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【ゆく年くる年】コロナ年の美容業界ふりかえりと2021年の希望
本年ラストの投稿です。昨日にお送りしたヘアスタイル編に続いては、業界編の総まとめをお届けします。弊社が取材等で直接見聞きした2020年のメーカー、ディーラー主催イベント歳時記を中心に、激動と躍進に満ちた1年を振り返り、来年予測も記しました。
(以下のイベント以外にも弊社が訪問したイベントはありましたが、抜粋して紹介しました)
【1月】
インバウンドと好景気が
美容消費を後押しすると信じたスタートダッシュ
東京オリンピック開催を象徴として景気のピークを迎えるとほとんどの人が思っていた2020年。メーカー、ディーラー各社の新年政策発表ではグローバルな視点を意識したSDGs(持続可能な開発目標)志向が目立った。
11日
株式会社フジシン(遠藤一徳社長)が新春懇親パーティで2020年の方針を「価値のSHINKA~深化、進化、真価~」と発表。
中野製薬株式会社(中野孝哉社長)がニューイヤーパーティで新コンセプト「日々、美を共に」を発表。
21日
タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)がセールスフォーラムで新年度のテーマ「Beauty Activation」を発表。
23日
日本ロレアル株式会社(ジェローム・ブリュア社長)がエージェント会議で2020年方針を「価値の深化」と発表。
27日
ミシマ株式会社(三島正寛社長)がニューイヤーパーティで2020年のテーマを「経営の『戦略』と『秘訣』を学ぶ」と発表。
28日
株式会社ミルボン(佐藤龍二社長)が制作発表会で「LIFE TIME BEAUTY INNOVATION for NEXT100」を発表。SDGsに基づくライフタイムビューティサロンづくりなど。
【2月】
コロナの不気味、忍び寄る
- 1月16日に国内で初の新型コロナウイルス感染者が確認され、2月3日に横浜港に入稿したダイヤモンド・プリンセス号の集団感染が発覚。この2月から業界イベントでもマスク着用が叫ばれるようになった。
3~4日
ビューティーワールドジャパン福岡開催(メッセフランクフルトジャパン㈱主催/梶原靖志社長)。
4日
株式会社ダリア(高木進一社長)が新春戦略セミナーで2020年のテーマ「UP STANDARD~働き方の多様化や5Gに伴うテクノロジー進化を捉えた提案~」を発表。
6日
全国美容用品商業協同組合連合会(蒲生茂理事長)が臨時総会で2022年5月30~31日に第8回アジアビューティエキスポを開催すると発表。
16日
就労支援フォーラムを講演NIPPON特別企画 施設外就労「M.I.Eモデル」フォーラムに株式会社ミルボン・佐藤龍二社長が登壇し障がい者雇用の大切さを訴求。
17日
株式会社自由が丘クリニックドクターズコスメティクス(髙野邦興社長)がフォーラムで「サロンと共存共栄で、美容寿命の延伸に貢献したい」と方針を発表。
株式会社アジュバンコスメジャパン(松井健二社長)が全国ゼミナールを開催。
19日
日本理容美容教育センター(谷本穎昭理事長)は2020年から「産学連携就職情報交換事業」を全国展開すると発表。理美容室と理美容教育所が連携をとりながら労働環境の整備をめざし、成り手を増やす目的。
一般社団法人予防医療普及協会(提橋由畿代表理事)はトークイベントで「美容室から予防医療の正しい情報を発信する大切さ」を提言。
27日
インターコワフュールジャパン(ICDジャパン)は2020年度の新役員を発表。山野純治会長は続投、副会長に大林博之氏、加藤待子氏、北村賢氏。
【3月】
コロナ不安が本格化
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、業界イベントが次々と中止(延期)もしくは参加者を制限して実施。卒業式を簡略化する学校も相次ぎ、サロンの卒業式消費が減少。
2日
新型コロナウイルス感染拡大を危惧し、政府が全国の小中高、特別支援学校などを対象に春休みまで臨時休校を要請。子育て中のママさん美容師へ経営支援の動き広がる。
【4月】
緊急事態宣言発出、理美容室は休業要請の対象外に
集客、売上は全国的に落ち込む
都心部のサロンを中心に一定期間休業する店舗が増える。雇用調整助成金、持続化給付金、家賃支援給付金、新型コロナウイルス感染症特別貸付、各都道府県の美容組合による自主休業に係る給付金などを申請する動きが各サロンで広がる。
7日
政府が東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発出。
特定業種に休業要請が出されたが、理美容室に関しては「国民が安定的な生活を営む上で必要な事業」と国会答弁で認定された(1000平米を超える理髪店は除く)。
16日
全都道府県に緊急事態宣言の対象地域を拡大
一般社団法人ジャパン・ヘアドレッシング・アワーズ・アソシエーション(JHA/蒲生茂理事長)が新型コロナウイルス感染拡大のリスクを憂慮し、2020年度のアプリケーションアワーズ(投稿部門)の中止を決定。
14日
中野製薬株式会社(中野孝哉社長)が京都府医師会を通じて医療従事者へマスク4,000枚を寄贈。
その他、メーカー、ディーラー各社などがサロンへマスクを寄贈する支援活動が活発化。
16日
学校法人山野学苑(山野愛子ジェーン理事長)は政府が発令した小中高の臨時休校要請を受け、オンライン授業を開始。
29日
タカラベルモント株式会社の吉川秀隆会長兼社長が令和2年春の叙勲において「旭日小授章」を授章。
【5月】
サロン売上は一部地域で回復も、衛生管理費が新たな経費に
マスクや消毒液、飛沫防止シート、次亜塩素酸水など衛生管理を強化するサロンが一般化。業界イベントはあらゆるものがオンライン開催にシフト。
11日
ウエラやOPIを運営するCOTYグループは、世界的なプライベートエクイティファンド・KKRとの業務提携を発表。11月30日にHFCプレステージジャパン合同会社ウエラカンパニーとして、新たなスタートを切った。
12日
一般社団法人日本美容サロン協議会(JABS)が業界23団体連名で「新型コロナウイルス感染症の影響により経営状況が悪化している美容室への支援に関する要望書」を政府へ提出。
21日
ホーユー株式会社、タカラベルモント株式会社などの協賛でクラウドファンディングによるヘアサロン支援プログラム「こんどきってね」始動。
25日
全国で緊急事態宣言解除。
同宣言発出後から休業していたサロンもこの頃までにはほぼ営業再開。一部サロンが5月末まで休業を継続。
【6月】
サロン売上はV字回復
緊急事態宣言中は来店を控えていた顧客が一斉に来店し、通常は閑散期にあたる6月の売上が前年比で急伸したサロンが増えた。
【7月】
第2波到来で、サロンの衛生管理レベルが問われた
7月下旬~8月中旬にかけてのコロナ第2波で、衛生管理を徹底していたサロンほど顧客の信頼を得られ9月、10月のリピートにつながり、ひいては年末の来店につながった。
31日
緊急出版『サロンワークのための衛生管理』を小社より刊行
【8月】
時短施術、単価アップ意識高まる
春~初夏にかけて当たり前化した衛生管理の環境整備を経て、お客さま、スタッフ双方の感染リスクを減らす時短施術の意識が業界全体で高まる。経営面では単価アップ(生産性アップ)が叫ばれるように。
31日
株式会社ガモウ関西(藤本圭哉社長)がコンテスト「三都杯」をオンラインで開催。
【9月】
美容室の新たな指標「タイムパフォーマンス」
弊社ごとで恐縮ですが、ウィズコロナ&働き方改革時代の新しいモノサシを発表しました。
【タイムパフォーマンス】
・時短施術の促進
・短時間で単価アップ
・店販売上アップ
・時間外売上アップ(EC店販)
・技術の再現性アップ(持ち時間の向上)
・次回予約率アップ
・密にならない空間で密な関係性を築く顧客との親密度アップ
・スタッフの成長促進(早期育成)
・売上歩合だけでなく成長給も評価基準に加える人事評価による
組織力アップ
・上記を追求した結果、豊かな生活(Q.O.L向上)を送る
22日
株式会社ミルボン(佐藤龍二社長)では、関西大学(芝井敬司学長)と産学連携で9月22日から全15回にわたる寄付講座「美容・化粧品学」を開講。
【10月】
髪書房が業界初のウェブメディア「ボブログTV」開設
これも弊社ごとで恐縮ですが、技術動画を中心に経営動画、おもしろ動画、業界ニュース、LIVE配信を搭載したウェブサイトをローンチしました。
5日
タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は99周年を迎え、来る100周年に向けて「美しい人生を、かなえよう」というパーパス経営へのシフトを発表。
併せて、2021年9月27日、28日に美の国際祭典として「TWBC(タカラ・ワールド・ビジネス・コングレス)」を開催すると発表。
7~9日
第90回東京インターナショナル ギフト・ショー秋開催(株式会社ビジネスガイド社主催)。
19日
アマゾンジャパンが「美容業界に特化したAmazonビジネスの新しい取り組み」についてオンライン記者説明会を開催。
19~21日
ビューティーワールドジャパン ウエスト開催(メッセフランクフルトジャパン株式会社主催)
21~30日
世界最大の化粧品学術大会「The 31th IFSCC Congress 2020 YOKOHAMA」がオンラインで開催。美容メーカー各社も研究成果を発表。
【11月】
サロンの書き入れ時を前に、第3波到来
中旬からコロナ第3波が全国的に拡大。一時は回復基調にあった来店客数の伸びが全国的に鈍化する。
9日
一般社団法人ジャパン・ヘアドレッシング・アワーズ・アソシエーション(JHA)では、2020年の授賞式を開催。グランプリは内田聡一郎氏(LECO/写真左から2人目)が受賞。
17日
日本ロレアル株式会社(ジェローム・ブリュア社長)がコロナ後メーカー主催としては初のリアルコンテスト「スタイル&カラートロフィ」を開催。
【12月】
美容室は強い!を実感した師走
コロナ第3波のリスクを感じつつも、美容室の売上は全国的にみると堅調だった模様。「わざわざ行く」都市部サロンの客数減は残念ながら年末まで続いたが、郊外型サロン、個人店の好調ぶりが目立った。
1日
一般社団法人プログレス(吉原直樹創設理事長)が2021年から中央大学ビジネススクールと協調して開講する「美容業界次世代リーダー育成/Professional Beauty Business Program」開講を発表。
7日
株式会社ガモウ関西(藤本圭哉社長)がコンテスト「三都杯・決勝」をリアル開催。
【来年は?】
忍んだ2020、凌ぐ2021
①環境衛生業を前提とした上記タイムパフォーマンスの追求
②客数より客層重視へ
③教育、求人、イベントのオンライン化が進む
④ますます多様化する就労問題への適応
⑤激動の時代に未来を照らす革命リーダーの待望
集客面では新型コロナウイルスによってあらためて気づかされたエリアビジネス、リピートビジネスとしての美容業を追求する年になるのではないでしょうか。
タイムパフォーマンスの向上は全サロンが追いかけられる指標だと考えます。
その意味では「どんなお客さまと共に時間を過ごすか」、美容に対して施術者と価値観が近しい客層を選定する動きがサロンの規模や世代を問わず加速しています。この流れの中に、SNSを中心としたデジタルツールが果たす役割はますます大きくなります。
来年もワクチンが普及するまではリアルイベント開催は制限付き、もしくはオンラインにせざるを得ないでしょう。一方で、オンライン会議のように意思決定スピードが速まるのは良いですが、人が人を介して得る生きた情報伝達が行なわれなくなっているのは「人で成り立っている」美容業界こそ解決したい課題です。
また、集合教育が難しい今、多店舗サロンはオンライン教育の環境整備が求められます。求人では2020年に一般化したオンライン面接は2021年も継続されるでしょうし、ひいてはオンラインカウンセリングによる時短なども増えるのかもしれません。
働き方改革と働き方の多様性は驚くほど進んでいます。コロナ禍にあっては長期的な安定雇用への信頼が再確認されました。さらに本ブログでも記載したとおり「シナジーサロン」など今年も新たな就労形態に挑むサロンがありました。この流れは来年も続きそうです。
今年はあらゆる局面でパラダイムシフトが起きました。波乱の時代こそ、未来を照らすリーダーの登場が望まれます。もはや未来が過去の延長でなくなった今、次のリーダーは誰もがなれる権利を持っているはず。常識という重いコートは脱ぎ捨て、時代が楽しくなる方法を見つけたいものです。
世の中が一変しても、人が人を信じて来店し、人が人を教え、人が人を支える美容業の強さを知った2020年。来年はその底力が花開く年。新しい波はもう起きています。(この予測は月刊BOB、月刊NEXT LEADER、ボブログに掲載した過去記事から推測しました)。
最後に。
冒頭のアイコンは、弊社の月刊BOB、月刊NEXT LEADERが6~8月号のコロナ特集号で使用していたものです。
「自粛はしても委縮はするな、共に前へ」という祈りを込めて制作しました。
この想いは来年も持ち越し、より皆様にお役に立つメディアとして進化することをお約束します。
本年もボブログをご愛読くださり、ありがとうございました。
2021年もボブログをよろしくお願いいたします。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。