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おうちにいてもワイハでアロハ!!の巻~ボブログ音楽食堂 Vol.5
序章【“新しい取材様式”を導入!?】
いつもは閉店時間ギリギリまで居座る浅草の某居酒屋。「ボブログ音楽食堂」Vol.5となる今回は、お店と他のお客さんに迷惑がかからないように取材方法を変更。事前に電話でお店自慢の焼き鳥を大量注文→お店に立ち寄った「変」集者が焼き鳥と同伴出勤し→営業マンが買い出した缶ビールとオフィスで合流。さて今日のボブログ音楽食堂、始まるやいなや…焼き鳥以外の「珍品」おつまみの出現に一同(※二人しかおりません)騒然となり!?
第一章【セーターの上からアロハ!?ビキニでお風呂!?】
【BOB変集者:以下B】居酒屋のマスター(=北海道の人)がこれをeasymanに持っていけって。お魚の干物なんですかねぇ…あ、そうそう!「これも一緒に」って(とポケットから「マヨネーズ」のチューブと「七味唐辛子」の小瓶を出す)。マスターがね、七味唐辛子のことを「な・ん・ば・ん」っていうの。
【easyman:以下e】あー。てことは「こまい」だな。今が旬だからねー。トースターで5分くらい炙(あぶ)ればすぐ食えるから、どれどれ…(と、そそくさとキッチンへ消える)
【B】こ・ま・い・っ・て・こ・の・干・物・の・本・名・で・す・か・ぁー?(とキッチンに向かって怒鳴る)
【e】(調理を終えてテーブルに戻り)うーん…漢字で書くと「氷下魚」で別名「寒海(カンカイ)」。魚類としての学術名は…宮澤正之(=さかなクンの本名)博士に聞いてみてよ!頭とはらわたを取って寒風天日干しすると、タラ科特有の香ばしさが格段に増すんだ。炭火で炙って食うのが一番うまい。(小皿に大盛ったマヨに七味唐辛子をぶっかけ)これをちょこっと漬けて食ってみて。
【B】げっ!ちょー美味い!!(口の周りをマヨでギラギラさせながら…)あ、そういえば…ウチの会社の先輩が「ワイハ」に別荘を持っていてね、今回の年末年始は海外に出かけられないからお家で南国気分に浸るんだーって。お風呂に入る時はビキニに着替えて、お部屋にいる時はセーターの上からビンテージのアロハ着てブルーハワイを飲むんだーって言ってたの。そんな在宅生活でも「ワイハでアロハ的気分」に浸れるナイスな音楽って、なにかオススメないですかね?
【e】キミたちの世代で「Hawaii(←末尾はiiが正しい表記)音楽」っていうと、真っ先にどんなの思い浮かべるのかね?
【B】うーん…はっきり言って屋上のビアガーデンとか、商店街のアーケードとかで流れてくるスチールギターのイメージしか浮かばないですねぇ…。ウチのおじいちゃんがスチールギター弾いてたんですよ。平らな板に弦を張ったような楽器で。鉄のバーを弦の上で滑らせて「ヒュヨヨ~ン」って!そう言われてみれば、1985~90年生まれの私とか先輩とかの世代が知っているHawaii音楽って、あるようでないですねぇ…。
【e】いや!気付いていないだけできっとあるよ!アメリカの医療モノのTVドラマ「ER/イーアール」って観たことあるかい? シーズン8の第21話 「託す思い」 の中で、自分の最期を悟ったマーク・グリーン先生が終の棲家に選んだのがHawaiiでさ。で、グリーン先生が息を引き取った時に、男の人がウクレレひとつで唄う ”over the rainbow” が流れていたんだけど……
【B】あーっ!あのシーン!!憶えてますよー!!!わたし号泣し過ぎて、体中の水分が枯渇してミイラになるかと思ったもの。
ER / season 8
第二章 【日のIZる国でover the rainbow!?】
【e】あのover the rainbowを唄っていたのはHawaiiの超人気シンガーのIZ(イズ)さん。長~い本名:Israel Kamakawiwo’ole(イズラエル・カマカヴィヴォオレ)を略してIZ。あの唄が聴けるアルバム ”Alone In IZ World” は、アコースティック楽器中心の編曲で全編ゆ~ったりしていて、日本に居ながらにしてHawaiiを感じるのにとてもオススメだよ!
”Alone In IZ World” / IZ
【e】彼が唄うover the rainbowは、ブラピとアンソニー・ホプキンスがW主演した「ジョー・ブラックをよろしく/Meet Joe Black(98年)」や、ショーン・コネリーさん主演の「小説家を見つけたら/Finding Forrester(2000年)」のエンドロールでも使われていたよ。IZは59年ホノルル生まれで、76~82年まで実のお兄さんのSkippyと「Makaha Sons of Niʻihau(マカハ・サンズ・オブ・ニイハウ)」というボーカルグループをやってたの。ソロになってからのヒット曲は、ハワイ生まれのお相撲さんを唄った「天国から雷」が有名。♪アッケボーノ ムサッシマール アンド コニーシキー♪って歌詞なんだ。
”E Ala E(邦題=天国から雷) ” / IZ
【e】残念ながらIZは97年に38歳の若さで亡くなったんだけど、先記のover the rainbowがTVドラマの「ER」で使われたのがきっかけで、それまではローカルヒーローだった彼の音楽を世界中のひとが聴きはじめたんだ。いまではこのover the~は、IZの編集アルバム(=Greatest HitsやBest of ~の意)の幾つかに収録されているから容易に探せると思うよ!この一曲だけをリピートしっ放にしておいても、飽きるどころかずーっと聴いていられるから不思議なんだ。
第三章【ジョージ・ウインストン、ピアノを弾かずに何をする!?】
【B】そういえば私、前の会社でNew Age音楽のコンサートを取材したことがあって。ピアニストのジョージ・ウインストンさんが「スラック・キー・ギター(※)」というHawaii音楽のジャンルを研究しているんだよって、レコード会社の広報のひとから聞いたことがありますよ。(※ “slack key=キーを緩めた”の意。通常のギターの調弦と異なり、解放弦の状態で特定のコード/ハーモニーに設定してから演奏する手法=オープンチューニング)
【e】ウインストン氏のアルバム「オータム」に収録されている「あこがれ/愛(Longing/Love)」という曲が1980年当時の日本でバカ売れしてたよ。Hawaii音楽の研究熱が高じて、スラック・キー・ギター専門のレコードレーベル=Dancing Cat Recordsを自分で立ち上げちゃったんだ!超一流のスラックキープレイヤーの演奏をすべてウインストン氏がProduceして録音するの。演奏家の個性をがっちり捉えつつもレーベル特有の音楽的カラーは共通しているから、Dancing Cat Recordsのアルバムはどれも安心して聴けるんだ。その中でも私がオススメしたいのはこの4枚だよ!
↑“PUNAHELE(プナヘレ)” / Ray Kane(レイ・カーネ)↑
↑“Sonny Solo” / Sonny Chillingworth(サニ・チリングワース)↑
↑“6 & 12 String Slack Key” / Cyril Pahinui(シリヌ・パヒヌイ)↑
↑“Kani Ki Ho’alu(カニ・キ・ホアル)” / Ozzie Kotani(オジー・コタニ)↑
【B】(話の途中からYou Tubeで音源をチェックし始め…)へー!グイグイと押してくるギター音楽を想像してたんですけど、「Slack Key=キーを緩める」の言葉の通りでい~い♡感じにユルくて、聴いているとだんだん血圧が安定してきますねー!
最終章【フラのせんせとオオタサン!?】
【e】最後にオススメしたいのは、どちらも「フラ」の先生のアルバムなんだけど、ここでは「歌手」と「フラ」のどちらが本業なのかは深堀せずに話しを進めるね。まずはサンディー/Sandiiさん(※末尾はiiが正しい表記)。
【B】あれれ!?サンディーさんってもしかして…あのサンディー&ザ・サンセッツの女性ボーカルのひと?旦那さんがミュージシャンの久保田真琴さんですよね?
【e】そうそう!サンディーさんは東京生まれのハワイ育ちで、歌手だけでなくクムフラ(=フラの師範)でもあるんだ。86年に始めたHawaii音楽のアルバム連作プロジェクト=“Sandii’s Hawaii” は現在も続いていて、その中でも特にオススメしたいのが97年作の “Sandii’s Hawaii 2nd(サンディーズ・ハワイ・セカンド)”。冒頭の「アカカの滝/’Akaka Falls」では、オオタサン(=Herbert Ichiro Ohta 名実ともに世界一のウクレレ奏者)が弾くイントロを聴いた途端にHawaiiの大自然の中へ瞬間移動してしまうよ!
“Sandii’s Hawaii 2nd” / Sandii
“Ukulele Bach” / Herb Ohta ウクレレ一本でバッハを奏でた奇跡的なアルバム
【B】そういえば、フラの教室を取材したときに先生が「歌詞を知らない曲は踊れません」って言ってました。ひとつひとつの言葉を身体の動きに置き換えて表現しているから、フラの踊りは歌を唄うのとまったく同じなんですって。
【e】なるほどー!曲のビートに合わせてただ楽しむダンスとは、次元がまったく異なるってことだね。さて、今回の最後にオススメしたいHawaii音楽のアルバムは、井上真紀さんの “Pua ‘Olena(プア・オレナ)”。さっき紹介したオオタサンが編曲・演奏で全面協力して作り上げたアルバムなんだ。真紀さんはJazzグループ「Love Notes」のボーカルとしても活動していたことがあって、彼女もまたフラの先生なんだよ!
まったく個人的な話しだけど、私が今までに聴いたHawaii音楽のアルバムの中で一番再生回数が多いのがこのPua ‘Olenaでね。コレを失くしたら困るなぁ…と思って、同じのをもう一枚買ったほどだよ!
”Pua ‘Olena” / Maki Inoue
【“変”集者あとがき】
今回が5回目の「ボブログ音楽食堂」如何でしたかー!?ハワイ好きのみなさんが自由に行き来できる日が少しでも早く来るといいですよねー。過去の記事も紹介しておきまーす!
Vol.1「心が洗われるような、いい音楽ありませんか?」は→コチラから!
Vol.2「踊るROCKに観るROCK、ちょっぴり大人のAOR」は→コチラから!
Vol.3「アラ40/アラ50のお手本としてアニーとクリッシーを拝むべし!」は→コチラから!
Vol.4「アラ40アラ50にオススメしたい! 69歳の女性ロック・シンガー、クリッシー・ハインドの傑作スタンダード集」は→コチラから!
AUTHOR /easyman
ビートルズが来日した年の生まれ。美容師・介護士の免許と実務経験があり、座右の銘は“髪(かみ)のケアから下(しも)のケアまで”。某美容メーカーの教育部門に19年間勤務し、なぜかプロ音楽家との演奏経験あり。一人しかいないのにナンバーワン営業マンと呼ばれる髪書房の特攻隊長。