美容師国家試験の見直しを
「美容に携わりたい人を増やし、携わる人が活躍できる環境作り」を掲げて活動している一般社団法人 日本美容サロン協議会(JABS/吉田靖志理事長)では、3月2日に定期活動報告会をオンラインで行った。全国各地の有力サロンオーナーであるJABS理事をはじめ賛助会員ら約30名が参加した。
報告は2つの案件について行われた。
①1月13日、20日、27日に実施した美容学校との意見交換会について
②1月13日に実施した厚生労働省 検討会について
①美容学校との意見交換会
全国14校からヒアリングした内容は以下のとおり(一部抜粋)。
■美容学校自体の課題について
・美容師のなり手、希望者が減っている中、少子化の中での学生確保が大きな問題
・業界全体で魅力的な業界として認知を広めていかないとなり手が増えない
・国家試験の内容が変わらないと教える内容も変えることができない。先生が現場に即した技術を教えることができない。学生は学んだことが役に立たない。
・学生が即戦力になるような授業をしていかないといけない
・女性はまつエクやネイル志望者が多く、カットはしたくないという意見も多い
・美容学校自体が国家資格への合格率ばかりを気にしすぎていると思う。オールウェーブでもカットでも何時間勉強しなさいというルールはないので、もっと現場で求められるような技術を学校側の努力で教えられるように取り組むべきだと思う
■美容学校から見た美容業界の課題
・他業種と比べた時に離職率が高い
・離職の原因の大きな理由は人間関係が多い
・サロンごとの技術や流儀があるかもしれないが、多少おおらかに新人を受け入れてほしい
・初任給が低いと思う。仕事を覚えていくまで時間がかかる。一般社会と比べると拘束時間が長い。業界の考え方が変わっていただかないと。社員に多く還元してもらえるよう考えてほしい。
・美容師の試験制度について、技術試験はなくても良いのではと思う。たとえば医師免許試験のように技術試験がない国家資格もある。実技試験の存在意義を検討してほしい。
②厚生労働省 検討会
1月13日に行われた「第1回美容師の養成のあり方に関する検討会」で議論された内容が報告された。JABSは昨年来オールウェーブやフィンガーウェーブなど、美容室の現場と必要性の認識に乖離が見られることを国に働きかけている。合わせて、近年志望者が多いまつ毛エクステンションの国家試験導入も訴求している。
今回は各団体の主張をテーブルにあげるのが目的で、具体的な検討会は3月10日に実施予定の2回目検討会で行われるとのこと。
第1回検討会の参加者や議事録は以下に公開されている。
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業界の生の声をしっかり反映して、業界の成長につなげていくために。昨年は河野太郎行政改革大臣(当時)に国家試験内容の見直しを陳情するなど、業界と国の橋渡し役を担うJABSの活動が注目される。