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大人女性の悩みを身をもって検証!人気男性美容師の脱白髪染め・グレイヘア研究

年齢を重ねると避けられない、気になる白髪の悩み。2018年の新語・流行語大賞に「グレイヘア」がノミネートされ、白髪を染めない選択がクローズアップされたとはいえ、まだまだ白髪をポジティブにとらえるのは難しいものです。

特に理解を得られづらいのが、男性の目線。小社髪書房でも書籍『グレイッシュヘアのすべて』などで脱白髪染めを勧めるサロンの取り組みを取材してきましたが、顧客の多くがパートナーやご子息など、周りの男性から「疲れて見える」「みっともない」といった否定的な意見を向けられるというお客さまの声を多く耳にしてきました。

そんな中、東京・銀座に「脱白髪染め」を研究し、提唱する男性美容師さんがいます。これは心強い!

そのきっかけや、脱白髪染めを勧める理由をお聞きしました。

自分の髪半分ずつで検証!きっかけは自分の白髪の多さ

取材したのは深尾清太郎さん。東京・銀座に店舗を構える人気サロンGARDEN Tokyoのトップスタイリストで、同社のテクニカルディレクターとしてグループ全体の技術基準を担っており、雑誌のヘア企画の撮影のほか国内外での技術講習やファッションショーのヘアメイクとしても活躍しています。

最先端のトレンドサロンのリーダーである深尾さんが、なぜ「白髪染め」に注目して発信するようになったのでしょうか。

きっかけは、自分自身が白髪が多かったからです。こう見えて70%くらい白髪なんですよ

長年取材していたのにまったく気づかなかったです! ずっと染めておられたんですね。

はい。白髪染めにはずっと抵抗を感じていました。頭皮も痛いし、長い目で見てどうなんだろう……と。
また、白髪染めの色素は赤味に振れやすく、好きな色表現ができませんよね

デザイン的にも制約が多くなってくるわけですね。白髪が増えてくると美容室に行くのを「白髪染めに行かなきゃ」と義務になってくるという声はよくお聞きします。

そうなんです。僕はオープンからGARDENに勤めていますが、長年勤めていてお客さまと一緒に年を重ねている実感があります。お客さまの歴史を見てきて、これからもずっとともにヘアデザインを楽しんでいきたい。そのために「脱白髪染め」を研究し始めました

そこで深尾さんが始めたのが、自分の髪の毛を使った白髪染めとファッションカラーの比較! まさに体を張った体当たりな検証です。

深尾清太郎さんインスタグラムより

3カ月染めるのを我慢していどみました。その後、10日後、22日後、34日後、45日後と変化を観察していきました

深尾清太郎さんインスタグラムより

白髪が目立つか、という観点だけでなく、手触りや全体のトーンなどに踏み込んだ解説が本当におもしろい! ぜひリンクから全投稿読んでみてください。

ハイライト→ワンカラーを組み合わせるのがおすすめ

10日刻みで検証することで、なぜしっかり染まるはずの白髪染めの方が気になりやすくなるのかが論理的に追えて面白いですね。ハイライトの方はハイライトの方で、褪色が早いといったことも赤裸々に書かれています。

自分が身をもって体験したのですが、白髪が気になる人にとってはどんなハイライトでも白髪そのものの存在感は気になるものなんです。
ただ、それまで「白」と「黒」しかなかった髪が、「白」と「黒」と「黄色(黄味・ブラウン)になることで、白の存在感が減らせるという理屈。白髪染めはしっかり染まるけど、この白と黒の境がすごくはっきりしてしまって、それが根元や分け目にくっきり出るとハゲて見える!? なんてこともわかりました。
白髪がぼかせますよ、気になりませんよ!だけでなく、それぞれの違いを具体的に説明することを心がけました

なるほど。これこそが体を張った検証の意味ですよね。ですので、深尾さんの理論では白髪そのものを染めるワンメイクカラーも組み合わせた提案をされているんですよね。

はい。白髪を隠しながらデザインの幅を広げたい、色味を楽しんでほしいというのが前提です。
また、今はかなりカットベースを梳かれているお客さまもいますので普通にハイライトを入れて対応できないケースもあります。初回来店の際にはベースの状態も見極めて、まずはファッションカラーのワンメイクで毛先の厚みを取り戻しながら……という提案をすることもあります。ハイライトとワンカラーを組み合わせた計画提案をしていきます。

深尾さんインスタグラムより。お客さまからの質問にも定期的に答えている

「まるで若返るように」違いが出るのは手触りとボリューム

白髪ぼかしを継続していくと、髪の状態は良くなっていくものでしょうか?

そうですね。白髪が増えてくる年齢にとって、悩みは白髪だけではありません。髪の質感の変化やうねり、髪のボリュームがなくなるなど……。そういった悩みのカバーにも答えられる提案だと思います

投稿を拝見すると、手触りやツヤの改善を実感されるお客さまが多いようでした。

はい。みなさん、ヘアカラーそのものをやめたり白髪を染めなくなったのではなくて、髪の状態に合わせて必要な強さの薬剤に移行した結果なんです。頭皮への負担も減っていると思いますよ

白髪染めのベタ塗りをやめると、お客さまのカラー頻度は下がりますか?

それは、お客さまの白髪比率によります。10~15日延びた方もおられますが、比率が少ない方ですね。僕くらいの量になってくると、頻度が延びることはないように思います
ですが、ファッションカラーだったり、ケアブリーチや2剤の強さを調整した薬剤だったりで施術するので、同じ頻度で白髪染めをベタ塗りするよりは頭皮や髪への負担が軽くなるというメカニズムです。手触りには顕著に出るので、割と早く違いを実感していただけますよ

手触りや髪の質感が良くなると、美容室が「白髪を染めなきゃ」という億劫なところでなく、「きれいになりに行くところ」になりますよね。

そうです。一緒に髪を良くしていきましょう、という気持ちで提案させてもらっています

正しい知識を発信してお客さまのこれからをともに豊かに

たしかな技術や知識に加え、ご自身が悩み、検証した「白髪ぼかし」提案。

「ハイライトを入れても白髪は気になる」「来店周期が必ずしも短くなるとは限らない」といった、一見都合のよくないこともはっきり答えられる誠実さは、身をもって体験し立証したからこそだなと思いました。

グレイヘアブームの際、「美容室に来なくなる」「白髪染め客は大切なボリュームゾーン」といった否定的な意見も多く聞かれましたが……。大切なのは、お客さまが、女性たちがどうなりたいかのはず。新しいニーズをキャッチし、髪を通して長くお付き合いしていくためにどうすればいいか? 検証して考える姿勢からも学ぶことがたくさんありました。

そんな深尾さんのInstagramはこちら! 白髪に悩む大人女性はもちろん、白髪染めに来られる顧客を多く持つ美容師さんもぜひご覧いただきたい内容です!

Profile

深尾清太郎さん[GARDEN Tokyo/東京・銀座]

ふかおせいたろう/京都府、東京都の店舗を経 GARDENの設立時より入社 。テクニカルディレクターして技術基準をつくり、女性誌でのヘア撮影や海外での講習やファッションショーのヘアメイクなど、サロンワー クを中心に幅広く活躍する。

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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