デザインサロンでの早期デビューにリアル密着します
“埼玉の渋谷”こと、東京・池袋駅。そこから私鉄に乗って埼玉方面へ向かうとのどか~~な住宅街が広がっています。そんな西武池袋線沿線の東京都練馬区は江古田駅に、CARNIVALという美容室があります。
CARNIVALで有名なのはなんといってもスタイリストのkazuさん!2018、2019年は連続してJHA新人賞にノミネートし、2020年は大賞部門の準グランプリに輝きました!!!ベリーショートで髪の動きを楽しむタイプの入賞作が並ぶ中、大胆シンプルなカットライン勝負のkazuさんの作品が印象に残っている人も多いのでは?
kazuさんが地域密着型サロンに突然変異で生まれたコンテスター、というわけではなく、CARNIVALにはほかにもミルボンDAなどの入賞経験者が控え、カリキュラムがしっかりした技術&デザインを磨けるタイプの美容室。突飛なキーワードや派手なスタイルでの集客をするのではなく、骨太な技術で地域の顧客の支持を得て練馬に3店舗を展開しています。
都内のこうした、ハサミで勝負系?なサロンはお客さま&お店側の要求する技術レベルが高いためにスタイリストデビューが遅い傾向が強く、8年なんてのもザラ。5年ほどかかるのが平均といったところでしょうか? しかし今回、3年目でのデビューにチャレンジするスタッフがいるということで取材に伺うことにしました!
僕が3年目のタケルです!宮城から来ました。よろしくお願いします。
この連載では、
●Z世代の職業観ってどうなってるの!?
●JHA入賞者・カットが上手いでおなじみkazuさんにアシスタントのカットを添削してもらったら何を言われちゃうの!?
●ミルボンDAで入賞できるかチャレンジ!
●最後に待ち受けるCARNIVAL独自の難関デビュー試験とは!?
●どうやってデビュー後のお客さまをつかむ!?デビュー後の売り上げはどうなっちゃうの!?!?
といったことを主題に、タケルさんのデビュー&デビュー後のサロンワークに密着していきます!
今回はことの経緯に加え、kazuさんによるタケルさんのカットの添削を2スタイルご紹介していきます✨
“3兄弟の末っ子が一番ヤバい” おっとり系なタケルさんの挑戦
98年生まれ、今年で23歳のタケルさん。仙台理容美容専門学校時代にkazuさんが講師として来校したことでCARNIVALの存在を知り、1年ほど髪を切りに通います。そして、ほかには就活もせず、第一志望のCARNIVALにいきなり入社。
有名サロンにもいくつか見学に行きましたが、CARNIVALが求めているサロン像にドンピシャだったんですよね
東京には行きたいものの、バリバリのサロンがいいというわけでもなかったんですね
東京に行けば何かあるのでは?と思っていて(笑)でも江古田が一番落ち着くのでCARNIVALに入れてよかったです!
このノリが長所でもあり短所でもあるというか(笑)、発信が素直で、自分を大きく見せようとしないので、お客さまに愛されるはず!と思ったんですよ。でも第一印象は「甘い子」でした。もう、ザ・末っ子!
年も離れてて一番ヤバい家族構成じゃん。3人兄弟の末っ子が一番ヤバいよ。
末っ子感は強いです(笑)。でもそんなタケルさんがCARNIVALの中でも早い段階でのデビューを目指すんですね。
kazuさんのJHAと自身のコンテスト経験がターニングポイントに
おっとりして見えますが、ガンコなところはガンコなんですよ。イヤなことがあると、ハイと言いながらも顔が拒否してる。じゃあ、もうとにかくやってみれば、と。ふてくされてる時間がもったいないから。
1年目のころはカリキュラムにつまづいたのがきっかけで退職も考えてました……コロナ禍で時間が出来たので自主練で取り戻したのですが、最近のもう一つのターニングポイントがまさにスタイリストデビューの話。早期デビューを目指してみては、という話が出ている中で、コンテストに出場したものの結果が振るわず、時間の無駄だったんじゃないか?と終わったことでくよくよ悩んでいて。
悩んでることこそ時間の無駄だよね。切り替えが大事!
切り替えられたきっかけがkazuのJHA入賞作の撮影だったんですよ。もう、現場の雰囲気が違くて。
正直、今回は取りに行ってました!作品に確信が持てたんです。
目標に向かって取り組んだら実現できるんだな!というのを体感できたんですよね。そこから目標から逆算してやるべきことをやればいいんだって発想になれて。そしたらスタイリストデビューもできるし、コンテストも必要じゃん、と。
デビューまでの障壁は? モデル100人切るぞ!
現在カリキュラムは一通り終わり、デビューに向けてモデル練習をしている段階のタケルさん。デビューまでの課題は何なのでしょうか?
ウイッグは合格しましたが、お客さまに合わせるっていうのが苦手なんですよね。
モデルさんをバッサリ切ってイメチェンしなきゃいけないんですよ。ロングならミディアム、ミディアムからならベリショとか、レングスも大幅に変えなくちゃいけなくて。半々くらいの割合で落ちる、かなりガチ試験です!
仕上がりの可愛さはもちろん、お客さまへの提案としてどうなんだろう?ひとりよがりじゃないかな?っていうところが審査基準になるみたいです。
なので、今はとにかくモデルさんで提案と実践力の向上を目指してます!5cm以上のカットで、100人が目標です!
kazuさんにモデルカットを添削してもらおう
せっかくkazuさんがいるんだからカットの添削をしてもらいましょうよ
あんまり改めて聞くことないので、緊張しますね。。。。
というわけで、まずはモデルさんでのカットを取材!そして、kazuさんに添削していただきます。
26人目/100人カットチャレンジ
BEFORE
初来店のモデルさん。ウルフにしてみたいけれど、結べる長さはほしい!明るくしてもいいけれどあまり色が強いと評判が良くないとのこと。前髪の分け目グセが気になっているそうです。
AFTER
完全にウルフにすると結んでまとまらなくなってしまうので、本人のウルフのイメージを抽出し、顔周りのレイヤーだけでウルフっぽさを表現しました
レングスはじっくり相談
こだわりの外ハネ
テンプレ通り過ぎない?決まった動作でつくった感じがする。何を見合わせたのかが見えてこないな。奥行きの意識がないんじゃない?
確かに、顔周りのレイヤーにポイントがあるというのもあって、正面を意識して切っていました。
サイドを見ると、ヘアのシルエットが垂直だから、横顔が面長に見てしまうんだよ。横顔の輪郭と左右対称にするのが一番バランスがいいんだけれど、全体のシルエットで左右対称にするのは難しいことが多いから、顔周りのラインと横顔の輪郭で左右対称にすると横顔がきれいに見えやすいよ。
バングの透け方とかも甘いというか、意識がいきわたってないなあ。頬骨の高さとかも考えた?
それができてないと、どこで切っても一緒だってそのうち気づかれちゃうんだよ。似合わせで差別化するのがカーニバル流だから、そこは頑張って!!
27人目/100人カットチャレンジ
BEFORE
就活中なので黒髪のままおしゃれ感をアップさせたいとのこと。分け目はキープ希望。ちなみに帰り際に内定の連絡が来ました!おめでとう~~!!!🎉🎉🎉
AFTER
トップと顔周りにレザーでレイヤーを入れ、動きを出しやすくしました。アンダーは外ハネ、レイヤーの入ったオーバーは内巻きのワンカールだけ頑張ってもらえればスタイリングがキマるのがいちおしポイント!
レザーでやわらかいレイヤーを表現
時短スタイリングを伝えたい意図もわかるけど、あまりスタイルチェンジができないときはフィニッシュワークでお帰りのときに特別さを感じてもらわないとリピートしてもらえないよ。これ、毛先しか熱を当ててないでしょ?
直線からハネさせただけのカールってインスタでよく見るけれど、フツーだよね。共感してもらいたいインスタならそれでいいかもしれないけど、お店ではもっと可愛くしてあげないと!このモデルさんって、モードで強い雰囲気も出してるけれど、コンサバな女性らしさも同時にあるよね
たしかに、直線的なジャケットスタイルでも優しい感じは失ってないですね。
そういう微妙なテイストの違いを見極めて、スタイリングで合わせよう。今回だったら、ウエーブをつくるわけじゃなくても根元から中間に熱を当ててあげないと、直線が残りすぎていてモデルさんが持っている微妙なフェミニンさとバランスが取れないんだよ。繊細さがない!
軽い気持ちで添削を頼んでしまったのにめちゃくちゃ勉強になる話出てきた……!!!!kazuさんに髪切ってほしくなりました
僕がそれくらいにならないとダメってことですよね……次は褒めてもらえるように頑張ります!
タケルさんが苦手としていること、kazuさんがタケルさんに覚えてほしいこと……美容師がお客さまに支持されるためのミソが詰まってました!
次回はミルボンDAエントリーに向けたフォトシュートwith入賞作撮りまくりフォトグラファー松山優介さんを取材します!参考になる予感しかしない……!
めちゃくちゃ勉強になるkazuさんの辛口添削編も100人切りが終わるまで何度かやっていきます!乞うご期待です🏃♀️