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疲れないのに生産性が上がるカット・カラー・パーマ技術⁉︎ 体調を理由に美容師を諦めないための技術改革

美容師とは一見華やかな仕事ですが、過酷な肉体労働というイメージがあります。

朝から晩まで立ちっぱなしというだけでなく、カットやブローで肘や肩に負担がかかり、手首や腰を悪くしてしまった……という声もよく聞きます。

また、売り上げを上げるために毎日たくさんのお客さまに入客しようとするあまり、オーバーワークで体調を崩してしまうという人も。

せっかく美容師免許を取得して手に職をつけたのに、それを一生の仕事にできないのはもったいなさすぎます!

そこで立ち上がったのが、埼玉県を中心に美容室「ビューティシモ」を運営する鈴木勝裕代表。“体が疲れない“かつ“時間意識が身につき生産性が上がる“カリキュラムを考案したのだとか。

今回は、2021年10月20日発売予定のその鈴木代表の理論を余すことなく伝える書籍『50年美容師を続けるための新ベーシック』より、そのカリキュラム考案の経緯と旧来の技術との違いを紹介していきます。

教えてくれた人


鈴木勝裕 代表取締役社長
(美的感覚集団 美髪堂株式会社)

すずきかつひろ/1963年生まれ。埼玉県出身。山野美容専門学校卒業。美的感覚集団美髪堂株式会社代表取締役社長。1987年にSTREETをオープン、カリスマ美容師ブームを牽引。次第に経営者としての手腕を発揮し、2007年第2回渋沢栄一ベンチャードリーム賞にて奨励賞受賞。現在、ヘアサロンのみならずペット美容室、ウェディング、ネイル、着付けなどの複合  ロンを展開し、フランチャイズ事業に注力している。

教育の基盤は20年前から。カリスマ時代からアカデミーを運営

人口減少・少子高齢化に伴って美容師のなり手が減っている今、教育を見直している美容室経営者は多いですよね。ですが、ベーシックの見直しにチャレンジした人は少ないと思います。技術に注目したのはどういった経緯か教えてください。

鈴木代表代表
鈴木代表代表
私は24歳で独立したのですが、その時から技術教育の重要性は感じていました。
当時はインターン制度があって、必ずどこかの美容室に勤めなければいけなくて。古くからの徒弟的な教育を体感した一方、自分で萩原宗先生のスクールにも通っていたんですよ。
そこで、短期間で集中的に一流の技術を学ぶアカデミーというシステムが素晴らしいと思いました。
教育制度と美容室経営の関係はイコールだと感じたんです。

なるほど…… その学びを経て、独立してどのように教育の仕組みを築いていかれたのでしょう?

鈴木代表代表
鈴木代表代表
社員教育には力を入れました。
2店舗目を出店するときにはアカデミーを併設して、技術教育を体系化しました。当時は、萩原先生に倣ってサスーンの5パターンをベースにカリキュラムをつくりました。

2店舗目にしてアカデミー設立に着手するのは当時としては早かったのではないでしょうか?

鈴木代表代表
鈴木代表代表
だと思います。
当時は世間が「カリスマ美容師」ともてはやしていた時代。原宿が美容の中心地で、成長していくために出店しました。
結果的にカリスマ美容師は一過性のブームとして過ぎ去っていくわけですが、あの頃の原宿に進出したことは技術的にも発見が大きかったですね

と言いますと?

鈴木代表代表
鈴木代表代表
萩原さんや川島文夫さん( PEEK-A-BOO)がイギリスから持ち帰ったサスーンカットだけでなく、フランス流など、そのほかいろんな技術が入ってきて入り乱れていたからです。“宇宙“だなって感じました。
そういう刺激的な環境の中で、カットとカラー、そしてパーマ(CURL)の理論「C3」を考案しました。それが、今回考案した「50年美容師を続けるための新ベーシック」の基盤になっています。

業態変革の波に乗り行き着いたのは「疲れない」カットという発想

では次に、今回考案されたという新技術について教えてください。考案のきっかけはどのようなことだったのですか?

鈴木代表代表
鈴木代表代表
10年前くらいから、業態変革の波を感じていました。
まず、低価格で集客するカット専門店やカラー専門店が出てきましたよね。
そして、業務委託サロンの台頭。
アシスタントを雇い、総合的に美容メニューを提供する教育サロンとしては、教育を一新しなければ生き残れないと危惧していたんです。

確かに、教育する意味、そしてカットやカラー、パーマを全て提案するサロンとしては、どう差別化するかがキモになりますね。

鈴木代表代表
鈴木代表代表
そんな中フランスで技術講習を受けに行き、大きな価値観の違いに出会いました。
ハサミをペンや筆のように使い、ヘアカラーもブリーチベースで捉え、効率的にシャンプー台でフィンガータッチで入れていく効率的な仕事ぶりを目の当たりにしました。
「疲れない技術」という発想の源流はこの体験ですね。

美容師に限らず、日本人は働くと疲れるものというイメージが強いですよね。

鈴木代表代表
鈴木代表代表
労力を価値と捉えている部分が他の文化圏より大きいかもしれませんね。
人が減っていく時代、これからはそうはいきません。

本当に、ちょっとしたことでも「人に優しい」んですよ。日本だとパウダーブリーチが主流でしょう? ですが、向こうは技術者が吸い込むリスクを考えてクレイブリーチが主流だったり。

「働く人に優しい」という観点は、働き手がどんどん減っていく日本にとって大切な観点ですね。それは美容師も決して例外ではないはずです。

座って切る、肘や肩を上げずにカットできるハサミの持ち方など「技術者が疲れない」ことにこだわった。

「50年活躍できる新ベーシック」は“ワンオペサロンワーク“時代に効く!

そこで鈴木代表が考案したのが「50年活躍できる」ベーシック。カリキュラムは全20スタイル、2つのウイッグで練習していくものです。

『50年美容師を続けるための新ベーシック』より

その特徴は次の3つ。

❶カット・カラー・パーマをひと続きで考えるから「構造」が理解できる

❷1作業7分単位で考えて練習! 時間意識がぐんぐん身につく

❸手や腰に負担のかからないことに特化した新発想のカリキュラム

そのひみつは徹底して手数を少なくソートした工程のシンプルさにあります。

パネルを細かく取らず、コームで大きく髪を集めて一気に切ったり、カラーを塗布したり……

『50年美容師を続けるための新ベーシック』より

旧来の技術の「当たり前」を覆す時短テクが満載です。

技術もSDGsにアップデート! 世間水準で魅力的な業界へ

疲れない技術だから、これまで一定の年齢や事情でハサミを置く選択をせざるを得なかったような人も、ずっと美容師を続けられますね。

鈴木代表
鈴木代表
はい。この時代、一度美容業界に入ってくれた人が体調を理由に美容師の道を諦めざるを得なかったり、売り上げや技術の習得でつまずいて淘汰されてしまってはいけないと思うんです。
技術をシンプルにすることはレベルダウンではない。そこから先を自由に創意工夫して価値を作っていくことが業界を大きくするわけで。
技術をシンプルにすることは、むしろクリエイティビティの拡大なんですよ。

確かに。そうすることで「美容師がシンドイ仕事」という若者のイメージも払拭できるかもしません!

鈴木代表
鈴木代表
そうなんです。
人を使い捨てる業種というイメージは、美容業界全体にもよくない。
それ以前に、これだけ「サステナブル」とか「SDGs」といった言葉に関心が集まっている今、お客さまから選ばれるサロンであるにはそういった社会的責任を果たすことは急務です。
技術をシンプルに改革することは人と人の格差をなくすことにも繋がるんですよ。

サステナブルは「持続可能」という意味。まさに「50年働き続けられる美容師」を育てることは、そのままの意味でサステナブルですし、企業としての責任でもありますね。

鈴木代表
鈴木代表
人ももちろんですが、モノも使い捨てないのがビューティシモ新ベーシックです。
ウイッグの廃棄量を減らした効率的な練習であることに加え、アルミホイルや輪ゴム、紙を使わず、繰り返し使えるツールを活用しています。
人もモノも使い捨てない業種にアップデートするためにも、技術を見直しましょう。
それが、サロンの利益アップにもつながるし、業界の未来にもつながるんです。

売り上げの頭打ち、求人難といった問題の解決の一手となる技術改革。

一見遠回りに見えて王道。本質の時代と言われるアフターコロナのこれからに効く、新しい視点だと思いました。

気になった人はぜひ、書籍で詳しく研究してみてください!

もっと知りたい人はこちら!

『50年美容師を続けるための新ベーシック』(Beautissimo)
定価 2,000円(税抜価格 1,819円)[A4変形判/112ページ]

・ベーシックを“型“でなく“構造“で捉えて、手や腰に負担がかからない新しいカット理論!
・1つのプロセスはすべて7分以内に。ツールを使いこなして徹底時短!
・2つのウイッグでカット・カラー・パーマも含めて20体レッスン、提案力も同時にアップ!
“お客さまの満足度=労力“ではありません。
柔軟な発想とチャレンジで、50年後までお客さまと幸せな関係を築ける美容師になりましょう!

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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