世界初の新発見商品への展望も
タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は11月26日、同社東京本社(東京・青山)にて「世界初・毛髪新発見サイエンステクノロジープレスセミナー」を開催した。新型コロナウイルス感染拡大の中、万全の対策をとって3回に分けて開催され、総勢100名近い報道陣が来場するなど注目の集まるセミナーとなった。
このセミナーは、10月21日〜30日に開催された国際化粧品技術社会連盟の学術大会『IFSCC Congress 2020 Yokohama』内で同社が口頭発表した、新テクノロジー「Hair Medulla Care」の詳細を業界向けに改めて説明するもの。
これは、これまで観察することが珍しいとされた毛髪内部組織「メデュラ」の詳細な観察に世界で初めて成功し、そのメデュラをケアすることで毛髪の外観を美しく変化させることができるという新しいケア発想である。
当日は、この口頭発表を担当した同社化粧品研究開発部 第一研究所 博士(学術)萬成哲也氏が登壇し、新しい毛髪内部観察技術やこのほど明らかになったメデュラの種類についてプレゼンを行った。
続いての技術プレゼンテーションは同社化粧品開発研究部 第一研究所の上條洋士氏。iPS細胞(人口多能生幹細胞)を皮膚科学・美容に応用する可能性についてプレゼンした。これは、皮膚の潤いと老化を細胞の成長に着目した研究で、幹細胞の潤いと強度を生み出す成分を発見したと公開。今後は「潤いを“与える““補う“から“生み出す“」本質ケアへと進化する可能性を示唆しつつ、来秋そのテクノロジーを利用したヘアケアブランドが新たに誕生することが発表され、セミナーは閉幕した。
世界初の発見や、ヘアケアのこれまでの常識を覆すテクノロジーの発表に興奮冷めやらぬ来場者は、技術展示ブースで同社研究者たちの解説を熱心に聞き入り、質問をする様子が見られた。
[技術プレゼンテーション]
① 新しいコンセプト“ヘアメデュラケア“−毛髪のメデュラケア構造を解き明かすことで白髪の見た目を変化させる−(化粧品研究開発部 第一研究所 博士(学術)萬成哲也氏)
・ 新規毛髪内部観察技術について
毛幹を縦にスライスして内部観察するという世界初の技術を開発。多角的かつ詳細な観察に成功した。
・ メデュラの種類
メデュラには「ブラックメデュラ」と「ホワイトメデュラ」が存在することを世界で初めて発見。その特徴は白髪において顕著に違いがあり、ブラックメデュラはツヤがなくホワイトメデュラはツヤと透明感があることがわかった。
また、ホワイトメデュラからブラックメデュラへの変化はダメージが大きく影響しているという因果関係も突き止めた。
・ ヘアメデュラケアとは
キューティクルやコルテクスなどの他の組織を壊さずにメデュラだけにアプローチするヘアケアテクノロジー。処理を加えることで白髪の透明感が増し、黒髪の中に混じった時に白浮きしづらくなるなどの効果が見られた。
② iPS細胞の皮膚研究と化粧品開発への応用(化粧品開発研究部 第一研究所 上條洋士氏)
・ iPS細胞細胞・組織幹細胞・成熟細胞に紫外線照射をして老化を疑似的に再現する実験において、皮膚の老化は表面の成熟細胞ではなく、内側(顆粒層)の組織幹細胞で起こっていることを突きとめた。
・ その幹細胞の潤いと強度を高める成分を発見した。