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登録者はコロナ前の1.8倍!美容師にも書ける? 売れる“note“研究

皆さんはSNS、何種類運用していますか? 美容室や美容師さんにとってInstagramは集客ツールとしてすっかり定着し、それ以上にオンライン会社説明会などの求人ツールとして活用する人も増えてきました。その他、公式LINE、Twitter、TikTokにclubhouseと、さまざまなソーシャルメディアがあり、それぞれONとOFFで使い分けている人も多いのではないでしょうか。

さて、今回注目したいのは「note[ノート]」。実は小社髪書房も3年前からnoteを細々と運用していたのですが、ここ1カ月くらい、急にアカウントやマガジンのフォローが増えたんです。

そこで、改めてnoteって美容室や美容師さんがやる意味あるのか? 販売したいけど労力に見合わない? いろんな疑問を改めて検証してみました。

「note」とは“クリエイターのためのメディアプラットフォーム“

まず、noteの基本情報から。note公式によると

クリエイターが文章やマンガ、写真、音声を投稿することができ、ユーザーはそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォームです。

とのこと。運営元のnote株式会社が掲げる方針は「クリエイターファースト」であり、“クリエイターエコノミー(創作者が創作物をマネタイズすること)“に取り組んでいるとしています。

2021年の事業説明会での発表によると、会員登録者数は380万人に達し、前年比1.8倍増。コロナ禍の外出自粛の影響でイベントやセミナーといったオフラインでの情報交換や販売の場が失われたことによる影響と見られています。

昨年5月には月間アクティブユーザーが6300万人を突破したとも発表され、かなり大きな情報のプラットフォームであり、注目すべきマーケットになっています。他のSNSの国内月間アクティブユーザーは、Instagramが3,300万人、Twitterが4,500万人、TikTokが950万人と発表されていますので、非常に大きなマーケットであるということがわかります。

今noteは美容師的にブルーオーシャン?

さて、これだけのユーザーをもつnoteですが、美容師クリエイターはどれくらいいるのでしょうか? また、そのフォロワー数はいかほど??

まず、「美容師」で検索してみると、クリエイター数は2,509件がヒット(2021年7月16日現在)。

注目すべきはそのフォロワー数で、1,000人を超えるフォロワーをもつクリエイターは上位4名までなのです。Instagramのフォロワー数は1万人、10万人と超えている美容師さんが多いですし、まだまだこちらはこれから始める人にも開拓の余地がありそう?

参考までにその上位3名をご紹介しておきます。(※1名は“元“美容師さんなので紹介割愛しています)

▶︎中村拓郎(美容室らふるグループ 代表)さん 3,577フォロワー

https://note.com/laughful_takuro

美容室らるふの中村拓郎代表名で、お店のブランディングに関わる記事を発信されています。お店の逸品やサービスのこだわりや、スタッフヒストリー、新店オープンのヒストリーなど。

▶︎美容業界誌・髪書房(『月刊BOB』&『月刊NEXT LEADER』) 2,103フォロワー

https://note.com/kamishobo

小社髪書房の公式note。小社刊行書籍や過去のウェブ連載などから、noteに登録しているであろう一般ユーザー向けのコンテンツを抜粋して掲載しています。最近じわじわとフォロワーが増えているのが『現場で使える毛髪科学★美容師のケミ会話』。同名の小社書籍から抜粋し、穴埋めのクイズ形式で記事を展開しており、おかげさまで書籍の購入にもつながっています。

▶︎山崎健吾さん 1,062フォロワー

https://note.com/kengo_free

フリーランスでカラーを得意とする山崎健吾さん。『カラー講師がレシピ公開してみた』という月額500円のマガジンの限定記事を中心に構成されています。

noteの大きな特徴は、有料記事が販売できるということ。記事単体を販売することもできるし、月額制のマガジン(同テーマ複数の記事をカテゴライズする機能)を作ることもできるし、記事の途中から有料にすることもできます。ですので、少ないフォロワーでも十分に狙ったコミュニケーションが取れていたり、マネタイズできたりするので、登録美容師さんとしてもInstagramほどフォロワー獲得に執着がないのかもしれません。

また、ブログと同様にまとまった文章や情報をアップするハードルが高く、三日坊主で辞めてしまった……という人もいるかも。

美容師が書ける“売れる有料記事“とは?無料でもやる意味ある?

ただ、美容師さんに限らずよく聞くのが「有料記事が売れない……」と言う声。

どんなものが売れやすく、逆に売れにくい記事を調べてみました。

◎売れる記事  ❶データ ❷独自の専門知識

×売れにくい記事  ❶エッセイ ❷企業やコンテンツのPR

「美容師」でヒットした上位3クリエイターは、中村さんは「売れにくい記事」ではあるけれども内容の濃さにフォロワーが多く、ブランド認知やこだわりの発信に成功していることがわかります。一方山崎さんはその逆で、「売れる記事」の「❷独自の専門知識」に特化。また、髪書房は「売れる記事」にも「売れにくい記事」にもどちらにも当てはまる記事が混在していますが、全て有料にせず、小社オンラインショップやボブログTVへの誘導を図っています。

まとめると、美容室や美容師がnoteに取り組む場合、

❶ヘアカラーや毛髪科学などの専門知識を売る

❷ブランディングに特化した物語や人の顔が見える記事を無料公開し認知アップ

❸ ❶と❷を組み合わせて予約サイトや自社オウンドメディアに誘導

という可能性がありそう。美容師さんは「専門知識」があるから、本来売れる記事が作りやすいんですね。

Instagram集客が飽和状態、予約サイトの競争も激化、自社サイトのアクセスアップもお金がかかる……という打開の一手として、インスタとも予約サイトとも客層の違いそうなnoteに取り組んでみるというのはいかがでしょうか?

美容師的note活用法考えてみた

❶ 部分有料の機能をうまく使って“売れる記事“づくり

有料記事が一定売れている美容師さんの特徴としては、すでに独自のセミナーやオンラインサロンなどのファンの囲い込みができている人がまずあげられます。

一方、売れないと相談くださる美容師さんの多くはそう言ったマーケットの確保ができていないこともハードルなのでしょうが、編集目線で「もったいないな」と思うのは、有料設定をうまく使えていないなということ。noteの有料設定の機能である「部分有料」を使っている人がまず少ない、使っていても無料と有料の切り替えが効果的でないように見受けられる人が多いなと感じました。

例えばオンラインライブのチケット代わりに記事の一部有料設定利用していた例がこちら。

例 ▶︎三拍子配信単独Live『漫ROOMvol.4』詳細&チケット🎫(三拍子高倉陵さん)

有料記事を購入することでZoom URLが取得できる。文章は無料で、それ以降の体験を有料にする価値づくり。

https://note.com/sanbyoshitaka/n/n3585f4375f86#IJLBu

この例を応用して、前半の無料公開部分をブログ風の簡単な「文章+画像」で一旦専門記事として完結させ、有料部分に動画を埋め込んで付加価値にした記事を販売するなどすれば、記事だけ無料で読む人にも購入した人にも満足度が高く、美容師ならではの専門性を生かした記事が配信できそうです。

有料記事の1番の落とし穴は「買ってみたら思っていたのと違った」と購入者に思われること。有料記事が「売れない」と悩んでいる人の記事は、もしかしたら知らず知らずのうちに、そんな“失客“をしているのかもしれません。そういった失客を防ぐためにも、有料部分に何があるのかを明確にしておくことは大切なのではないでしょうか。サロンワークと一緒ですね!

記事の料金を商品の金額に設定して、有料部分にGoogleフォームなどを隠しておけばECサイトがわりにも使えそうだと思いました! しかも、単に商品だけ売るECサイトより、レクチャー動画が付いていたら満足度が高そう。

まだまだできることがたくさんありそうな機能です。

❷サロンが見える、人が見える記事って、こんな方法もあります

ブランディングになるような「人や顔の見える記事」と言っても、難しそうだし手間の割に効果が少なそう……と思うかもしれません。ですが、noteも他のSNSと一緒で、単に「良い文章」が書けていればバズるわけではないところ。一工夫して会社のPRに成功している例を紹介します!

▶︎株式会社SmartHR

https://note.com/smarthr_co/

こちらは人事労務クラウドを開発する会社のnote。コンセプトが「誰でも読める社内報」とされ、福利厚生や社内制度など、基本的に“社員向け“の内容を発信しているのだとか。「お疲れさまです。人事労務研究所の〇〇です」から始まる文章に注目が集まり、多くのフォロワーを抱えるだけでなく、会社のブランディングや求人にも寄与しています。

これを美容室でやるなら、レッスン会や社内イベントの連絡、年度末表彰や店舗人事を公開することなどでしょうか🤔

オープンしようと思うとクリーンな労務環境でなければ無理なので、学生や求職者に刺さりそうですね。美容室の“企業化“を目指すオーナーさんにオススメのアイデアです。

❸無料記事→囲い込みに成功した一番有名な事例

noteを最もうまく活用している企業アカウントとして有名なのはこちら。

▶︎KIRIN

https://note-kirinbrewery.kirin.co.jp/

CSRやビールの作り方などバラエティ豊かなマガジンが揃えられているのですが、最も評価されているのは「オンラインコミュニティ」への誘導の成功です。

2019年から始まった「KIRIN BEER SALON」は、専門知識の講座や自分で作る体験などを通してビールの面白さを広めるためのサロンとのこと。2020年にはコロナ禍ということもあり、講座の全てをオンラインで行うことになったが、そのおかげで遠方からも参加希望者の申し込みがあり、盛況に終わったのだとか。活動の内容や想いを力強くつづられたnoteの記事が反響を呼び、参加者とファンの囲い込みに成功しました。

美容室はローカルビジネスですが、今後ECサイトに力を入れるサロンもあるなどその商圏や可能性は広がっています。便利なオンラインショップがこれだけ飽和している中で、美容室がやるECサイトが他と差をつけるのに必要なのは「専門知識」と「体験」を付加価値としてつけること。noteとして成功しているという点も注目ですが、KIRINさんのブランディングそのものの成功事例として、KIRIN公式noteはご一読をオススメします!

文章が苦手でも大丈夫! 意外と簡単に動画も上げられるんです

最後に、美容師さんがnoteに取り組みたいと思う時の1番のハードルは「長文を書くこと」だと思います。noteリリース時、独自のカラーやカット、集客のノウハウなどを有料記事にして販売し始めた美容師さんの多くは、「時間をかけて書いても売れない」「売り上げが労力に見合わない」という理由で更新をやめてしまったりした例をよく聞きました。

が、よく見ると、noteって動画だけでアップすることもできるんです。

InstagramのストーリーズやIGTV、リールなどの動画機能の強化、TikTokの普及、YouTubeやZoomセミナーの定着など、美容師さんの技術や知識を発信する方法として動画が一般的になった今、それをこれだけのアクティブユーザーがいるnoteで発信するのも1つの手では?と思います。

❶ 動画だけをアップする方法

 「投稿」→「動画」をタップ

YouTubeかVimeoのURLを貼り付ける

タイトルや詳細、ハッシュタグを設定する

❷ 動画を文章に埋め込む方法

「投稿」→「テキスト」をタップし(❶1枚目の画像参照)、文字入力カーソル横の「+」をタップ


「<>」をタップ

入力ボックスにURLを貼り付ける

動画の埋め込みが完成!

Instagramなどの画像中心のSNSやTwitterのような短文のSNSも便利ですが、長文や動画などのまとまった情報を使いこなせることは、今後、より顧客一人ひとりと深い付き合いをしていくことが求められる美容師さんにとっても“付加価値“になっていくと思います。

海外ではSNSを通したフェイクニュースが問題となるなど、今後世間的にも長文コンテンツへの関心は高まってくるはず。「読める客層」は価値のわかる人であり、あなたのサロンのコンセプトや思いを受け取ってくれさえすれば、強固なファン客になる可能性もあります。

そう言った意味でも、まだ美容師さんでの活用成功事例が少ない今だからこそ改めてトライするチャンスかもしれません!

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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