ボブログ
Instagramに聞く! 予約機能実装の背景
11月10日より美容サロン予約ができるようになったInstagram(インスタグラム)。同機能の連携パートナーは、かんざし(パシフィックポーター株式会社)、ビューティーメリット(株式会社サインド)、minimo(株式会社ミクシィ)の3社で、今後EPARKビューティー(株式会社EPARK メディアパートナーズ)も連携予定となっています。インスタのビジネスアカウントを持つ美容師で、連携するいずれかのパートナーを利用していれば使用可能となるこの機能。美容業界が注目する最新機能のねらいについて、Facebook Japan 執行役員 モバイルパートナーシップ事業統括 小川 竜平氏に書面にて回答をいただきました。
ーーInstagramの予約機能のメリットは何でしょうか?
自社サロンやスタイリストのアカウントや投稿を発見して興味を持ってくれた顧客を、シームレスに来店予約に誘導することができる点です。
そもそもInstagramは、利用者にとって家族や友人など大切な人との距離を縮めるだけでなく、趣味や関心にまつわるコンテンツを楽しみ、大好きなこととつながることができる場所なので、ビジネスとの親和性が非常に高いプラットフォームです。趣味や関心の延長線上にはビジネスがあり、例えば美容が好きな利用者なら化粧品ブランドのアカウントをフォローしたり、美容室やネイルサロンなどの情報を得るためにアプリを開いています。実際に、利用者の90%がInstagramで何らかのビジネスをフォロー(※1)していることが分かっています。
加えて、写真や動画などビジュアルを中心としたサービスであるため、美容ビジネスとの相性が良く、すでに国内でも多くの美容室やネイルサロン、スタイリストやネイリストの方々がInstagramを積極的に活用されています。Instagramの運用に力を入れた結果、指名予約が増えたというスタイリストの方々の成功事例なども耳にすることが増えており、Instagramが重要な集客ツールだという認識は美容業界において多くの方々が持っていらっしゃると思います。
しかし、これまでは投稿やアカウントを発見したあと別の予約サイトに遷移したり、ダイレクトメッセージを送ったりしないと予約ができませんでした。利用者側からすると、Instagramのアプリを閉じてブラウザを開いたりと、面倒なステップが存在していたわけです。
今回導入した予約機能は、このような手間を省き、Instagramのアプリを閉じることなく、予約まで行えるようにするものです。利用者にとって利便性が高まることで離脱を防ぎ、より効率的に新規顧客を獲得することができるようになります。ぜひ、店舗やスタイリストの認知向上やブランディングだけでなく、集客にダイレクトに繋がるチャネルとしてInstagramを使っていただければと考えています。
※1 2019年10月Instagram内部データ
ーーInstagramの予約機能にリピートさせるような仕掛けはありますか?
Instagramの機能としては、ビジネスプロフィール上の「予約する」ボタンをタップすると、連携するパートナーサービスのサイトに遷移するという導線作りです。従ってリピート予約などの仕掛けは連携するサービスによって異なります。
ーー予約機能導入の背景と、ビューティーメリット、かんざし、minimoの3社が連携パートナーになった理由について教えて下さい
Instagramとの親和性が高いという理由から、美容サロンの予約機能は以前から日本でも導入したいと考えており、前向きに検討していました。コロナ禍の打撃を受けている美容サロンなどの中小ビジネスを支援するという取り組みに全社的に注力してきたことから、本機能の導入が決まったという背景があります。
複数のパートナーと連携をしているのは、中小ビジネス支援という観点から、ひとつでも多くの美容サロンに予約機能を役立てていただきたいと考えたからです。サロンによって様々な予約プラットフォームを利用しているため、多くのビジネスに導入してもらうために、対応するプラットフォームの数を増やすというアプローチを取っています。
今回ご協力いただいたビューティーメリットさん(株式会社サインド)、かんざしさん(パシフィックポーター株式会社)、minimoさん(株式会社ミクシィ)、そして今後連携予定のEPARKビューティーさん(株式会社 EPARK メディアパートナーズ)については、集客ツールとしてのInstagramの価値を評価いただき、日頃から加盟店への利用促進を発信いただいていたこと、そして先にお伝えした中小ビジネス支援という背景に共感いただいたことから連携が決まりました。
また、店舗だけでなく、スタイリスト個人がInstagramを通じて集客しやすいような仕組みを持っているかもパートナー選びにあたって考慮した点です。連携するプラットフォームによっては、ビジネスアカウントに切り替えることで、個々の技術者も予約ボタンをプロフィールに設置でき、来店予約に繋げられる仕組みを作ることができるようになっています。美容業界の場合、サロンとしてのアカウントだけでな く、ヘアスタイリストやネイリストなど個人が Instagram アカウントを持っており、店舗以上の影響力 や集客力を持っているケースもあります。このような仕組みを作ることで、彼らの成果がより見えやすくなり、成果に対する対価が得られたり、モチベーションが上がることも期待しています。 なお連携パートナーとは、今後も予約機能の設定方法などの情報発信はもちろん、Instagram アカウント自体の運用ノウハウの共有などの面でも積極的に連携し、より多くの美容サロンやスタイリストの方々に集客や売上向上のためにInstagramを役立てていただけるようにしたいと考えています。
ーー今後のインスタ予約機能はどのくらい発展させますか?
現在提供している予約機能(アクションボタン)は、飲食店を対象にしたもの、今回導入した美容サロンを対象にしたものの2種類です。前者は2018年9月に日本で初めて導入し、2021年12月時点では計6社と連携しています。美容サロンを対象とした予約機能の連携パートナーは 2021年12月時点では3社で、今後4 社になる予定です。
日本のInstagram利用者はハッシュタグ検索をする回数がグローバル平均の5倍と、知りたい情報を自分から取りにいくためのツールとしてもInstagramを利用しています。予約機能を提供することで、興味がある情報を発見したあと、飲食店や美容サロンに足を運ぶという行動までをInstagram上で完結させることができるため、国内利用者にもビジネスにも大きな価値を提供できるツールだと位置付けています。
この機能を他の業界にも拡大するかどうか、連携パートナーを増やすかなどの詳細について現時点で共有できる情報はありませんが、Instagramとしてより多くのビジネスの成長に貢献できるよう、今後も前向きに検討していきたいと考えています。
ーー今後、Googleも予約機能をつけてくると思われますか?
他社の取り組みに関するコメントは控えさせていただきますが、プラットフォームごとにそれぞれの特徴があると理解しています。
Instagramの場合は、例えば「新しい美容室を探そう」と目的が決まっていないときにも、たまたま発見タブに表示された投稿がきっかけでサロンを予約するなど、偶発的な発見によって消費行動が起きる点にあります。同時に、目的が明確なときはハッシュタグ検索などで能動的に情報を収集するというケースもあり、双方に対応していることが強みの一つです。今後もこのような強みを生かしながら、より多くのビジネスに価値を提供できるような機能を拡充していきます。その他にも多くの企業様から連携のお問い合わせをいただいており、導入の可能性について検討していきたいと考えています。
AUTHOR /マキピピ
わたしにとって髪は自分の表現、スタイル、ファッション。世界中の人が自分の好きな髪で過ごせますように。