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東京23区内いちばん人口が少ない区で成長し続ける美容室が22年間欠かさなかったこと【〜イベント編〜】

 

5年ごとに行われる国税調査では、世田谷区の人口約94万4000人に対し、千代田区の人口はたったの6万6000人(令和2年5月1日付けの発表)。

東京23区内でいちばん人口が少ない区、千代田区に22年間右肩上がりで成長し続けている美容室があります。

 

その美容室は、H&M Difference Engine(ディファレンスエンジン)。

その名の通り「人と違うことをやる」美容室の、美容業に留まらないユニークな取り組みやスタッフの育成方法を取材しました。

 

 

「違いを生み出す」ことが価値になる

 

美容の枠に留まらず、「美容✖️○○」が得意なスタッフを育成し、新しい美容室の価値づくりに挑戦してきたDifference Engine(ディファレンスエンジン)の取り組みは独特なものばかり。

 

千代田区に4店舗、文京区に1店舗を展開するDifference Engine(ディファレンスエンジン)の設立者・伊藤秀一さんがいつもスタッフに伝えているのは、「あなたにとって、得意なことで能力を伸ばしてほしい」ということ。

 

伊藤さん

「うちのサロンは、5店舗それぞれでやっていることがまったく違います(笑)。

でも違っていい、というのが僕の考え。スタッフの誰かが『こんなことやって結果が出たよ』と自発的に事例をつくってくれると、他店舗もうちもやってみよう! と動く。

スタッフはさまざまな事例の中から自分に合うものを選んで、自分流にブラッシュアップしてますね。

最初は真似でも、ブラッシュアップの過程を経て

『自分にしかなりえない美容師』『代わりのきかない美容師』になってくれたら良いなと考えています」

 

 

 

 

 

 

実際、eida店(千代田区・神保町)のスタッフから「着付けをやりたい」と声が挙がり、着付けやネイル、アイラッシュなどのメニューを組み込みトータルビューティ化も推進。

理容室登録をしている2階店舗ではシェービングも行うなど、幅広いニーズに応えられるサロンへと進化しました。

 

 

 

 

moloco店(千代田区・九段下)の店長・冨田絢香さんはデザインショートが得意。

埼玉県や千葉県から移動時間をかけて「冨田さんが切るショートにしたい」と集まるこだわり客が増え、現在、毎月平均して約170名(月200万円)を担当しています。

 

 

 

 

 

美容と同じくらい○○○が得意です!

 

伊藤さんが決してブレないのは、「スタッフのやりたい」を否定しないこと。

たとえちょっとズレた提案があったとしても、「挑戦する」ことそのものを評価し、評価基準や昇格基準をつくってきました(キャリア育成については【後編】で紹介!)。

 

これまで実現してきたスタッフの「やりたい」は実にさまざま。

その一部を紹介します。

 

 

 

 

・ほぼ日刊手帳展(2009年)

2009年には、「ほぼ日刊イトイ新聞」の「ほぼ日手帳展」をDifference Engine(ディファレンスエンジン)で行なっていました!

イラストレーターのたかしまてつをさんがお使いの「ほぼ日手帳」を公開するこの展示。

イラストでギッシリの手帳の中身をサロンいっぱいに展示しました。

 

 

 

 

・音楽フェスでの「青空美容室」出店(2010年)

音楽好きのスタッフが企画した野外フェス「Natural High!2010 〜アースデイ・キャンプ〜」(主催:アースガーデン)のブース出店。

エクステやコーンロウなどは1本500〜800円で施術し、ヘアアクセサリーも販売。

土日の売り上げが落ち込む分をどうカバーするか数字計画も提出。見事、目標売り上げを達成!

 

 

 

 

 

・アンティーク着物イベント(2011年)

着付けが得意なスタッフの提案で、アンティーク着物が趣味のお客さまを集めてアンティーク着物イベントを開催。このイベントがきっかけで平塚らいてう「青鞜」創刊百周年記念公演おおのの06「東京モダンガールズ」のヘアメイクと着付けを星陽子さんが担当することになりました。

 

 

 

 

・フリマ(2014年〜2016年)

お客さまと共同で企画したフリマ。2014年〜2016年に3回開催。

 

 

 

・原画展(2015年)

音楽家ARAKI Shinさんのアルバム「PRAYER」のジャケットで使用された、前田夏子さんによるコラージュ作品の原画展も開催。

 

 

 

・生ハム原木イベント

 

 

・日本酒イベント

 

 

 

・レザークラフトイベント

 

 

 

・お菓子総選挙

 

この他にも「映画イベント」「カレーとワインイベント」「沖縄イベント」「コーヒーイベント」などなど、数えきれないほどのイベントを企画。自分たちでゼロからつくり上げたイベントは、同社の伝統となりつつあります。

 

 

 

“好きなものが同じ”が生涯顧客の最短距離

 

伊藤さんはトップダウンではなく、スタッフからの提案や行動がなければサロンにイノベーションは起きないと言います。

 

そしてこの“好き”から派生した活動こそが、生涯顧客との太いパイプを生むのだそうです。

 

伊藤さん:

「うちも集客サイトはやっていますが、集客サイトがきっかけで来店した人よりも、イベントを通して知り合った人の方が“好き”が似ている分、一生のお客さまにつながるケースが多いですね。

 

髪はファッションの一部だから、同じ文化を好む人、自分と好みの近い人に髪を任せた方が安心感があるのだと思います」

 

 

髪書房も今年6月に出版社の聖地・千代田区神保町に引っ越してきましたが、確かに住んでいる人は圧倒的に少ない印象です。

 

学生や働く人が多い街ではありますが、Difference Engine(ディファレンスエンジン)の特徴は平日より、土日の方が混んでいるということ。

「“わざわざ”来たい」

「好きを共有したい」

そんなお客さまが多く集まる美容室なのだと感じました。

 

 

東京23区でいちばん人口が少ない区で成長し続ける美容室が、22年間欠かさなかったこと・・・。それは「自分にしかなり得ない美容師」の追求でした。

 

 

次回【後編】では、さまざまな形でキャリアアップを描けるDifference Engine(ディファレンスエンジン)のスタッフ育成にフォーカスします。

 

仕事以外のライフステージにおける経験にも価値があると捉え、女性美容師のキャリア育成や、男性美容師の育休なども推進してきました。

 

Difference Engine(ディファレンスエンジン)のちょっと変わったキャリア育成も是非ご覧ください。

 

 

 

 

H&M Difference Engine(ディファレンスエンジン)

伊藤秀一/いとうひでかず

1971年8月29日生まれ。東京都出身。東京総合美容専門学校、理容科&美容科卒業。実家が理容室を経営しており、理容師の道へ。さらに美容室1店舗を経て、10年の実務経験の後、1999年6月9日、ディファレンスエンジンを設立。現在はマネジメントとプレスを兼任。設立日が「ロックの日(6月9日)」であることからもわかるように大の音楽好き。

 

 

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AUTHOR /yahagi

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