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練習に使ったウイッグ、200万円分!【全国売れっ子スタイリスト連載第25回】最高売上320万円/青森県青森市
月刊BOBの長寿連載、『日本全国売れっ子スタイリストを探せ!』。なかなか知ることのできない、リアルに売り上げが高い美容師さんの数字や取り組みを赤裸々に取材するこの企画。2004年に「人が好き!美容が好き!」というメッセージを掲げて始まり、名前や形を変えながら日本全国の200名近い美容師さんを紹介してきました。(現在の連載タイトルは「日本全国売れてるスタイリストを探せ!」)働き方、ライフプラン、キャリアプランのヒントが詰まっていて、掲載はいつも雑誌の後ろのほうですが反響の大きい企画です。
今回は月刊BOB2006年4月号掲載の第25回をご紹介します(記事内容はすべて、取材当時のものです)。
全国売れっ子スタイリスト連載第25回 三上真紀子[Natural/青森県青森市]2006年4月号掲載
三上さんの売り上げデータ
プロフィール
みかみまきこ◎1976年(昭和51年)2月15日生まれ。30歳。A型、みずがめ座。 青森県東津軽郡出身。青森中央高校卒業後、ケンジ入社。美容師になることは小学校のときから決めていた。中学卒後すぐにでも美容師になりたかったが、高校に入り、2年生の秋から美容学校の通信課程を専攻。ヘアーアートカレッジ木浪学園の通信課程だったが、入社した美容室が系列企業であることはしばらく知らなかったという。99年8月、本社事務所勤務の三上秀謙さん(29歳)と結婚。車で3分のところに最近、マイホームを購入。雪道の運転が怖いので、朝晩の通勤はご主人に送ってもらうという。「いずれサロンを持ちたいから、子供ができたら早く産んで、その準備をしたい」。
サロンデータ
◎グッドハンドグループ
社名/(株)イマージュ・(有)ケンジ
本社/青森市古川
資本金/1千万円
店舗数/17サロン(他にエステサロン17サロン)。 Natural、ALTY、NEOHIS、ASH、LIAISON、LALA-ROU、WORLD、 あした晴れ、SDLなどのサロン名で展開している。
社員/300人(エステサロンも約300人)
創業/1985年(昭和60年)
「前回のことを絶対覚えていてくれる」とお客に言われる。忙しくても1人1人に向き合って返客
(拡大表示できます)
新規リピート率は8割以上だった。現在は新規客をすべて後輩に譲り、指名客200人でつくった売り上げ。
使ったウイッグは200万円!練習の虫から、2年半でデビュー
中学生のときの部活は卓球。何度か優勝して、高校の特待生入学の話もあったという。 練習を1日も欠かしたことがない。お盆や正月も例外ではない。ただし、そんなときはさすがに練習相手がいなくて、マシーンを相手に1人で練習したという。
半端じゃないがんばり屋さんだ。
ケンジに入社してもそれは同じで、夜中の2時、3時まで練習して、翌朝7時に出社してまた練習する毎日だった。
「夜、1人で練習していると、寮に帰りたくなくなるんです。次の日の朝、起きるのが辛かった。でも、起きたら大丈夫。デビューしてからも、しばらくはそんな毎日でした」 1日にウイッグを7、8台カットしたこともある。 「1日分の給料より使ってました(笑)。卓球と同じで、やればやるほど、うまくなると単純に思っていましたので(笑)先輩に切り過ぎと言われてました。今は後輩に、いかに効率よくカットを練習するか教えています」
ウイッグを200万円は買った。ウイッグ立替代金を会社に払えなくて、70万円ほど借金がふくらんだこともあるという。
「でも練習することが大好きだから、後悔してません。カットに関して後悔しているのは、ウイッグ代の200万円より、24万円のハサミを買ったこと。あれはだまされた(笑)」
クレジット販売だから、24万円の返済だけではなく高い利息もつく。18歳で未成年だったから、保証人も必要で面倒だった。 ウイッグに投資をすれば、カットは上達する。しかし、高価なハサミを買っても、カットは上達しない。貴重な教訓だった。
練習の虫、三上さんは2年半でスタイリストデビューを果たす。同期生10人の中で一番早いデビューだった。
カルテがなくても、何人同時に入客しても、前回のことは必ず覚えている
カルテをあまり使わない。しかし、カルテに記録しなくても覚えている。 「お客さまに、『前回のことを絶対に覚えてくれている』とよく言われます。ヘアスタイルとか会話とか、自分でも不思議なくらい覚えているんです。やっぱり心ですかね(笑)」
こんなふうにギチギチに詰まった予約状況が常。しかし、10人のお客が集中しても、1人ひとりのことをすべて記憶するという。
忙しければ忙しいほどお客に集中してしまうので、自然に覚えるのだろうと自分分析をする。
「私、頭は悪いんです(笑)。兄や妹に比べて成績が悪く、勉強ができないなら身体で働けって、父からよく言われて育ちました」
高校生から70代半ばまで、三上さんを指名するお客の年齢層は幅広い。しかし、中心客層は同世代の20代後半から30代前半だ。 お客の半分は、ヘアスタイルを決めてこない。
「どうしますか?」「どうしたらいいの?」という会話ではじまるお任せパターンが多いが、三上さんの特技は一瞬でヘアスタイルが浮かぶことだ。瞬時にヘアスタイルが浮かんで、すぐにそれを提案する。
良かったこと、悪かったこと、いろいろ感想を言ってくれるお客のほうがやりやすい。 情報が多い分、提案の幅、アイデアが広がるからだ。 巻き髪も得意だし、苦手なものはあまりない。ただし、メンズヘアだけは少し苦手意識を持っている。
「若いスタイリストがやっているヘアスタイルを見て勉強しています(笑)。私、どうしてもきれいに整えたくなる。性格的なものですね。アシンメトリーのスタイルなんて、とってもついていけなかったですね(笑)」 高校を卒業してすぐに入社して、24歳で店長になって今、30歳。「ようやくお客の立場で考えられる立場になってきました」という。
メニュー表は自分で決める、責任と自由を持てるサロン
昨年の春を境に、三上さんは新規客を取っていない。
「サロンの雰囲気がいいこともあり、私の新規客リターン率は80%でした。ですから、まだまだやりたかったけど、新規客の少ない時代です。若いスタイリストに任せました」
三上さんの指名客200人を筆頭に、指名客150人のスタイリストが2人いる。200人の指名客を持つスタイリストが何人増えるかが、今の三上さんの仕事。
Natural青森店は現在、スタイリスト7人、アシスタント5人、フロント1人の態勢で営業している。 「サロンの空気がいいから、まだまだ伸びると思います。特にアシスタントのレベルが高い。ちゃんと発言する。すごいですよ。サロンの将来性がありますね。しっかり育てて、早くデビューさせてあげたい」
月に1回はみんなで居酒屋に行く。ワイワイ元気にやって、パワーが炸裂する。
カット&ブローは4300円で、周囲と比較すると高料金サロンだ。 「メニュー表は自分で決めるんです。責任を持たせてくれるシステムがいいですね」 将来はサロンを持ちたいと考えている。FC展開がはじまろうとしているので、1人で小さく長くやるのもいいが、グループで一緒にやりたいという思いが強い。
町を歩いていて見かけて面接を申し入れたサロンが、実はとんでもなく大きな展開をしていた。 「働く環境があることってすごい。特に女性にとっては美容の仕事はいい。小野(宏子)常務は入社試験のとき、私の面接をしてくれました。エネルギッシュで、一番成績を上げてきた人です。同性としてもすごいと思います。木浪(賢治)社長は心が広くて、前向きな人ですね」
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