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ラストスパート!来年どうなる?★2021年の美容室キーワード5【サロン経営編】

2020年も残すところあと1カ月……2021年に向けて、今後気になるキーワードをピックアップしてお送りしています。

前回のサロンワーク編に続き、今回は【サロン経営】編をお送りします。

前回記事はこちらから↓
ラストスパート!今後どうなる?★2021年の美容室キーワード6【サロンワーク編】

経営は顧客も雇用も‟本質に回帰”

2020年、助成金や補助金で窮状をしのいだ美容室企業も多かったと思いますが、2021年にはほとんどの特例措置が解除される見通しです。2019年までの「例年水準」ではなく、2021年は例年以上・過去最高を更新するような巻き返しのための施策が求められます。

そのためには、本質思考が強まるとみられる顧客への深化した囲い込み、スタッフ管理や教育もより本質的なコミュニケーションになっていく必要があります。限られた時間でより濃い関係を構築するために、時間効率=タイムパフォーマンスの考え方は重要になりそう。

①流動客をつかむ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、都心部では2020年は休業を余儀なくされるサロンもありました。それ以外の地域でも、感染リスクを懸念して客足が遠のき、売り上げに影響があったサロンも多かったのではないでしょうか。

休業明けの6月以降揺り戻し需要もあり、巻き返しが早かったサロンの共通点は、リピートの強さでした。固定客を中心に売り上げを構成してきたサロンほど強く、5〜7月に過去最高売上を記録したサロンもあったようです。

そんな中、いくつかの取材サロンで、顧客1人ひとりの来店動向を分析してみると、まだまだ来店周期がコロナ前の水準に戻っていないお客さまが上顧客やVIP客の中にも多くいること、そしてコロナ後にもこれまで通り来店していた顧客は必ずしも年間支払額が高い客層に限らないことも明らかになったといいます。

そんなサロンが次に見据えるのは顧客の囲い込みの新フェーズ。客層分析の基準を「年間支払額」1軸でなく、来店頻度や来店年数、店販購買率など、さまざまな角度から分析してさらなる関係性の深化を進めるサロンが増えています。さまざまな角度から客層の傾向を洗い出すことで、顧客1人ひとりにフィットしたサービスやメニューを開発する、パーソナライズ化に乗り出しているのです。

全客層をVIPに育てる戦略への転換が今後のキーワードに。

まずは年間支払額や来店頻度の低い流動客層を諦めずにリピートにこだわることが、まずはその第一歩になるのではないでしょうか。

②人時生産性

小誌ではこれまでも経営の指標として人時生産性を紹介してきましたが、コロナ禍のような有事や、順次施行が進められている働き方改革関連法案による労務改善の必要性なども相まって、2021年はさらなる利益体質への転換が求められます。

コストや労働時間の管理を通して、単に売り上げだけでなく時間単価や時間生産性にこだわってオペレーションを構築していく必要がありそう。早いサロンではそのモノサシを現場に落とし込むために給与体系を改定したり、オペレーションやメニューをスリム化したりして徹底的に「無駄をなくす」ことにこだわっています。

さらに、それに関連して気になった具体案は「自動化」。現状ではオートシャンプーなどの限られた器具になりますが、取材サロンでの導入成功例は興味深かったです。成功サロンの共通点は、そのことによって「人の手で行う施術」への価値を高めているところ。導入と同時にメニュー開発をして、これまでと同じ労力で新たな価値を生み出していました。

人口減少時代ですから、テクノロジーを早くうまく活用することは急務になってきそうです。

③電話・オンラインでの顧客サービス

コロナ禍の対策で前向きな収穫として上がったキーワードが「電話・オンライン」の活用でした。DMやSNSでの顧客へのコミュニケーションからもう一歩踏み込んで、電話やテレビ電話機能を活用して顧客へ安心・安全への取り組み説明を行なったり、カウンセリングを行ったりしたところが喜ばれたという事例が報告されています。

顧客目線でいえば、他の企業からの電話に比べて、行きつけの美容師さんからのお電話は「セールス感」がしないのかなと思います。リピートビジネスである強みですよね。

今後、来店が遠のいている離店客へのDMを電話にしてみる、事前カウンセリングにLINE電話やZoomなどを活用して店販の予約まで受け付けるといった活用への展開が期待できます。顧客との接点が増える、サロンの滞在時間が短縮できるといったメリットもありそうです。

④カリキュラムの動画化

今年のコロナ禍の休業期間は、ちょうど新入社員の研修期間とバッティングしました。出勤させられない中で教育が進まない……という窮地の中、動画教育に着手したサロンが多かったようです。

多店舗展開するサロンから1〜4店舗規模のサロンまで、さまざまな事例がありますが、共通して今後も導入したいと考える理由は教える人・教わる人双方の負担減。これまで、教える側は時間を割いて何度もレッスンを見なければならないという問題、教わる側は教えてくれる人によって内容が違うのでなかなか習熟できないという問題を抱えていた悪循環がクリアになったという声が多く聞かれました。

教育を体系化することは時間効率アップの近道。さらに、そのことで生まれた時間をより踏み込んだ教育やサービスに使えるので、生産性もアップ。人時生産性アップのためにも、まず最初に取り組んだ方が良いことだといえそうです。

⑤店販革命

【サロンワーク編】でも店販が変わる!とお伝えしましたが、経営者目線でもより幅広いポジティブな可能性が満ちています。店販を充実させることで、美容室が「髪を切って染めるところ」から、その地域のお客さまにとって「美容や健康にまつわる情報やサービスが得られるところ」になる第一歩の仕掛けだといえそうです。

ヘアにまつわる商材以外の、免疫力アップや健康にまつわるサプリや器具など、さまざまなジャンルの販売実績をあげた成功サロンの実績を多く取材した1年でした。

商品の他に、気になるのは「販路」。ネット通販が普及している生活スタイルに合わせて、ECサイトを設立・強化するサロンが増えました。単に利便性だけで勝負するには、大規模なネット通販サイトに敵いませんから、どんな付加価値をつけるか、囲い込み戦略を立てて取り組むかが鍵になりそうです。

あるサロンでは「店販のリピート率」を取り始めたという声もありました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

2021年は、より「これまでの課題をしっかり解決していく」ことが急がれる1年になりそうです。とはいっても後ろ向きにならず、リピートビジネスの本懐に立ち帰り、美容室だからできることをポジティブに取り組んでいける1年になるといいなと思います!

小社月刊誌でもどんどん新しいキーワードをキャッチアップしていきます。ご期待ください!

☞ 前回記事「ラストスパート!来年どうなる?★2021年の美容室キーワード【サロンワーク編】」はこちらから

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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