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若手をブーストさせる、業務委託サロン。業界最速1000万円スタイリストが生まれたベレーザの秘密
新型コロナウイルスが流行しだし、自粛ムードが今以上に強かった昨年3月。
渋谷の業務委託サロン「Beleza」のスタイリスト、当時弱冠23歳のRYUSEIさんが、ミルクティーカラーを武器に月間総売上1,050万円を達成しました。
その達成方法の詳しいところは誌面をご確認いただくとして、Belezaは業務委託サロンなのに、席の使い方の自由度が高かったり、またRYUSEIさんが「ベレーザ」という名前を推すことにこだわるところがなんとなく気になっていました。
なんでだろう??と思ったので、思い切ってオーナーである多田さんに聞いてみました。いわく、「RYUSEIたちと一緒にそういうサロンを作ったんです」と。
え、業務委託だよね???
ってことで、詳しく取材してきました!
Beleza EraとBeleza、2店舗で20人
取材に伺ったのは新店舗のBeleza Era。現在のRYUSEIさんのお客さまたちのような高単価なお客さまを持つスタイリストたちが、比較的ゆったりめにサロンワークできる環境になっています。Eraは、もちろん時代という意味。これから時代を作っていくスタイリストたちのサロンって感じでしょうか!
あまり売れているスタイリストが増えると席の奪い合いになってしまうので、Belezaを卒業してEraに移行してもらい、また新しいスタイリストが育つ環境を保つ、という流れになってます。
雇用形態としては、アシスタントは社員としての採用。デビューすると業務委託契約を結びます。BelezaとBeleza Eraの二店舗、社員・業務委託あわせて20名程度が在籍しています。
デビュー半年で必ず100万円スタイリストになれる。新卒採用の応募者は100人以上。
そんなわけでRYUSEIさんはすでに卒業したBelezaですが、2021年3月の店舗売り上げが2,200万円、お客さまが多くない月でも1,200万円程度をキープ。というのも、既に月間売上350~200万円の個性豊かなスタイリストが5名も在籍しているのです。
RYUSEIさんはインスタでの自己ブランディングで集客していましたが、ベレーザはそもそもHPBをメインに新規集客が強いサロン。本店では平月で4~500人、学生客が特に増える3月には955人を数えました。フリー客で訓練し、その間にインスタのアカウントを育てて数千フォロワーを獲得して単価の高い指名客をつかもう、という流れ。しかも社員のアシスタントをつけてもらえるので、十分に実力を発揮することが出来ます。
ブランディング指導にはRYUSEIさんを始めとした成功者たちがあたります。
スタイリストが一人前、いやそれ以上に成長できるお店の風土が、業務委託とは思えないレベルで出来上がっているんですね。だからこそ、いち早く5月でしめ切ってしまった今年の新卒採用には、3人程度の採用人数に対して100人を超える応募があったそうです。
スタイリストがやりたいだけやれるための業務委託
アシスタントは社員だし、ブランディングを見てもらえたり、しっかりスタイリストを育てている印象のベレーザ。逆に、なぜ業務委託という形態を取るのでしょうか?
「やりたいだけできる環境を作りたいと思っていたんです。なるべく早く成功を経験したほうが、成長のリミットは上がる。税金だったりとか、お金のことも自分で覚えたほうがいい。やりたいだけやれて、稼げる。経営者側からすれば自発的に稼いでくれるのだからwin-win。それを実現したら今の形になりました」
若いときは体力もあるし働くのが楽しいけれど、会社員だと労働時間も限られ、人間関係やサロンワーク以外の雑務にフタをされてしまうこともあります。そのフタをとって、代わりに自己責任が大きい環境をつくる。そうするとやりたい放題になるというわけではなくて、お互いの成功のために必要な協力や教育が洗い出されて効率よく回っていく。それがベレーザの現状なのでしょう。
「ただ、これは現状の少ない人数だからバランスが保たれて成立する状態。今は和を優先するために雇用形態も一律ですが、今後は考える必要があるかもしれません」
多田さんは、実はベレーザの2代目オーナーです。すべてはRYUSEIさんとその同級生たちが所属していた、前オーナー時代のベレーザと多田さんの出会いから始まりました。
いきなりバズらせ、自信をつけて新生ベレーザスタート
Belezaという店名は前オーナー時代から変わりません。
レストラン経営の会社が経営する業務委託サロンで、予約数に対して人数を割り振るだけの機械的なリソースの使い方をしていました。先行投資という発想がなかったわけです。出身サロンの名前でスタイリストを選別し、アシスタントも自分で雇わないといけませんでした。
「一時的な踏み台にされて美容師が入れ替わっていく、典型的な業務委託サロンですよね。僕からすれば、伸びしろがあると思うのですが。ただ、新規集客には投資しており、フリーの人数はそれなりにいることは引継ぎの時点で把握していました」
2019年、同級生たちと一時独立するも、オーナーよりスタイリストとして経験を積みたかったたRYUSEIさんがそのままのメンバーでベレーザに入店。もともと独立志望でしたし、お店を成長させたいという思いはありました。しかし、上述の通りの環境でほとんど飼い殺し状態。
そんなとき、長く続くサロンで、これからの人が育つ環境を作りたい、と思っていた多田さんがベレーザと出会います。
「BelezaとRYUSEIを見て、ピカーっと頭の上で電球が光ったような感覚になりました。ハイトーンのニーズの増加も意識していましたし、カラーなら若いスタイリストが勝負できるという見込みもあった。でも何より、人がやっていないことをやろうとしている彼らを伸ばしたいと思えました」
オーナーが多田さんに交代したのががまさに3月。既にインスタのブランディングを進めていたRYUSEIさんに指名が入ることも、フリー客がそれなりにいることもわかっていたので、4人だったスタッフを倍に増やし、先行投資でブーストをかけました。その結果が冒頭で紹介した24歳での1000万円達成です。
偶然の合致が新しいブランドを生んだ瞬間でした。
自分がやりたくてできなかったことを、やれるサロンづくり
「僕は金を出して口を出さない。せいぜい掃除のことくらいしか注意しません。都合のいいオーナーだと思います(笑)」
そう語る多田さん自身、高校を中退して美容室で働きながら免許を取得し、23歳で独立という早熟な美容師でした。独立後はひとりサロンで月間売上200万を超え、一人ではこれ以上伸びないので10席のサロンをオープン。今そのお店は、「KOKOMO」という自社ビルを持つ繁盛店になっています。
香川ではバーなどの飲食店も経営しつつ、美容師としても月間売上500万円。めちゃめちゃ順風満帆な経歴に見えますが、35歳のころ、すべて人に任せて上京したそうです。
「香川にいたときも、時折ヘアショーに出演したり、VIP客にお呼ばれしたりして東京で髪を切ることがありました。うまい人ももちろんいるけれど、僕のほうが切るのが上手いと感じることもあり、東京で戦ってみたかったんです。香川ではもうやるべきことがないとも思っていて。でも地方からの出店って、正直成功例があまりない。それに、どうしても年をとればつくるスタイルがコンサバになって面白くない、新鮮なスタイルって作り続けられません。そんなときにBelezaに出会って、自分ができなかったことをやってもらえるのではないか、と感じました」
多田さん自身が早く成長したために感じていた、若い力を押さえつけるフタを取っ払った環境がベレーザなのです。
若い人に憧れられるブランドに成長させる
きっかけは偶然です。偶然RYUSEIさんたちが在籍するサロンが売りに出されていたところに、多田さんがサロンを探していただけ。でも一時的に加熱しただけではなく、その風土を保ち、既にハイパフォーマーを何人も生み出しているベレーザ。これからはどうなっていくのでしょうか。
「ベレーザに在籍しているのは、RYUSEIが特にそうですが、後追いするのではなく後追いされる側の人間です。だから経営の面でも常に新しいことを仕掛けていかないと若いパワーに負けます!美容学生などの若い人たちに憧れられ続けるブランドになる力があると思っているし、出店も含めてそのブランディングを検討しています」
スタイリストもお客さまも、これからのターゲットも若い。Beleza本店ではカット4000円なのに、店舗としての平均客単価が1万2千円(Eraは2万円!)という高単価を生み出しているように、高い代謝で常に走り続けるのがベレーザ。次の展開から目が離せません。
「近々すごいことも考えていますので、お楽しみに!」
多田哲也(株式会社KOKOMO 代表取締役)
ただてつや/1980年6月7日生まれ。香川県出身。16歳で美容室でのアルバイトを始め、通信教育で美容免許を取得。18歳でスタイリストデビュー。23歳で独立開業した美容室は香川県高松市で「KOKOMO」として現在も営業中。美容室、バー、まつ毛サロンなど8店舗の経営。2019年、BelezaをM&Aで購入し、オーナーに。