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ジアミンアレルギーじゃなかった! 結局“頭皮のかゆみ”は何だったのか検証
アルカリカラーに戻して「頭皮のかゆみ」はどうなった?
5カ月前の記事「これってジアミンアレルギー!? 皮膚科で20項目を診断してわかったこと」では、ジアミンアレルギーからくる頭皮のかゆみではないことがわかったものの、
・アルカリカラーに戻した今、頭皮はどうなっているのか?
・結局、かゆみはなんだったのか?
が気になり、続編をまとめてみることにしました。
【前回の記事】
皮膚科でアレルギー反応が出たニッケルは、食品にも含まれているそうで、金属アレルギーに注意しながらしばらく様子をみることに。
そして数カ月、ヘアマニキュアからアルカリカラーに戻して様子をみるも、頭皮に異常はなさそう・・・。
しかし梅雨が開け、頭皮に汗をかき始めると次第にかゆみが再発してきたのです。
前田先生に聞いた!”頭皮のかゆみ”のあらゆる原因
頭皮や毛髪科学で困ったときは・・・前田先生!
毛髪診断士および毛髪協会認定講師の資格を持ち、弊社から『美容師のケミ会話』を上梓したのりこ美容室 前田秀雄さんに「頭皮のかゆみ」について聞いてみました。
【日常生活に関わること】
●汗をかいたとき
●洗髪不足
●洗髪のし過ぎ
●洗い方の問題
●乾かし不足
●紫外線の浴びすぎ
また、スポーツ等で頭皮が日焼けして皮膚に炎症が起こることでもかゆみが発生します。紫外線によって皮脂が酸化され地肌を刺激し、かゆみが発生することも!
●天候の変化
天候の変化によっても症状があらわれます。夏場、暑い外から冷えた室内に入ったり、またはその逆。冬は、寒い外から暖かい室内に入った場合、またはその逆により起きた温度変化が皮膚に対して刺激となりかゆみが発生します。
【頭皮タイプによるかゆみ】
●皮膚常在菌のバランスが崩れたかゆみ
頭皮にはマラセチア菌という皮膚常在菌がいます。ほどよい皮脂は頭皮に潤いをもたらし、雑菌や細菌の侵入を防いで頭皮の健康を守ってくれています。 ところが、何らかの理由で善玉菌、日和見菌、悪玉菌のバランスが崩れかゆくなります。そしてフケ症となります。 また、ステロイドの使いすぎで頭皮の常在菌の環境が乱れてしまった場合や、抗がん剤(特に最近よく出されている分子標的薬)を使用している場合にかゆみが発生します。
●脂性フケによるかゆみ
もともと脂性肌、もしくは洗髪不足などで皮脂が過剰にある場合は、皮脂を栄養とするマラセチア菌も必要以上に増殖します。これによって地肌が刺激を受け、ターンオーバーが乱れて大量のふけが発生します。これを脂漏性皮膚炎と言います。毛髪で覆われた部位、生え際、耳たぶの後ろは皮脂腺が豊富な部位です。マラセチア菌が皮脂を分解して遊離脂肪酸をつくり、その刺激が炎症の原因となります。取り切れていない皮脂は酸化が進み、ほこりや汚れを吸着し、古い角質とまざりあってベトベトした脂性フケとなります。もともと脂性肌タイプの人は、頭皮に皮脂や汗が人より多く発生するため、脂性フケになりやすいと言えます。
●乾性フケによるかゆみ
過度な洗髪や洗浄力の強いシャンプー剤によって皮脂が必要以上に落とされることで発生します。潤いがなく乾燥した頭皮は、免疫力が低下し、ターンオーバーのリズムが早まって、本来必要とする角質まで剥がれ落ちるようになります。もともと乾燥肌の人は頭皮も乾燥しやすく、乾性フケになりやすいと言えます。
【伝染性のかゆみ】
●アタマジラミ
アタマジラミは保育園、幼稚園、低学年児童の頭髪に寄生し人の血を吸って生きている害虫で、季節を問わず頻繁に発生しています。 お子さまから親にも当然うつります。 吸血されたあとは激しいかゆみに悩まされます。
【ビタミン不足などによるかゆみ】
●ビタミンAの過剰摂取
ビタミンAの過剰摂取が皮膚炎を引き起こすことがあり、それがかゆみを発生させます。
●亜鉛と活性型ビタミンD不足によるかゆみ
亜鉛と活性型ビタミンDを処方すると、かゆみ症状が良くなっていく報告があることから、この2つが不足するとかゆみの原因となる場合があります。ビタミンDが活性型ビタミンDに変換するには、紫外線を浴びる必要があります。実際に、海外の研究では、潜水艦の乗組員は血中ビタミンD濃度を適切に維持できないという報告があります。 亜鉛は昔から皮膚科で「亜鉛華軟膏」などの薬に配合され、かゆみなどを抑える目的で使われています。
●その他ビタミン不足によるかゆみ
特にビタミンB群の不足は、肌荒れや皮膚炎などを起こします。 肌の健康に大きく関係するのは、ビタミンB2やビタミンB6です。 特にビタミンB2は「美肌ビタミン」と呼ばれ、なめらかに整った肌の維持に働きます。 ビタミンB群は体内に備蓄できないので、毎日摂る必要がありますから、不足すると肌荒れしやすくなりますからかゆみを発生させます。
【薬の副作用によるかゆみ】
●抗生物質
抗生物質を服用すると、皮膚がかゆくなったり乾きやすくなったりする場合があります。皮膚がかゆくなると、どうしても掻いてしまいがちですが、刺激を与えることでさらに痒みを増します。ひっかきすぎで、常在菌から感染を起こしたときに抗生剤を使って感染を抑える場合がありますから、皮膚科医に判断はお任せしましょう。決して素人が判断しないように。
●スティーブンス・ジョンソン症候群について
滅多にありませんが、一般の医薬品を服用した際、皮膚や眼、くちびるや口内粘膜に炎症を起こす副作用が発生する可能性があります。これをスティーブンス・ジョンソン症候群といい、人口 100 万人当たり年間 1~6 人との報告があります。 粘膜眼症候群と言われるように、頭皮よりも粘膜や目の結膜、角膜に発生することが多く、頭に皮疹が出る頃には救急車で運ばれるほどの重症になります。
薬の副作用はさまざまあり、 発疹やかゆみを伴うものもあると言います。
年齢とともに体質が変化したり、これまでトラブルがなくても、ある日突然トラブルが起こることもあるそうです。
美容師さんはお客さまが頭皮のお悩みを伝えやすいように導き、1つひとつの可能性を一緒に考えて差し上げる”頭皮と毛髪の良きパートナー”であることが、今後より大切になってくるのではないかと思います。
・定価:4,290円(本体3,900円)
・判型:B5判(182×257㎜)
・ページ数:192ページ
・発売:2018年5月16日
店販購買率95%、年間平均来店回数8回、固定リピート率95%!スゴイ数字を出し続けている前田さんの「リアルなカウンセリングで使っているキーワード」が学べる本書。
現場でよく聞かれる25の毛髪科学にまつわる疑問と、そこに出てくる専門用語をサッと引くことができる辞典の2部構成なので、毛髪科学がスルスル理解できます。
Profile
前田秀雄(のりこ美容室)
1965年9月6日、京都府生まれ。京都理容美容専修学校卒業後、1991年に母・紀子さんが創業したのりこ美容室に勤務。2007年に事業を承継し㈱NORIKOを設立。代表取締役社長となる。毛髪診断士および毛髪協会認定講師の資格は1995年に取得。小さな美容室の「行きつけマーケティング」という独自化経営のコアを支えるのが毛髪科学知識であり、徹底した悩み解決提案・施術にこだわる。趣味は天体観測。著書に『ちっちゃい美容室のでっかい革命』(2015年/髪書房刊)。