムは各社ごとに異なるが、ゼルネットワークに加盟する各社とも従業員満足の充実を目指し、給与を上げるための取り組みが行われている。

 

中でも、株式会社おしゃれ企画では「個人売上だけで評価しない」評価制度を導入。

 

個人売上でなく店舗の目標達成度で個人の給与が評価される仕組みとなっており、店舗の達成度により、四半期ごとの特別手当が支給される。

 

実際、アシスタント・スタイリスト・パート社員・フロントスタッフまでを含めた平均年間給与額は400万円と、業界平均290万円の3割増しとなっている。

 

 

「美容師のイメージとなっている低賃金・勤務時間が長い・離職率が高い。この美容業界の課題を解決すべく『ゼルネットワークにとってスタッフこそがすべて』という理念を掲げてきました。

 

今、多くのスタッフが家庭を持ちながら仕事を続け、子育てをし、持ち家を持てていることは自分の誇りでもあります。

 

また、独立を目標にしているスタッフには出口対策としてZELEブランドでの独立支援を推進し、1人ひとりの夢を叶えるステージをつくっています。

 

 

SNS集客による個人の時代が続いていますが、業務委託サロンやシェアサロンなどの新しい業態へ人材がある程度広がった今、これからは再び組織の時代となるのではないでしょうか」

 

 

経営者だけが夢を叶えられる組織ではなく、従業員それぞれが組織に所属しながら自分の夢を叶えられる組織へ。

 

美容師として一生生き抜くための教育の充実と収入面での豊かさ、ゼルネットワークという仲間の存在・・・・ゼルネットワークは「美容師がどう豊かに生きるか」を追求し続ける。

 

 

 

 

 

 

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