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ヘアドネーションへの疑問を払拭!女子高生の取り組みに学ぶ本当の社会貢献

突然ですが、美容師の皆さん。お客さまから「ヘアドネーションをしたい」と希望されたことはありますか?

数年前から有名女優などがロングヘアをバッサリ切って寄付したことを報告する例も増え、ヘアドネーションという言葉は耳にする機会が増えたと思います。

その一方で、SNSでお客さまの声に耳を傾けてみると「やり方がわからない、うちではやっていないと言われた」という声を多数見かけました。伸ばした髪を切るのを断られた、切った髪を捨てられたというようなエピソードもちらほら……。

また、ヘアドネーションって本当に意味があるの? 寄付した髪はちゃんとウイッグになっているの?と言った疑問や懸念の声も聞かれます。

そんな「ヘアドネーションの疑問」をリサーチするうち、ボブログ編集部は「普及啓蒙からウイッグ制作、寄贈まで」を一手に担う女子高生の団体を発見! そして、彼女たちの取り組みを通して、ヘアドネーションは必要とする人がいる大切な活動でとても意味があること、そして美容師さんこそヘアドネーションを正しく知り、率先して普及していくべきことだと確信しました。

今回は前編では女子高生の同好会のインタビュー、後編では行きつけの美容室で髪を切って送る方法や送り先もお届けしていきます!

啓蒙、募集からウイッグ寄贈まで! 女子高生の同好会

今回取材したのは「女子高生ヘアドネーション同好会」の皆さん。群馬県太田市にあるぐんま国際アカデミーという高校の生徒が中心となって、県内外の女子高生が所属しヘアドネーション活動を行なっています。

彼女たちのすごいのは、ヘアドネーションの啓蒙や髪の募集だけでなく、ウイッグメーカーと提携してウイッグを制作し、提携した病院の患者さんにオーダーメイドのウイッグを寄贈するところまで全て手がけているところ! もちろん無償で。スゴイ。

せっかく寄付するなら確実に患者さんの手元に届くことがわかっているところに届けたいですよね。

どうしてそんなことをするようになったのか? 現在の活動までの道のりをお聞きしました。

取材した人

伊谷野真莉愛[いやの・まりあ]さん/女子高生ヘアドネーション同好会創設者・代表

2001年生まれ。群馬県出身。2017年4月、高校2年生の時に「女子高生ヘアドネーション同好会」を発足し、実妹らとヘアドネーションの啓蒙活動をスタート。地道な活動に地元の新聞やNHKなどの報道機関が関心を抱き、その活動は全国に知られることに。アートネイチャーの全面無償協力により、集めた髪の加工・ウイッグ製作まで行い、提携する病院に対しウイッグの寄贈も行う。同校卒業後の現在も病院や企業とのやりとりなどを通して同好会をサポートする。

「学生にもできるボランティア」を広めたいという思いから

――高校在学中に同好会としてヘアドネーションに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。

伊谷野 小さい頃からボランティア活動に興味があったのですが、最初のきっかけは祖父ががんで他界したことかなと思います。中学1年の時でした。

そんな“がん“という命に関わる病気の怖さを知った同じ頃、さらに「小児がん」という病気があることも知りました。自分より小さい子が病と闘う姿にショックを受けたのを覚えています。治療で頭髪を失ってしまうということもその時に知りました。

そこで、それから3年間髪を伸ばし、高校1年生の時に頭髪を寄付しました。

自分で実際に体験してみて、ヘアドネーションは学生にとって身近なボランティアだ!と思ったのが同好会発足のきっかけです。勉強しながら、部活をしながらでもできるボランティアって、そんなにないと思うんです。自分がやるだけでなく、たくさんの学生に広めたい、全国の高校生に協力してもらいたいという気持ちで活動を始めました。

 

――確かに、髪を伸ばすだけでいいんですもんね! 初めてのボランティアにはもってこいですね。そういった「広めたい」という活動から、ウイッグの制作・提供までを手がけるに至った経緯も教えてください。

伊谷野 はい、当初は本当に啓蒙活動のつもりでしたので、まずは学校にポスターを貼ったり、SNSにヘアドネーションとは何か?どうやってやるのか?といったことをまとめた画像を貼って共有したりして、ヘアドネーションに興味を持ち、一緒にやってくれる高校生のメンバーを増やすための活動をしていました。

その時はすでにあるNPO団体さんに寄付をするつもりで、連絡をとっていたんですが、寄付された髪がどうなっていくのかというような突っ込んだ質問をして以降連絡が取れなくなってしまって……。

それで、せっかく啓蒙して頭髪の寄付を募るなら全部見えるようにしたいと思い、ウイッグ会社さんや提供先の病院を探すような流れになりました。

 

ウイッグ製作会社・寄付先の病院が決まるまでの道のり

――そんなことがあったんですか……! ウイッグ会社や寄付先の病院はどのようにして探されたのですか?

伊谷野 まずご協力いただけるところを探したのはウイッグ会社でした。約30社くらいにお電話をしました。今ご協力いただいているアートネイチャーさんも、一度は他の部署にご連絡してお断りされていたんです。

ですが、藁をもすがる思いでもう一度、今度は広報部の部長さんにご連絡し頼み込んだところ「できるかわからないけど社内で検討してみるから企画書を送ってください」と言っていただいて。

2017年7月後半に学校に来てくださり、会議の場を設けてくださり、試作品を作ってみようということに。そうして、1号目のウイッグ製作からずっとお世話になっています。

来校したアートネイチャー担当者と会議を行う女子高生ヘアドネーション同好会のメンバーたち

――学校の勉強の合間に企画書を……!本当にすごい。寄付先の決定も大変でしたか?

伊谷野 大変でした……! 求めておられる患者さんがいるのだから提供先は困らないだろうと思っていたのですが、一番大変でした。

感染症のリスクやプライバシーの問題があるのでと断られるばかりで。よく考えたらそうですよね。とても勉強になりました。

同年の8月に、太田市長がやっているラジオにゲストに呼んでいただいたことがあって、そのとき市長が「何か困っていることある?」と問いかけてくださったので「今しかない!」と思い、提供先の病院を探しています!とアピールしたことで、病院の先生にお繋ぎいただくことになりました。

企画書や患者さん向けのパンフレットを作って先生に提出し、11月に提供させてもらえることが決定しました。

 

メンバーで制作した企画書・パンフレットを持参し病院でプレゼンをする伊谷野さん

迷いが自信に変わった「ありがとう」の言葉

――たくさんの困難を乗り越えて協力を得られたのですね。伊谷野さんは現在卒業され、活動は後輩の皆さんに引き継がれているわけですが、在籍中特に印象に残ったことを教えてください。

伊谷野 やはり、第1号目のウイッグを提供した時のことは忘れられません…!当時11歳の女の子で、12月に顔合わせと採寸を行い、2018年3月にお渡ししました。

ウイッグをつけた姿を見た彼女が「ふつうの女の子だ」と言ったのを聞いて……本当にやってきてよかったと思いました。

2017年12月、ついにお一人目のウイッグ採寸の様子。

――それは聞いてるだけで涙が……!自分だけでなくたくさんの人にヘアドネーションを広めたいという思いから、ここまで。卒業後も活動が続き、思いがつながっているのも素敵です。

伊谷野 ありがとうございます。先月、その子のお母さんが小学校の卒業式と中学校の入学式の写真を送ってくださったんです。「もらったウイッグをつけて出席しました」と、お礼のお手紙とともに。大変なことや迷うことも多いですが、そういう声をお聞きすると、本当にやってよかったと思います。

 

――最後になりますが、現在の「女子高生ヘアドネーション同好会」の活動を総括・再アピールしてください!

伊谷野 現在はぐんま国際アカデミーの後輩たちや県内外の高校生20名で活動しています。活動内容としては、まず全国から送ってもらった頭髪の整理です。週に1回事務局に届いたものを開封し、長さごとに仕分けします。それがある程度溜まったらアートネイチャーさんに送付する流れです。

また、頭髪を寄付してくださった方にお礼のおはがきを書くのも重要な活動の1つです。

おかげさまで認知度も上がりたくさんの方が送ってくださるので作業は増えましたが、作業をデータベース化したり、省コストになるように工夫たりして、協力いただいたことへの感謝の気持ちを伝えています。

もっと、1人でも多くの方に「ヘアドネーション」という活動に興味を持ってもらうためにも、美容師さん向けのメディアで発信できることはとても心強いと感じています。美容師さん自身がヘアドネーションとは何かを知っていただき、少しでもご理解・ご協力いただけたら嬉しいです!

「学生でもできる一番身近なボランティア」というキーワードがとても印象に残りました。

そんな高校生の思いと行動が、頭髪の寄付を必要としている人が確実にいること、受け取った人が喜んでくれるということを私たちに教えてくれていると思います。

余談ですが、伊谷野さんはこの経験を通して医療の道を志し、群馬大学医学部に進学しました。命に関わる病気と闘う現場に、美容の力・髪の力を実感した伊谷野さんが進んでくれることは美容に携わる人間としてとても心強いことだと感じました。

そんな人たちの闘いを、1人でも多くの美容師さんが理解し、美容のプロとして命や生きる力を後押しすることができたら、医療の現場としても心強いのではないかと思うのです。

 

後編では、編集Nが実際に女子高生ヘアドネーション同好会さんに頭髪を提供する流れを通して、寄付できる髪の条件や送付の際の注意点などを現役メンバーの皆さんにレクチャーしてもらいます!

明日5月14日(金)に更新予定。お楽しみに!

▶︎女子高生ヘアドネーション同好会ホームページ
https://hairforchildren.wixsite.com/hairforchildren

▶︎女子高生ヘアドネーション同好会 Twitter
頭髪の寄付の仕方の啓蒙や寄付した人とのお手紙のやりとりなどがチェックできます!
https://twitter.com/hairforchildren

▶︎女子高生ヘアドネーション同好会 Instagram
現在のメンバーの活動の様子などが配信されています♪
https://instagram.com/hairforchildren

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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