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唸るオルガン!その名はハモンド!ボブログ音楽食堂Vol.8

情報社会に埋もれてしまった「名曲/名盤」のホコリを払って美容師のみなさまにご紹介している「ボブログ音楽食堂」。Vol.8の今回は、1934年の登場以来世界中のキーボード奏者と音楽ファンに中毒者続出のオルガンサウンド「Hammond (ハモンド)」の特集です!

 

-序章-

さて、編集長とeasymanが取材に訪れたのは、某美容学校さんが年に一度開催している「芸術鑑賞会」。会場はなんと!日本が世界に誇る音楽の殿堂「サントリーホール」! “パイプオルガンの調べ” と題されたコンサートは、オーストリアから来日したオルガン奏者が至福のバッハを演奏。このイベントは、公式の場での行儀作法を美容学生に身に着けてもらう「お勉強会」も兼ねており、髪書房の熟年二人連れも “お呼ばれ服” を装って参加。しかし…終演後のカフェでゆるゆるとビールを飲んでいる姿はどこから見ても「同伴出勤」!?

 

第一章:波紋奴(よみ:はもんど)登場!

【編集長】いやー、スッゴい音だっだわねー、サントリーホールのパイプオルガン!

【easyman(以下:e)】地響きみたいな大迫力でしたけど、音色はまるで湧き水みたいな透明感でしたね!

【編集長】パイプオルガンって、音の高・低が設定された色々な長さ/太さの管がホールの壁中を巡っていて、鍵盤を押さえるとそこに風が流れ込む仕組みなのよね。キリスト教の大聖堂には常設されているけれど、小さな教会には高嶺の花でしょうねぇ…。

【e】なので小さな教会では、パイプオルガンの代わりにハモンド・オルガンが使われていますよね。

【編集長】ハ・モ・ン・ド・オ・ル・ガ・ン? それって、エレクトーンみたいな楽器なのかしら?

【e】ひとことで言うと、独特なアナログ構造を備えた電気オルガンですね。ハモンドオルガンは、磁性金属でできた歯車状の円盤(=トーンホイール)を回転させて発生する磁界変化の波が音源で、それを電磁ピックアップで拾い電気増幅(=アンプリファイズド)して出力するんです。エレクトーンは、半導体でできた能動部品の代表「トランジスタ」を駆使して、ハモンドオルガンの音を疑似生成した楽器なんですよ。

【編集長】へー!そのハモンドオルガンの音って…私、いままでに聴いたことあるかしらねぇ…?

【e】(早速You Tubeで検索して…)この曲、聴いたことありませんか?英国のロックグループ、プロコル・ハルム青い影という曲なんですが…

”A Whiter Shade Of pale”/ Procol Harum 1968 表題曲の印象的なテーマはハモンドオルガンの名刺のような珠玉のサウンド!“青い影”は67年5月にシングルとして先行発売されていたが、この1stアルバム(原題:PROCOL HARUM)が発売された時には含まれておらず後に加えられた

 

【編集長】あー!コレ聴いたことあるわ!イントロがバッハの管弦楽組曲第3番/G線上のアリアみたいだから(←流石はクラシック音楽のマニア)、曲名もグループ名も知らないくせに記憶に残っているわ。ハモンドオルガンって面白そうじゃないの!オススメのアルバムはある?

【e】ハモンド奏者で最も人気があるのは、Jazz畑のジミー・スミス!彼がHammond B-3(ハモンド ビー スリー)という機種を使うので、ハモンドオルガンといえばB3!と認知されるようになったほどです。北海道の小樽でBrick & Mortar(ブリック&モーター)というオルガンバンドをやっていた友人の解説によると、“ジミー・スミス真骨頂の音色は「16’」「5-1/3’」「8’」のドローバー(=レバー)を全開にして3rdのパーカッション(=スイッチ)を入れた音” なんだそうです。それと本来ならベース奏者が担当するパートをオルガンの低音鍵盤=左手で演奏するのもスミス氏の大きな特徴だそうです(※ハモンドオルガンには低音専用のフットペダルがあり足元でもベースパートを演奏出来る)

“Hammond New B-3” B-3という機種は画像のように四本脚だが、英国のハモンド演奏家が好んで使う「C-3」は背面と両側面の三方に板を配した仕様(中身は同じ)

 

【e】1925年米国ペンシルバニア州出身のジミー・スミス氏は、56年に米国のジャズレーベル=Blue Note(ブルーノート)からデビューしました。この時期のスミス氏を英国で聴いて育ったのが、後に60年代中期のモッズ・カルチャーでオルガン音楽のブームを創ったジョージー・フェイム(Georgie Fame)ズート・マネー(Zoot Money)です。70年代に続々と登場したプログレやハードロックバンドのオルガン奏者:キース・エマーソン(E.L&P)やリック・ウェイクマン(YES)やジョン・ロード(ディープ・パープル)などもジミー・スミス・チルドレンです。今回オススメしたいのは、スミス氏が63年にVerve(ヴァーヴ)に移籍してからケニー・バレル(ギター)+グラディ・テイト(ドラムス)とオルガントリオで録音したアルバムです!

“オルガン・グラインダー・スウィング”/ジミー・スミス(“Organ grinder swing”/Jimmy Smith 1965)蒸し暑さとクールネスのバランスが絶妙なオルガンアルバム。右手でメロディ/コードを、左手でベースラインを縦横無尽に弾きまくる。聴いていると “もうひとりベース奏者がいるのでは!?” と疑いたくなるほど

 

【編集長】(音源をyoutubeで聴きながら)ハモンドオルガンの音色って、なんだかこう…フィギュアスケートの人が氷の上でシュルシュル~って高速スピンしている姿を連想させるわ。

【e】まさしく!レズリー(Leslie)という特殊なスピーカーをハモンドに繋いで鳴らすとこういう音になるんです。長方形の大きな箱の中でラッパ状のスピーカーがグルグルと回転しながら音を出す構造で、周期的なうねりやドップラー効果によるビブラートが得られます。オルガンサウンドに独特のドライブ感が加わるので、多くのハモンド奏者がレズリースピーカーを併用しているんですよ。

レズリースピーカーの内部構造がスケルトンでみられる貴重な写真(天板を外して上から覗きこんだ状態)

 

第二章: チャカポコリズムでsweet soul music!?

【編集長】ジャズ以外のアルバムでハモンドが楽しめるオススメは?ボブログの音楽食堂だから、ちょっと珍しめなのがいいかもよ!

【e】それなら米国のソウル・シンガー ティミー・トーマス が、マイアミで活動していた1972年に出したアルバム “Why Can’t We Live Together” が超オススメです。しっとり~まったりとしたソウルナンバーばかりを、なんと!全曲「リズムボックス」に合わせてハモンドだけで弾き語ったというとても珍しいアルバムです。

【編集長】リズムボックスって…スイッチ入れると “チャカポコ・チャカポコ” とか “コンスコ・コンコン” って音が出るあの機械よね!?チャカポコに合わせてハモンド弾きながらソウルを唄ってるの!?

“Why Can’t We Live Together”/Timmy Thomas 1972  聴いていて心配になるくらいにミニマル(最小限)な音楽だが、その粘着質はとても強くソウル度数もかなり高い。歌+ハモンド+リズムボックスで全曲ブッ通すというアイデアはいったいどこから出てきたのか!?いぶし銀のような輝きを放つアダルトでエッチなソウル・アルバムだ

 

【e】ええ。正にチャカポコソウルです。彼は94年までに7枚ほどアルバムを出しましたが、チャカポコスタイルは72年のこの作品だけです。これが企画だったのか!?偶然の産物だったのか!?は判りませんが、ハモンドオルガンを堪能できるアルバムとしても堂々の銅メダルですね。後にこのアルバムのタイトル曲 “Why Can’t We Live Together” が、80年代半ばの英国で蘇生されて世界中から脚光を浴びたんです。歌姫Sade Adu(シャーデー・アデュ)を有するSADEのデビューアルバム “ダイアモンド・ライフ” の最後でカバーされています。

“Diamond Life” / SADE  1984 どのラジオ局を選んでも“スムース・オペレーター”が流れてくるというオカルト現象を引き起こした1stアルバム。ジャズ/ロック/ソウルの配合比率と多国籍音楽のスパイスが絶妙な英国ポピュラー音楽界の大傑作。全9曲中3曲がメガ級のヒットとなり、発売から37年経った現在でも新規ファンを増殖し続ける

 

第三章:ジャマイカ産のラウンジアルバム!?

【e】ジャズ~ソウルに続いてオススメしたいのが、ジャマイカのレコードレーベル:スタジオ・ワン(Studio One)のハウスキーボード奏者だったジャッキー・ミットゥー。1967年にソウル・ヴェンダーズ(The Soul Vendors)の一員として英国をツアーした際に、彼名義の1stアルバムとしてロンドンで録音した “Jackie Mittoo in London” です。

【編集長】ジャマイカ音楽といえば私の姉がレゲエ狂でね、特に重ったいアルバムが好みで。中学生の頃から同じ部屋で半強制的に聞かされていたから、私の中のジャマイカ音楽ってちょっと暑苦しくて息が詰まる印象なのよ。

【e】ミットゥ氏のこのアルバムは(恐らく意図的に)レゲエ色/R&B色が控えめに作られていて、ラウンジミュージックのアルバムとしても秀逸です。オルガン以外楽器が控えめに編曲されているので、ジャマイカのゆったりとしたリズムに乗って悠々と泳いでいるかのようなハモンドサウンドが担当できますよ!

“Jackie Mittoo in London“/Jackie Mittoo 1967 ブラックフィーリング溢れる演奏も大得意のミットゥー氏だが、この1stで狙った清涼感/ラウンジ感は音楽家としての懐の深さと守備範囲の広さを感じさせる

 

-あとがき-

さて、サントリーホールのパイプオルガンから始まった今回のボブログ音楽食堂 Vol.8は如何でしたか!? ハモンドオルガンの隠れた傑作や名演奏家はとても一回では紹介し切れないので、また続きをやります!次回はRockin’でBluesyなハモンドサウンドが登場しますのでお楽しみにー!

ボブログ音楽食堂「バックナンバー」のご案内。 毎月「5日」に新規投稿します!

Vol.1「心が洗われるような、いい音楽ありませんか?」は→コチラから!

Vol.2「踊るROCKに観るROCK、ちょっぴり大人のAOR」は→コチラから!

Vol.3「アラ40/アラ50のお手本としてアニーとクリッシーを拝むべし!」は→コチラから!

Vol.4「アラ40アラ50にオススメしたい! 69歳の女性ロック・シンガー、クリッシー・ハインドの傑作スタンダード集」は→コチラから!

Vol.5「おうちにいてもワイハでアロハ!!の巻」は→コチラから!

Vol.6「違いの分かる女が斬る! J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲のあれこれ!」は→コチラから!

Vol.7 「笑い転げて腸捻転!?世界の珍盤/奇盤/迷盤特集」は → コチラから!

easyman

AUTHOR /easyman

ビートルズが来日した年の生まれ。美容師・介護士の免許と実務経験があり、座右の銘は“髪(かみ)のケアから下(しも)のケアまで”。某美容メーカーの教育部門に19年間勤務し、なぜかプロ音楽家との演奏経験あり。一人しかいないのにナンバーワン営業マンと呼ばれる髪書房の特攻隊長。

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