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2022年の美容業界振り返りと2023年の展望【前編】
新年、あけましておめでとうございます。
兎年の2023年。
うさぎは跳びはねることから「飛躍」の象徴であり、また、兎年は芽を出した植物が成長していき茎や葉が大きくなる時期であることから、目に見えて大きく成長する年だと言われているそうです。
どうか皆様の2023年が実りある飛躍の年になりますように・・・。
では早速、2023年の初投稿は「2022年美容業界の出来事」を振り返りながら、今年の展望についても触れていきたいと思います。
2022年は1月に34都道府県にまん延防止等重点措置が要請されましたが、2022年は緊急事態宣言が発令されることはありませんでした。
2020年〜2021年に比べ、美容室もだいぶ通常営業に戻ってきた1年だったのではないでしょうか。
【2022年1月】
成人式は部門制で開催
2021年は各地で成人式の中止が決定され、開催するエリアでも最大5000人かつ収容率50%以下に制限されるなど、美容室での着付けやヘアメイクに大きな影響を与えましたが、2022年は各地で成人式が開催されました。
2022年4月から民法で定められる成年年齢が18歳に引き下げになったことで、2023年から成人式はどうなるのか? という議論も繰り返されてきました。
成人式の時期は各自治体の判断で実施されており、多くの自治体では名称を「二十歳の集い」などと変更し、20歳の方を対象に実施する予定のようですが、自治体によっては18歳での開催を決定しており、三重県伊賀市では20歳は1月、19歳は3月、18歳は5月と、時期を分けて3学年の成人式を行うようです。
すでに自サロンの自治体の成人式の日取りはチェック済みと思いますが、2023年の成人式の状況は要チェックですね。
『月刊BOB』 2023年1月号ではパーティや成人式で使えるアレンジ特集号。
技巧的・特殊系のアレンジで差別化している美容師のテクニックは、他では見られない必見の特集です!
月刊BOB 2023年1月号「超・技巧的×アレンジで差別化せよ!」
なお、例年1月に行われる新春パーティや新年度方針発表会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2022年も中止もしくはオンライン開催となりました。
【1月の主な業界ニュース】
17日
中野製薬株式会社は2022年の方針/政策発表「NAKANO NEW MESSAGE 2022」をオンラインで配信し、同社が取り組む「生活者の“サロン体験最大化”」のテーマを発表。また、19日には同社の環境保護理念「NSAP=NAKANO Sustainability Action Plan」に基づき、ヘアカラー剤第1剤パッケージデザインの仕様を変更し包装資材の簡素化で環境負荷の低減に対応すると発表した。
20日
ウエラ プロフェッショナルは、全国80拠点をオンラインでつなげて2022年方針説明会を行った。「ウエラからの約束」としてすでに掲げられていた“INSPIRE STYLISTS, INSPIRE BUSINESS”は2022年も継続し、2022年の新たな取組テーマとして、サロンと共に「カラーフォロワーを創る」が発表された。
24日
株式会社アジュバンコスメジャパンは2022年度の「全国代理店会議」と「代理店表彰式」をオンラインで開催。30年前の創業時から一貫して地球環境に優しい成分・容器包材を使った化粧品を提供してきたことに触れ、2022年は新製品とリニューアル製品でSDGsの取り組みを更に大胆に推し進めると発表した。
24日
北海道から四国まで、約200店舗が加盟するdupa美容協同組合はオンラインで全国定例会を開催し、「新生dupaはサロンの質にもっとこだわり、中小サロンの活性化をめざすため生産性の高いサロンを称賛していきたい」と発表した。
【2月】
コロナ濃厚接触者の自宅待機期間が短縮
北京冬季五輪で日本勢が最多のメダル18個を獲得した2月。同月24日にはロシア軍がウクライナに侵攻を始め、その後の原油価格や原材料の高騰など世界を大きく揺るがす戦争が勃発しました。
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染者の同居家族に求める自宅待機期間を、感染者の発症から7日間に見直すと発表。
これまで看病などを行う家族は最長17日間の待機が必要でしたが子どもの感染者が急増したことで、保護者が社会復帰するまでに長期間を要することが問題となっており、在宅勤務ができない美容室の営業にも大きく関わる変更となりました(その後、濃厚接触者の待機期間は5日に短縮)。
【2月の主な業界ニュース】
7日
株式会社ミルボンは2022年度の政策プレゼンテーション「NEXT VISION」をオンラインで配信し、美容室の新たなあり方改革〜サロンソーシャルイノベーション〜として、「スマートサロン戦略」と「ビューティライフケア戦略」を掲げた。また、2021年12月期(第62期)の決算報告会を行い、コロナ禍においても売上は好調に推移し、400億円の大台を突破。コロナ影響前の2019年対比でも14.7%の増収となった。
7日
株式会社アルテサロンホールディングスは、取締役会においてマネジメント・バイアウト(以下MBO)の一環として行われる(株)ジェネシス(公開買付者)による普通株式に対する公開買付について賛同の意見を表明し、株主に対し本公開買付への応募を推奨することを決議した。公開買付会社として吉原創業会長が代表取締役を務める(株)ジェネシスによる公開買付後に、(株)アルテサロンホールディングスは上場廃止となる予定。
8日
株式会社フジシンなどで構成されるF’s GROUPはオンライン配信で「ウィナーズフォーラム2022」を開催し、2022年度の同グループのテーマは「価値の創造と伝達」であると発表。サロン独自の価値を持ち、顧客に伝わるサポートをすることが同グループのミッションであると語った。
10日
ヘンケルは、資生堂のアジア太平洋地域におけるプロフェッショナルヘアビジネスを取得する契約を締結した。この買収には、事業ブランドである『SHISEIDO PROFESSIONAL』の使用許諾に加え、その傘下の製品ブランドである『サブリミック(SUBLIMIC)』や『プリミエンス(PRIMIENCE)』といった主要ブランドの取得を含む。
【3月】
繁忙月の3月、卒業イベントも復活
3月21日でまん延防止等重点措置はすべて解除されました。
2020年は大学の卒業式は6割が中止。2021年は規模の縮小や時間短縮を講じての実施に対し、2022年は保護者の参列が中止になるケースが多かったものの2部制などの分散型で多くの卒業式が挙行されました。
1年半ほど前に武道館のある九段下に移転した髪書房メンバーは、2022年3月末は毎日のように袴姿の卒業生のヘアスタイルをチェックしながら出勤。卒業アレンジの記事も増やしました。
【卒業式の関連記事】
【3月の主な業界ニュース】
2日
一般社団法人 日本美容サロン協議会(JABS)は定期活動報告会をオンラインで行い、美容師国家試験の見直しについて議論が行われた。JABSは昨年来オールウェーブやフィンガーウェーブなど、美容室の現場と必要性の認識に乖離が見られることを国に働きかけている。合わせて、近年志望者が多いまつ毛エクステンションの国家試験導入も訴求している。
13日
タカラベルモント株式会社は、HAPPY WOMAN実行委員会が主催する「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2022 for SDGs」において、ヘアコスメプロダクトシリーズSEE/SAWで「女性応援ブランド賞」を受賞した。この賞は、女性を応援する商品やサービスを展開し、女性の活躍推進に寄与した企業を表彰するもので、個人部門5名、企業部門4社が表彰された。
15日
株式会社b-exは、ヘアサロンから世界のゼロカーボンを目指す「グリーンプロジェクト」発足の記者会見を行った。同プロジェクトは世界初のゼロカーボンシャンプー「O’right/オーライト」がヘアサロンに本格展開されるのを機に、カーボン排出量削減に向けて取り組むべき項目=グリーンスコアを「24」に明確化。2025年には5,000店舗以上の賛同獲得を目指す。
【4月】
大型連休目前、美容室の売り上げは持ち直し傾向
過去2年間は大型連休前に緊急事態宣言が発令されていましたが、2022年はどこの地域でも移動制限のないゴールデンウィークとなりました。
全都道府県に緊急事態宣言が発出された2020年と比較すると2022年のGWは全国の1日あたりの旅行者数が平均で97%増加したというデータもあり、人の動きとともに、美容室の売り上げも持ち直しの動きが見られ始めたことが日本政策金融公庫の「生活衛生関係営業の景気動向等調査結果」からもわかります。
※1日あたりの旅行者数データ 出展元:https://locationmind.com/news/2022gwanalysisreport/
※日本政策金融公庫による生活衛生関係営業の景気動向等調査結果(美容業463企業)https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu2022_0823a.pdf
【4月の主な業界ニュース】
4日
株式会社アリミノは、新年度活動方針「アリミノプレゼンテーション2022」を動画で配信し、4月からの同社の活動テーマとなる「チャンス!ー今・こそー」を発表。昨年比115%で着地した2021年度の売上進捗についても報告した。
6日
株式会社ミルボンは、2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博))「大阪パビリオン」に協賛することを決定した。今回のパートナーシップを通し、人々が自分らしく心豊かに美しく生き続けられる社会の実現を目指す。
6日
タカラベルモント株式会社は2022年全国有力代理店会議を3年ぶりに開催した。2021年度の連結売上高は国内マーケットが565億円、海外マーケットが167億円。全体売上は2020年度実績比で14%アップ、コロナ前の2019年と比較しても5%アップした。2022年は101年目のスタートとなる。
この月発売の『月刊NEXT LEADER』では、親族内承継が多かった時代から親族外承継、M&Aによる引き継ぎなど、刻々と変化する美容室の事業承継の形を特集。未来を背負う後継者のために現経営者がすべきことは何かがわかる5月号。好評につき、在庫残り僅かです!
※コロナ対策の一環として、こちらで紹介した「月刊NEXT LEADER」をオンラインショップにて販売しています。
会員誌ということもあり、これまで手に取ったことがない方やページをパラパラとめくったことしかない方、この機会にぜひご一読ください。
【5月】
ABEXに3万人が来場
政府は新型コロナウイルス対策のマスク着用について、屋外で人との距離(2m以上を目安)が確保できる場合やほとんど会話をしない場合は「必要ない」とする見解を示した。屋内でも周囲との距離(2m以上を目安)を保ち、会話を控えれば不要としました。
5月30日〜31日は「アジアビューティエキスポ」(ABEX)が開催され、来場者は2日間で3万人超え。
髪書房のブースはお祭りモードで巨大ガラポンによるクジ引きを行い、多くの美容師さん&美容学生さんが参加してくれました!
ABEX髪書房ブース。巨大ガラボン長蛇の列
【ABEXの関連記事】
【5月の主な業界ニュース】
16日〜18日
メッセフランクフルト ジャパン株式会社は「ビューティーワールド ジャパン」を東京ビッグサイトで開催。672社が出展し、3日間の来場者数は58,830名を記録した。
30日〜31日
美容ディーラーの全国組織である全国美容用品商業協同組合連合会は、アジア最大級の美容商材展示ヘアショーの祭典「第9回アジアビューティエキスポ」(ABEX)を開催。155社・502コマの美容商材展示会と計63ステージのヘアショーを実施。来場者数は2日間で30,138人を数え、目標の25,000人を大きく上回った。
【6月】
加速するEC
新型コロナウイルスの感染拡大で停止していた海外からの観光客受け入れが団体ツアーに限って解禁されました。
また、6月に厚生労働省は、2021年の人口動態統計を公表。出生数は前年から2万9231人(3.5%)減り、過去最少の81万1604人に。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は1.30と、前年より0.03ポイント低下し、6年連続で減少しています。
『月刊NEXT LEADER』2022年6月号でも特集した「店販3.0」。コロナ禍による店販の変化やECなどの最前線をまとめていますが、2022年はECがより加速した1年だったのではないでしょうか。
EC取り組み前に比べて店販売り上げが増加している美容室や、リピート購入の増加など目に見えた成果が出始めています。
【EC関連記事】
【6月の主な業界ニュース】
23日
タカラベルモント株式会社は、 2025年の日本国際博覧会において、 大阪府・市・2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会が出展する「大阪パビリオン」に協賛し出展参加を決定した。阪パビリオンのテーマである「REBORN」に共鳴し、「REBORN」のベースとなる「いのち」と「健康」、 心身豊かで快適に暮らしやすい未来社会の実現をめざし、同社の主力事業である美容と医療を融合した「未来のヘルスケアサロン」の展示を予定している。
ここまでざっと2022年の前半を振り返ってきました。
2022年7月号以降の振り返りは続く【後編】でまとめたいと思います。
どうなる?
2023年の美容業界
『月刊NEXT LEADER』2023年2月号(1月1日発売)によると、2023年はコロナ禍で進んだパラダイムシフトがより顕在化する1年になりそうです。
美容業界における2023年の経営キーワードをピックアップしてみました。
①インボイス制度の影響
②原材料高騰によるインフレの影響
③スモールM&Aの増加
④ECの普及で伸びるサロン店販
⑤教育サロンのフリーランスサロンの併設
⑥ 企業価値となるCSR
⑦ターゲットを絞った特化型集客
①インボイス制度の影響
インボイス制度は2023年10月から始まりますが、課税事業者になるための申請は3月31日。それまでに免税事業者のままでいるか課税事業者になるかを決めなければならず、時間はあまりありません。
業務委託スタイリストの割合が多いサロンでは、美容師に負担を強いることで人材を失うリスクもあるため、当面免税事業者のままでいてもらい、会社が消費税を負担するケースも聞こえてきています。
『月刊NEXT LEADER 』2023年2月号(1月1日発売)
2月号では、インボイス制度に向けたサロンの具体的対策も掲載。
【関連記事】
②原材料高騰によるインフレの影響
昨年までは大きな影響はなかったインフレの影響。材料費や光熱費の値上げなど徐々に表面化してきており、2023年は新たな対策が必要になりそう。
売り上げアップだけではなく、経営をスリム化する取り組みも注目されてくると月刊NEXT LEADER編集部では予測しています。
商品やサービスの需要に応じて価格を変動する仕組みである「ダイナミックプライシング」を導入し、土日祝日のカット料金を1100円上げ、美容室の時間に価値をつくる仕組みも取材しました。
⑤教育サロンのフリーランスサロンの併設
コロナ禍で進んだ働き方の多様化やキャリアパスの1つとして業務委託サロンやシェアサロンなど、フリーランスサロンを出店する教育サロンも増えています。これまでよくあった業務委託サロンではなく、教育型の業務委託サロンとしてキャリアパスを用意しているサロンも増えています。
⑦ターゲットを絞った特化型集客
髪や頭皮の悩み、髪質改善、白髪ぼかしなどを売りにした特化型サロンが急増しています。1つの分野に特化しているため集客面で注目されやすく高単価化しやすいメリットがあります。一方、競合が増えると価値が損なわれてしまい人口が少ない地域では成り立ちにくいというデメリットもあるようですが、コンプレックスを解消するメニューを売りにした特化型サロンは2023年もさらに増加しそうです。
前編では2022年の美容業界振り返り(1月〜6月)と2023年の経営キーワードをまとめました。
1月5日公開予定の後編では、2022年7月〜12月の振り返りと、現場のスタイリスト向けに2023年の展望を予測します!