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美容師の仕事道具に適した消毒方法まとめ★教授(公衆衛生学研究所)監修★コロナ・その他のウイルス・細菌
金属、布、プラスチックなどなど、いろんな素材の道具を使う美容室。しかも、共有の備品だけでなく、自分でこだわった道具が多いのも美容師さんのお仕事の特徴ですよね。
大事なレザーやハケを消毒でサビさせたり劣化させるのは絶対に嫌だけれど、お客さまの体に触れる道具だから確実に消毒を行いたい……
しかも、新型コロナウイルスは「ウイルス」なので、「細菌」とは有効な方法が違うんです。かといって細菌への対策もやめるわけにはいきません。
適切な消毒方法を、帝京大学大学院公衆衛生学研究所所長の高橋謙造先生に監修していただいてまとめました。
中村宗徳:写真
ウイルスと細菌の違い
細菌は単細胞生物で、栄養源があれば増殖することができる。病気を起こすことがある細菌は大腸菌、結核菌など。
ウイルスは自ら細胞をもたず、ヒトの細胞に入ってコピーをつくり、細胞の破裂によって増殖する。インフルエンザやノロウイルスなど。
【参考】AMR 臨床リファレンスセンター(2018)「細菌とウイルスhttp://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-2.htm(閲覧日:2020年6月18日)
美容室で警戒すべき、ウイルスや細菌による感染症リストは書籍「サロンワークのための衛生管理」にまとめました。
消毒後の器具の管理
消毒液や薬液に浸けた器具は必要に応じて水洗いを行い、水分をしっかりとふき取って乾燥させる。
消毒済み器具と未消毒の器具が混在しないように保管する。
血液付着のあるもの、もしくは疑いのあるもの
まず消毒前に表面の血液、毛や汚れを石けんで洗い流す
次亜塩素酸ナトリウム消毒(つけ置き):クロス類、タオルなど
方法:0.1%次亜塩素酸ナトリウム液の中に10分間浸漬する
注意:殺菌、防臭、漂白の作用がある一方、金属を腐食することがある。
エタノール消毒(つけ置き):レザー、シザースなど
方法:消毒用エタノール(76.9% ~ 81.4%)に10 分間浸漬する
注意:蒸発しやすく引火性がある。またゴムや一部のプラスチックなどを溶かすこともある。
煮沸消毒:レザー、シザースなど
方法:沸騰後2分間以上煮沸する
注意:短時間で安価にできるが、プラスチック製品に関しては変形が起きることがあるので注意が必要。
血液付着の疑いがないもの
まず消毒前に表面の毛、汚れを流水で洗い流す
次亜塩素酸ナトリウム消毒(つけ置き):レザー、シザースなど
方法:0.01~ 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液の中に10 分間浸漬する
筆者注:下限のパーセンテージには文献によってばらつきがあり、0.02%や0.05%とされている場合もあります。少々濃度を上げることによる大きなリスクはありませんので、0.05%にしておくのが間違いないでしょう
注意:最低限のパーセンテージには文献によって0.01からばらつきがあるため、ここでは血液付着がなければ濃度を薄めてもよいが、血液付着の疑いがある場合は0.1%。
エタノール消毒(拭く):レザー、シザーズなど
方法:消毒用エタノール(76.9%~ 81.4%)を浸した脱脂綿やガーゼなどで清拭する
注意:コストは高いが、血液付着の疑いがあればつけ置きを。
煮沸消毒:レザー、シザースなど
方法:沸騰後2分間以上煮沸する
注意:この方法は血液付着有無にかかわらず同じ方法となる。
蒸気消毒(タオル蒸し器などで蒸す):タオル、ガラス、陶器など。肌に触れるものにおすすめ
方法:タオル蒸し器のある理容室では便利な方法。蒸し器の内部が80℃を超えた後、10 分間以上置く
注意:蒸気が十分に行き渡っているか注意!温度もきちんと管理しないと効果がない
紫外線消毒(照射):プラスチックのブラシやコーム・ハケ、ガラス、陶器など
※一部のプラスチックは長時間照射により劣化する場合がある
方法:蒸気や煮沸にむかないプラスチック製品の消毒に適している。紫外線消毒器を使い、85μW/㎠以上で20分以上照射する
注意:陰になる部分には作用しない。なので、プラスチックの中でもひらべったいものには良いが、ダッカールやカーラーといった立体的なアイテムには不向き。
逆性石けん消毒(つけ置き):レザー、シザーズ、プラスチックのブラシやコーム、ダッカール、カーラーなど
ウイルス全般に効果があるわけではないが、新型コロナウイルスには有効性が認められている。
方法:逆性石けんの濃度が0.1 ~0.2% の水溶液に10 分間以上浸漬する
注意:布は逆性石鹸を吸着するので不向き。
両性界面活性消毒(つけ置き):レザー、シザーズ、プラスチックのブラシやコーム、ダッカール、カーラーなど
ウイルス全般に効果があるわけではないが、新型コロナウイルスには有効性が認められている。
方法:両性界面活性剤の濃度が0.1~ 0.2%の水溶液に10 分間以上浸漬する
注意:消毒対象の器具に有機物(汚れ)がある場合、ほとんどの消毒方法において効力は弱まるが、特にその性質が強い
グルコン酸クロルヘキシジン消毒(つけ置き):レザー、シザーズ、プラスチックのブラシやコーム、ダッカール、カーラーなど
方法:グルコン酸クロルヘキシジンの濃度が0.05%以上の水溶液に10 分間以上浸漬する
注意:消毒対象の器機に石けん成分が残っていると殺菌力が弱くなるので注意する。
参考文献
一般財団法人 厚生統計協会(2016)『国民衛生の動向(2016/ 2017年版)』, 一般財団法人 厚生統計協会、公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター(2015)『改定 建築物の環境衛生管理』公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター、環境省(2016)『環境・循環型社会・生物多様性白書』, 環境省編、一般財団法人 日本公衆衛生協会(2005)『感染症予防必携(第2版)』,一般財団法人 日本公衆衛生協会
この記事は月刊BOB2020年8月号「新しいサロン様式」からの引用です。
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