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【後編】2022年の美容業界振り返りと2023年の展望
2022年秋、業界イベントはリアル開催が復活し「3年ぶりの開催」という声が多く聞かれました。
「2022年の美容業界の出来事【前編】」に続き、
「2022年美容業界の出来事【後編】」を振り返りながら、今年の展望についても触れていきます。
【2022年7月】
変化に負けない価値観を
自民党の安倍晋三元首相が奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の応援演説中に銃撃され、死亡した事件が参議院選挙直前の日本を大きく揺るがした7月。新型コロナウイルスはオミクロン株派生型BA.5の流行により、第7波の勢いが増してきました。
美容業界では美容ディーラーの事業譲渡や合併の発表が続きました。また、多くの主催者が2022年秋のコンテストやイベントのリアル開催を正式発表しました。
【7月の主な業界ニュース】
21日
株式会社ミルボンは、持続可能な原料調達のための取り組みとして、ゆめが丘工場(三重県伊賀市)においてRSPOサプライチェーン認証(※)を取得した。ミルボンでは、持続可能な社会の実現に向け重要視する5つの課題を掲げ取り組みを進めている。そのうちの1つである生産・消費活動の分野において、2030年までに当社製品におけるRSPO認証パーム油の採用率100%を目標としている。
※RSPO:Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)https://rspo.org/
26日
全国36サロン(社)が加盟する一般社団法人プログレスは「パラダイムシフト」をテーマに美容経営シンポジウムを開催。新たな価値観が業界に入りグローバルな戦術も求められる今、時代の変化に順応し、変化に負けない価値観で経営すべき未来を語りあった。会場には約600名が集まり、コロナ禍で業界最大規模のリアルイベントとなった。
26日
愛知県のトーコー株式会社は、同社が営むすべての事業を9月1日をもって福岡県の株式会社ダリアへ譲渡すると発表した。
28日
【8月】
コロナ感染者数が過去最多
全国高校野球選手権大会が3年ぶりに一般の観客を入れて開催した8月。日本国内の1日の新型コロナウィルス感染者数が過去最多を記録しました。
美容室業界でも話題となったAmazonと化粧品の口コミサイト「@cosme」を運営するアイスタイルの業務資本提携。Amazonの参入により美容業界の店販を取り巻く環境はどう変わるのか? はたまた大きな影響は出ないのか? 今後も注目です。
【関連記事】
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【8月の主な業界ニュース】
1日
10日
18日
22日
【9月】
業界イベント、3年ぶりに続々リアル開催
政府の新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、日本人を含む全ての入国者に求めていた陰性証明書については3回目のワクチン接種が済んでいることを条件に提出不要となりました。
総務省は65歳以上の高齢者の人口は前年より6万人増えて3627万人となったことを発表。総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%となり、それぞれ過去最高を更新しました。
【9月の主な業界ニュース】
6日
資生堂プロフェッショナル株式会社は「BEAUTY CONGRESS 2022」をアジア9カ国(日本・中国・香港・韓国・マレーシア・シンガポール・台湾・タイ・インドネシア)同時にオンラインで開催した。3年ぶりの8回目となる今回は、日本・中国・韓国の各サロンによるムービー形式によるヘアショーとフォトコンテスト結果発表が行われた。
6日
株式会社ガモウ北海道はH.D.C(HOKKAIDO DESIGNERS CONGRESS)/H.H.A(HOKKAIDO DESIGNERS AWARD)を開催した。ハイレベルな作品が集結したH.H.Aの作品数は193作品に上った。
7〜9日
株式会社ビジネスガイド社は日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「第94回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2022」を開催。出展社数は1,988社(同時開催展および海外12の国と地域から305社含む)。注目のビューティブースには、既存メーカーはもとより美容室メーカーによる出展も。総来場者数192,334名を記録した。
12日
株式会社彦田はHIKOTA BEAUTY CONTEST 2022を開催。エリア外からも多数応募があり、屈指のレベルを誇るフォトコンテストHKHA(北陸ヘアドレッシングアワーズ)も同時開催した。
13日
株式会社ナプラは3年ぶりとなるナプラ ドリームプラスコンテスト2022を日本武道館で開催した。「ドリームプラス コンテスト」では全国から集まった16名のファイナリストの頂点が決定。27サロンによるスペシャルヘアステージでは華々しいクリエーションが披露された。
最低賃金の引き上げ、止まらぬ物価高騰
10月1日より、最低賃金が引き上げられました。東京都は1時間1,072円に改正されることになり、改正前と比較して31円(引き上げ率2.98%)の引き上げ、47都道府県で30〜33円が引き上げられ、2022年度は過去最大の引き上げとなりました。
なお、改定額の全国加重平均額は961円(昨年度930円)となっています。
一方で2022年9月の全国消費者物価指数は前年同月比で3.0%上昇。消費増税の影響を除くと上昇率が3%台となるのは1991年8月以来、約31年ぶりとなり物価高騰が加速しています。
政府は9月に続き、新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和し、入国者数の上限を撤廃。個人の外国人旅行客の入国も解禁しました。観光需要の喚起策「全国旅行支援」が東京都を除く全国46道府県で始まりました。
また、東京都は外国人の美容師の育成事業を全国で初めて実施。10月1日には国家戦略特区外国人育成事業における「監理実施機関」として同事業に資することを目的に、一般社団法人 外国人美容師管理実施機関が発足しました。
【10月の主な業界ニュース】
4日
表参道コレクション実行委員会は、3年ぶり21回目となる「OMOTESANDO COLLECTIONS HAIR TRENDS 2022-2023」を開催。全14サロンが出演し、冒頭に去る9月19日に死去した故・綾小路竹千代氏(ACQUA会長、享年60)を偲び、出演者と観客が黙祷を捧げた。
4日
LebeL/ルベルは『id2022 ファイナル』を開催。予選エリアブロックを勝ち抜いてきた31名のファイナリストがリアルコンテストに挑んだ。
12日
東京都美容生活衛生同業組合は東京都渋谷区の美容会館で第3回理事会を開催し、10月に発足した一般社団法人 外国人美容師管理実施機関の発足までの過程を小池百合子東京都知事の答弁を引用しながら説明した。
17日
ミシマ株式会社は「D2 PHOTO COLLECTION 2022」授賞式をオンラインで開催した。クリエイティブ部門95作品、サロンスタイル部門70作品、学生部門26作品の頂点が決定した。
24日
株式会社アリミノは「2022 フォトプレゼンテーション アリミノ」の受賞作品を発表した。受賞者は11月15日に国立競技場代々木第一体育館で開催する授与式にて表彰される。
24日
株式会社ダリアは「D-CONTEST2022」を開催した。同社が3年前まで開催してきた西日本最大級のコンテスト・ABC(ASIA BEAUTY CONGRESS)を刷新。開会式や表彰式における過度な演出や何名もの審査員による講評を避け、選手ファーストの運営を追求。審査員は選手の世代に近い顔ぶれを揃え、次世代型のコンテストを模索した。
24日
メッセフランクフルト ジャパン株式会社は、最新の美容製品とサービスの情報が国内外から一堂に集う総合ビューティ見本市「ビューティワールド ジャパン大阪」を開催した。出展者数は400社、来場者数は33,112名を記録した。
26日
日本経済新聞社は『日経MJ』にて「サービス業調査」理美容部門を発表。大手理美容サロンの直近1年の年商が明らかになった。部門売上高の1位は2022年も阪南理美容(プラージュ)で389億9600万円(前年度の伸び率は3.0 %)。日経MJは、理美容サロン業界を5.9%のプラス成長と推測している。
【11月】
年末商戦に向け、助走
サッカーワールドカップ カタール大会が開幕。日本代表が競合相手に歴史的な逆転勝利を収めるなど2大会連続となる決勝トーナメント進出を決める中、10月に続きリアルイベントの復活が目覚ましい月でした。
【11月の主な業界ニュース】
1日
ウエラプロフェッショナルはTREND VISION award 2022 THE FINALを開催した。ファイナルに進んだのは全国39名のうち、2名のグランプリ受賞者は2023年4月に開催されるスペインでのグローバルイベントへの参加券を手にした。
7日
資生堂プロフェッショナル株式会社は、約3年振りの開催となる「シンボリックサロンフォーラム 2022」を開催した。2022年7月にヘンケルグループへの事業譲渡が完了した同社。新たに経営目標に加えたキーワードは「サステナサロンづくり」。持続可能なサロン経営をサポートしていくと約束した。
7日
株式会社ガモウ関西は「三都杯2022」を開催した。挑戦者数もコロナ前の状態に戻りつつあり、デザイナーズ部門70名、ウイッグ部門69名、スチューデント部門28名がエントリー。2023年2月8日に開催されるファイナルに進む6名が決定した。
8日
株式会社ミルボンは「MILBON BEAUTY FEST」を開催。これまでのコンテスト・DAをミルボンアビリティイベントとして内容を一新し、記念すべき第1回の開催となった。キャリアに合わせた3つのデザインイベント、コピーまで入れたビジュアル表現を行うフォトイベント、美容の知識力を競うクイズイベントの5つで構成される。
14日
一般社団法人ジャパン・ヘアドレッシング・アワーズ・アソシエーションは、2022年度第33回Japan Hairdressing Awards(JHA)授賞式を開催した。一昨年、昨年と新型コロナウイルスの影響を受けて応募者数は打撃を受けていたものの、アフターコロナの兆しとともに美容師のクリエイティビティが再燃。入賞者のサロンのエリアも全国各地で、エリアに関係なくクリエーションのレベルが上がっていることが伺える。
14日
SPC GLOBALは、一般社団法人 日本資質表現教育協会が主催するスピーチコンテストとSPC GLOBAL FORUM 2022 autumnを開催した。2部門合わせて前年の約3倍となる392名がエントリーした。
22日
一般社団法人ユナイテッドダンクス・インターナショナルは「UNITED DANKS CONTEST 18」と「Beauty Hairdressing Award 14」を開催した。全7部門で総勢1860名のエントリーとなり、参加人数の多さだけでなく高い技術性と創作性が評価された。
21〜22日
タカラベルモント株式会社は「TWBC2022 WHAT IS BEAUTIFUL?」を開催。2日間でスタイリストや理美容学生をはじめ世界各国から理美容業界関係者が延べ14,965名が来場。2021年に創業100周年記念事業としてTWBC2021を実施予定だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により延期。美の祭典が6年ぶりに開催された。
29日
株式会社ガモウはベーシックカットの頂点を競うエリアサーキットファイナル2022を開催した。2021年7月〜10月に全国25エリアで行われた予選を勝ち抜いたファイナリスト72名が集結した。
【12月】
年末商戦本番!
物価上昇に歯止めがかからず、日銀は大規模金融緩和策を一部修正し、長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げることを決定する中、美容室は年末商戦へ突入しました。
12月の美容室の売上は前年と比較して堅調傾向。各地から続々と「最高記録を達成した!」という声が届いています。
『月刊NEXT LEADER』2023年3月号(2月1日発売)では、「最高売上でチーム力を高める(仮)」特集。2022年の年末に最高売上記録を達成してチーム力を高めたサロンの軌跡を追います。
【12月の主な業界ニュース】
6日
株式会社ガモウは「TOKYO HAIRDRESSING AWARDS 2022 」授賞式を開催した。ハイクリエイション部門744作品、リアルクリエイション部門449作品など総エントリー数は1444作品となった。
6日
by12レーベル実行委員会はヘアショー「by12-バイ トゥエルブ-」を開催した。出演者は美容業界を変革する美容師12名。押さえつけられていたクリエイティビティが爆発するかのごとく、新たなヘアショーが誕生した。
13日
株式会社ガモウは「CHANGE YOUR LIFE!-美容師はエンターテイナーだ-」を開催。応募総数500枚から選べばれたファイナリスト10名が「お客さま・モデルの【人生を変えてしまう】ようなBefore・After写真」をプレゼンした。
どうなる?
2023年の美容業界
『月刊BOB』2023年2月号(1月1日発売)には、「22名の美容識者の未来予測」が掲載されています。
現場の美容師さんに必要となる2023年キーワードをピックアップしてみました。
①美容料金値上げの動き
②外国人の体験型・交流型の美容消費
③美容室のDX化
④美容室のSDGs
⑤動画教育
⑥さらに多様化する働き方
⑦ハイトーン時代の「ケアメニュー」
⑧フェムテックとメンテック
①美容料金値上げの動き
現在はまだ美容商品の価格に大きな影響は見られていませんが、今後、原油高の高騰や円安などの影響による値上げは予想されます。
この流れの中で、美容料金を上げるサロンが増加中。2023年は美容施術に付加価値を加えて料金を上げていく年になりそうです。
③美容室のDX化
コロナをきっかけに一気に進んだDX化。電子マネー決済の導入や顧客カルテの電子化などを取り入れるサロンが増え、教育カリキュラムを動画化するサロンも。デジタル化は集客・教育・求人・店販あらゆる場面で進んでいます。
⑦ハイトーン時代の「ケアメニュー」
ブリーチをウリにする美容師が増えた今、ブリーチ文化をどうやって継続していくかを考えたデザインサイクルを考える必要があります。デザインとダメージレスを共存させるためのケアメニューがますます欠かせなくなってきます。
人々の動きがより活発になる2023年、美容業界はどんな方向に向かうのか?!
2023年を読み解くキーワードは月刊『BOB』2023年2月号(1月1日発売)に詰まっています。
今春、ボブログTVも刷新
2023年3月、髪書房のオウンドメディア「ボブログTV」は、動画を中心としたWebメディアから、より早く美容室に必要な情報を届けるWebメディア「ボブログ」として生まれ変わります。
コンセプトは「パラダイムシフトを発見し、掘り下げる」Webメディア。
これまでになく早いスピードでパラダイムシフトが進んでいる今、美容室の現場で何が起きているのか? これから何が起こるのか? パラダイムシフトの芽をいち早く見つけ、掘り下げ、お届けするWebメディアを目指します。
業界を揺るがすような大きいパラダイムシフトから、日々の生活がちょっと楽しくなるような小さなパラダイムシフトまで。発想の転換のヒントになるようなテーマをさまざまなカテゴリーで取材予定。
詳細は追って本サイトでお知らせします。ご期待ください!