ボブログ
舞台裏の魔術師がぜんぶ明かすABEX2022に賭ける魔法
コロナ禍の影響で、一時は「開催マジか!?」なんて下馬評もあった第9回アジアビューティエキスポ(以下ABEX。菊地浩市大会会長)が、いよいよ「開催間近」となりました。
とはいえ、これまでと何が違うの? ほんとに人が集まるの? コロナ禍で盛り上がるの? そんな声がチラホラ聞こえてくるのも事実です。そこで、イベントの総合プロデューサーを務める桂 良一さん(㈱ケィビープランニング インターナショナル代表取締役)に、ABEX2022だから生まれる情熱の軌跡と発火点を洗いざらい聞きました。
――桂さんは、30年以上にわたってヘアショーやプロモーションなど数々のイベント演出を手掛けてきたまさに“舞台裏の魔術師”です。前回(2018年)に引き続きABEXの総合プロデューサーを務めています。今回はどんな魔法の杖を振るいますか?
桂 魔術師だなんてとんでもない。主催者、出展者、出演者、プラス来場者がいてこそ一緒に演出を考えさせていただけるわけですから、我々はあくまでも黒子の存在なんですよ。
――「黒子」といえば、このモノクロの顔写真は格好いいですね! 白ジャケットに白タートルのコーディネートが粋です。そして、強さ包む笑顔の力……なんともいえない年輪を感じさせるほほ笑みが呪文のようです。
桂さんと会話したことのある方なら印象深いと想像しますが、桂さんはお話したあとに「ワーッハハハハハハー♪」と語尾を明るく締めるのが特徴的なんです。そんな人柄を見事に切り取った良い写真ですね。
桂 この写真は弊社のカメラマンに撮ってもらって、気に入っているんです……いやいや私の話題はこの辺にして、本題へ行きましょう。ワーッハハハハハハー♪。
――では、質問します。5月30日~31日に4年に1度の祭典・ABEXが開催されます。総合プロデューサーとして意気込みをお聞かせください。
桂 昨年来ほんとうに開催できるのか?など、たくさんご心配をいただきました。結果論ですが今はエンタメ系の開催制限もほぼ無くなり、私の周囲もビジネスや観光で海外へ渡航したり、実質的な移動は新型コロナウイルス感染症が騒がれる前に限りなく近づいています。皆さんの周りでもゴールデンウイークに出かけた方が多かったはずです。
そのフェーズで開催するABEXはまさしく時代の申し子であり、コロナ禍における業界の大きな句読点となるでしょう。
――今回はリアル25,000人、オンライン25,000人を目標に掲げています。
桂 チケットは昨年から販売を開始しました。3月下旬まではまん延防止等重点措置の影響もありましたが、同措置が解除されてからは販売に拍車がかかっています。肌感ですとリアル25,000人はなんとか達成できるのではないか?というところまで販売数が伸びてきています。
むしろ、これから注力すべきはオンライン視聴です。今、開催前2週間を切ってオーダーは日々、倍々で増えているところです。オンラインの性質上、開催が近づかないと申込みは増えないと思っていましたが、堅調に数字を増やしています。
――初のオンライン配信ですね。
桂 以前から全国各地の美容師さんより「ABEXを観たいけれども、交通費も時間もかかるから難しい」との声が届いていました。現実問題、首都圏外の方が参加するのは大変なのも理解できます。コロナ禍もありますが、そういう方たちのためにオンライン配信を用意しました。LIVEも含めて開催後1カ月間(6月30日まで)はレッドステージとグリーンステージをアーカイブで視聴できます。
また、ABEXアプリやHPで会場の様子も見られます。リアルもオンラインも。複数のアプローチで新しい体験価値を提供するのが9回目のABEXです。
――以前にも増して、ヘアショー推し=桂マジックの本領発揮です。
桂 そうなんですよ、ワーッハハハハハハー♪。
今回のテーマは「HOW ARE YOU~元気だった?~」。コロナ禍で会いたくても会えなかった仲間との再会の場にしたいんです。ということは、会場で「元気だった?」「元気でしたよ!」となるような仕掛けが必要です。その意味でヘアショーには「これだけの数のステージを観られて、たくさんの人に会えますよ」というメッセージを込めています。
また、ABEXはステージコンテンツ表現に一切の縛りがありません。「ABEXなら自由な表現や本当の独自のクリエイティブ技術を伝えられる」と出演者がよく言っています。特定メーカーや特定ディーラーの制約を受けないオフィシャルな舞台そのものが貴重なのです。
――ヘアショーの特徴は?
桂 前提としてコロナで2つの「ソウ」変わりました。まずは「層」。2018年のABEXまでは観る側も出る側も【レジェンド層・スタンダード層・ニューカマー層】の3層、もしくは【レジェンド層・ニューカマー層】の2層しかなかった。決してそれが古いとか悪いという話ではなく、誰もがそういうものだと信じていました。
ところが、コロナを経て「層」が様変わりした。具体的には
【レジェンド層・エグゼクティブ層・スタンダード層・ニュースタンダード層・ニューカマー層】
の5分類くらいに増えた。
なぜ、こうなったのか私なりに分析すると、コロナ禍でどうやってサロンを繁栄させようか、個人でブランディングしようか、という挑戦をみんなが等しくやってきた産物ではないでしょうか。既存の方々の挑戦、新しい方々の挑戦。両者の挑戦を掛け合わせて業界へ提案するのが今回のABEXだと認識しています。
――次の「ソウ」は?
桂 「創」です。クリエイティブが激変しました。よく、コロナでクリエーションを発表する場がなかったからヘアショー推しなのか?と言われます。たしかにそういう想いもありました。でも、出演者たちと打合せを重ねていくと、そんな考えは吹っ飛んだ。前述のとおり、彼らはコロナ中も常に何かをクリエイティブしていたんです。コロナだから経験できたそのプロセスは、必ずやステージワークに反映されるはずです。
ブルー、レッド、グリーンステージは、前代未聞の計54ステージあります。過去最高と断言できるクリエーションの発露を観たら、きっと次の“マップ”が皆さんの脳裏に浮かぶはずです。
“層創”たる顔ぶれは圧巻
――1つずつ聞きます。まず、ブルーステージは?
桂 このステージは入場料プラス各メゾン有料で、先ほどの層に当てはまるとほぼエグゼクティブ層になるでしょう。5月11日現在の公式発表では4ステージがソールドアウトですが、すでに6ステージが完売しています。おそらく全ステージが完売すると予想しています。
1ステージ750人の収容ですが、こんなに人気があるのだったら、もうちょっと椅子を増やしてもよかった。立場上、詳しくは言えないのですが、芸能人が登壇するステージもあるようですよ。
――レッドステージは?
桂 ここはスタンダード~エグゼクティブ層のミックスで、挑戦度の幅がとても広いこのステージは強烈です。「これをやったら会場が大変なことになるかもしれませんが、やりたいんです!」なんてオーダーもいくつかいただいています。こちらとしたら「15分のステージに、そこまで懸けますか?」と思うくらい。各出演者が、ご自身の出番前後や前・翌日のステージを意識しあって相互作用が生まれているので必見です。
――グリーンステージは?
桂 ニューカマー~スタンダード層まで、百花繚乱のステージになります。と言うのも、多くのステージがダンサー、ミュージシャン、ファッションデザイナー、インスタグラマーなどとコラボレーションしています。これはとても面白い現象で、出演者の頭の中がそうなっている証です。
たとえば、コロナ禍の集客ひとつとってもどうやってお客さまに来ていただくか?、クリエーションできない環境なら、それを逆手にとってクリエーションの火を絶やさないために何をしてきたか、それらがステージで表現されるはずです。
実はこのグリーンステージはメーカーコラボステージが大半ですから、当初はいわゆるプレゼンテーション程度で十分かな?なんて想定していました。でも、ふたを開けてみたら出演者の意気込みがすごく、前例なきステージをたくさんお届けできそうです。
仮にブルーステージを購入しなくても、レッドステージとグリーンステージを合わせて2日間通して、GOLD PASSなら3,300円、STUDENT PASSなら1,650円(いずれも前売)でLIVEもアーカイブも堪能できます。1ステージでも3,000円以上の価値があるステージばかりですから、この価格で体験&視聴できるのが今回のABEXの醍醐味ですよ。
――グリーンステージといえば、まるでジョーカーのごとく最後の最後に発表になった2ステージがあります。
桂 30日の柿本榮三さん(kakimoto arms会長)と31日の吉原直樹さん(アルテ サロン ホールディングス創業会長CVO)のステージは満を持して発表しました。これぞレジェンドステージです。この2ステージは私も打合せから関わらせていただいています。
――柿本さんのステージは?
桂 ご存知のとおりkakimoto armsは日本のヘアカラーをけん引してきたサロンの1つです。その柿本さんが、日本のヘアカラーは世界のトップレベルに肩を並べる時がきたと表明するステージになります。そんな決意を応援するかのように、ヘアカラーのカリスマ的存在であるダニエル・ギャルビン氏(英国)を筆頭に、世界トップレベルのヘアカラーリストがオンラインで出演する類のないステージになります。
――吉原さんは?
桂 規模でいえばトップと言って差し支えない美容室経営者の覚悟をお伝えするステージになるのではないでしょうか。言うなればパラダイムシフト。日本美容が今後、世界に対抗できる経営はどうあるべきか?を渡邉弘幸さん(㈱ウカCEO)を交えて語り尽くします。おそらく、コロナ前なら考えられない発言が耳目を刺激するでしょう。サロンの幹部クラス、オーナーにとっては羅針盤であり、自分の座標軸を考えさせられる時間ですから聞き逃さないでください。
これは美容のフェスだ!
――ブース展示の見どころは?
桂 155社、502小間という数字が過去最大です。「なんとかして、この2日間をチャンスにするべく勝負しよう!」と、どのメーカーさんも心意気がすごい。なんか嬉しくなっちゃいます。
特筆するならABEX初となるネイルブースでしょうか。これはネイリストを集客したいのではなく、ネイル事業が美容室と共に新たなクリエイティブビジネスをつくれないか?という挑戦なんです。これからの美容室はネイルやアイラッシュ、エステなどを付録と考えずに同じ美容産業としてビジネススキームを構築する時代でしょうから、意義ある展示になると期待しています。
―ーズバリ、今回のABEXは成功しますか?
桂 成功すると確信しています。コロナになって全国的に小商圏化が起き、ますますソーシャルネットワークの力に頼る時代になりました。そのボトムを上げて「ここではないどこか」を生きるために。ヘアショーは次へつなげる気迫であり、ブース展示は世界基準を考えるきっかけになります。どちらも未来への鍵です。
私は昔から「美容業界」という言い方が好きではありません。業界と言うと、なんか村社会みたいじゃないですか。「美容ヘアプロフェッショナル産業」の黒子として、時代の傘から飛び出したシグナルをお送りしたい。コロナだろうとしっかりと人が生きて人の匂いがする圧倒的な熱量で、観た人、視聴した人が感電する2日間をめざしています。
皆さん会場で、画面越しで、笑って会いましょうね。ワーッハハハハハハー♪。
【チケットお申込み先】
https://www.asiabeautyexpo.jp/module/web_page/104340/0
【開催概要】
名称:第9回アジアビューティエキスポ
会期:2022年5月30日(月)・31日(火)
会場:パシフィコ横浜 展示ホールA・B・C
開場時間:30日(月)10:00~18:00 31日(火)10:00~17:00
主催:全国美容用品商業協同組合連合会
後援:経済産業省/全国中小企業団体中央会