ボブログ
3年間でタイムパフォーマンスが1600円アップしたLoopsタイパ作戦とは?
「働く時間は短く、顧客との関係は濃く」
月刊BOBでは、より短時間で利益を出せる働き方をこれからのスタンダードとし、特集を企画してきました。
今日のブログでは、以下の「タイムパフォーマンスを上げる方法」の中でも、
・技術スピードを上げる
・サロンオペレーションの効率化
・次回予約などで来店をコントロールする
この3つに力を入れることで、たった3年間でタイムパフォーマンスが大きく向上したLoopsの取り組みをまとめます。
タイムパフォーマンスを上げる方法(月刊BOB2021年10月号より抜粋)
- 単価をアップする
- 技術スピードを上げる
- 時間外売り上げをつくる(EC店販などを含む)
- 店販売上を増やす
- ヘアスタイルの再現性を高める
- サロンオペレーションの効率化
- 次回予約などで来店をコントロールする
- 優秀なアシスタントを育てる
- お客と信頼関係を深める
- 技術習得のスピードを上げる
タイパで「何を得られるか?」をわかりやすく共有
Loopsは自由が丘や日吉など、東急東横線沿線に8店舗を展開するトータルビューティサロン。
2018年、スタッフの退社や数字の伸び悩みに直面していた同社は、各社でタイムパフォーマンスを上げる取り組みをサポートしているALTI 中西一也さんに相談。
2019年1月より、Loopsの社長 糸賀瑞佳さんと取締役の山賀圭太さんを中心に「タイパ」への取り組みが始まりました。
中西さんからアドバイスをいただき、指標を「タイムパフォーマンスをどう上げるか?」にシフトしたのが2019年1月。
正直、最初は現場の戸惑いもあったように思います。
けれども、「なぜ、タイムパフォーマンス向上に取り組むのか?」「取り組むことで何を得られるのか?」
各店の実績やスタッフの給料がどう変わっていくかを具体的に数字で示し、徐々にスタッフの理解を得ることができました
数字に変化が現れた店舗が出てくると全店で共有し、その店舗を他店が真似る。
取り組み始めて1年半を過ぎた頃から徐々に、8店舗が良い状態で連携し始めたそうです。
売り上げを減らさずに合計1時間を短縮することができました。
その日の予約状況で11:30からお昼休憩を取ることもあれば、13:30からなど遅めのこともありますが、全店で30分の休憩が取れるようになったのは、みんながわかりやすく実感できた実績だと思います
タイパが1852円→3534円に!
2021年12月、すべてのお店で利益を出すことができたLoops。
2019年1月、1,852円(税別)だったLoops全店のタイムパフォーマンスは、昨年2021年12月には3,534円(税別)まで向上。
Loopsが指標にしているのは「タイムパフォーマンス」と「施術時間」。
・タイムパフォーマンス=技術売上➗労働時間 ⇦高いほど時間売上が高い
・施術時間=総稼働時間➗総客数 ⇦短いほど稼働率が良い
※店販について:商品によって利益幅の増減が広すぎて算定しにくいこと、また、アシスタントに売り上げがつく場合も少なくないため、月刊BOBのタイムパフォーマンスの計算式では店販金額を除外しています。
これまでは1時間10分でざっくり3600円以上の単価を目標にしていましたが、タイムパフォーマンスを指標にすることで各店の強みや課題が明るみになり、分析や問題共有がしやすくなったと思います
【各店の強み&弱みとタイムパフォーマンスの取り組み】
●都心型サロンの自由が丘店(ベテラン&若手スタイリスト混合サロン。トータルビューティ専任スタッフも在籍)
・タイムパフォーマンス:3,251円
・施術時間:2時間15分
・スタッフ数:スタイリスト3人、ネイリスト1人
・強み→客単価が高い、リピート率が高い
・弱み→激戦区のため新規客が少ない
●地域密着型の妙蓮寺店(若手スタイリスト中心のサロン)
・タイムパフォーマンス:3,097円
・施術時間:2時間8分
・スタッフ数:スタイリスト2人、アシスタント2人
・強み→新規客が多い
・弱み→客単価が低い、ファン客が少ない
●郊外型サロンの白楽店(ベテランスタイリスト中心のサロン)
・タイムパフォーマンス:4,273円
・施術時間:2時間00分
・スタッフ数:スタイリスト2人、アシスタント1人、ネイリスト1人
・強み→ベテランスタッフのみの構成のため高単価。かつ店販率20%以上
・弱み→既存客が多く、予約枠が空かないため新規が取りにくい
時短サロンでありながら、タイムパフォーマンスが最も高いという特徴があります
Loopsのタイパ作戦① 最初に着手したのは稼働率の向上
時間意識を上げるために行ったのは、まず技術スピードの向上。
カット&カラーを90分以内に収めるために、テクニックの細部の時間配分を徹底的に管理しました。
・カット&カラー90分
120分の枠から90分に変更
・カット&カラー&トリートメント160分
トリートメントメニューはすべて30分以内で終えられるものに絞ってメニュー展開
・Loopsカラー
長時間施術にならずにクオリティ高く仕上がる炭酸の艶カラーをメニュー化。単価アップにも貢献した
もともと120分で施術していたカット&カラーを90分の枠に変えたことで薬剤選定に工夫が生まれ、1人ひとりの時間意識が大きく変わったと山賀さんは振り返ります。
チラシやポスターのイメージをビジュアル的に統一し、わかりやすく一新。
新規客が取りにくい店舗では艶メニューを全面に押し出した新規客の囲い込みキャンペーンなども行いました。
Loopsのタイパ作戦② 次回予約で来店をコントロールする
2019年の年末〜2020年にかけて次回予約を本格的に推進。
もともと次回予約率50%と高めではありましたが、平日の次回予約を勧めることで、現在の次回予約率は全店で70%まで向上。
「三密を防ぐために、比較的ゆっくりできる平日のご予約はいかがですか?」
平日の予約を勧めることで、平日の次回予約が大幅に向上したそうです。
セット面でお会計を行うLoopsには「お会計セット」があり、お会計の際に必ず次回の予約日を確認します。
お会計セット
お会計セットには、
・電卓
・お釣り受け
・伝票
・カレンダー
・ポイントカードとなるLINEのQRコード
・次回来店日を記載するカード
が準備されており、お釣りをお持ちする間に「次回のご来店日をご検討いただきながらお待ちください」とカレンダーを渡します。
レジ前で慌ただしく次回予約を聞くよりも、セット面でのお会計時にゆっくり次回の来店日を決めていただく方が次回予約率は上がるようです。
Loopsのタイパ作戦③ スタッフの“空き”をどう減らすか
次回予約が平日に入ることが増えてきたため、2021年度に入ってから取り組んだのはアシスタント空き時間をいかに減らすか。
2カ月先の次回予約を取ることを推進しているため、スタッフのシフトは2カ月先まで大体決まっています。
アシスタントのバランス調整は、山賀さんの調整と各店の店長が行う二段階調整。
【山賀さん/2カ月前】
全体の予約表をもとに8店舗それぞれの予約がどう埋まっているかチェック
↓
全体のバランスを見ながら、ヘルプを入れ込む
↓
【各店店長/前日】
毎日営業後に翌日の予約表をアシスタントが全店共通のLINEグループに共有
↓
各店の店長がチェックし、前日に店長LINEで最終調整
細かい日々の調整ではありますが、手が空いているアシスタントを減らすことが全店のタイムパフォーマンス向上につながることを実感しています
タイパUPでファン客もUP
タイムパフォーマンスが向上することで、お客さまにとってはサロンの滞在時間が短くなるメリットがありながら、信頼関係はより強固にファンを増やしていくことができます。
2022年中にはタイムパフォーマンス4,000円をコンスタントに超え、会社が利益体質となり、今いるスタッフのお給料が上がっていくことが山賀さんの当面の目標だといいます。
タイムパフォーマンス向上に取り組んで分かったのは、タイムパフォーマンスが高いお店はファン客が多いお店だということ。
そしてこのタイムパフォーマンスの取り組みは、やはり、一番はお客さまに喜んでいただくための取り組みであるべきだと思います。
お客さまにとってどう心地良い空間が提供できるかをこれからタイムパフォーマンスの向上とともに取り組んでいきます
Profile
山賀圭太(やまがけいた)
1983年2月17日生まれ。神奈川県出身。東京マックス美容専門学校卒業。2004年Loops入社。2019年、同社取締役に就任。趣味は筋トレ、ゴルフなど。数字分析が得意で同社のデータの一切を任されている。