その１秒を、もっと濃く もっと楽しく

みなさん、こんばんは。favorite gardenの齋藤です！　今日は、ボブログTV編集部から投げかけられた質問「これから美容師として生き抜くために、動画撮影と動画編集の技術を持っておいたほうがいいか？」ということについて僕の意見を書いてみたいと思います。ちなみに下の動画は、月に１度サロンでスタッフ向けに開催しているメイクセミナーの際に撮影した動画です。

集客と美容師、集客と動画の関係

僕自身もスチール撮影の延長で、３年ほど前から動画撮影・動画編集をしている。もちろん集客につながればいいなとは思っているが、実際集客だけを考えるなら撮る動画の内容も今のようなものではないし、そもそも動画撮影をしないと思う。なぜなら、今の日本だとInstagramを代表とするSNSに集客方法を集約し、お客さまとつながったほうが効率がよいのは間違いないからだ。

それでも僕が今動画を撮影して編集しているのは、単純に集客だけを考えることがつまらないし、自分が楽しいほうがいいと思うからだ。つまり集客を最重要視せず、自分の楽しさを優先しているということ。集客が重要なのはまぎれもない事実で軽視しているわけではない。

集客を最重要視していない理由はもう１つ。美容室・美容師として当たり前のことをきちんとしていたら、爆発的に売り上げをあげたり、何かで大きな結果を残すことはできなかったとしても、長く安定した方向へ進むことはできると思っている。実際に鳥取でサロンを経営して17年。縁もゆかりもない、顧客もいない広島に出店し、その考え方はさらに強くなった。

誰もが驚くような売り上げを上げるためには、運も商才も必要だと思う。それにはある程度捨てなければいけないものがあると思うし、捨てないと手に入らないものもあるだろう。僕はそんな生き方ばかりが成功だとは思わない。僕もその立場に立てばこちら側が正しいと思うものだとは思うし、正解はないのだが……。

今後の動画制作・動画需要についての予想

今後美容師として動画とどう付き合っていくのがよいかに話を戻す。これからもっと動画制作は簡単になっていくはずだ。今よりもますます親近感のある動画の需要が高まっていくと思う。親近感のある動画の反対は、カッコイイ、オシャレ、完成度が高い動画だと思うのだが、現状親しみやすい動画の方が全体本数も多く、多くの人が観ているだろう。かっこよくてオシャレな動画は、労力やお金がかかる割にリターンが少ない（と個人的に思っている）。

美容師は動画撮影・動画編集の技術を持っておいたほうがいいのか？

「これから美容師として生き抜くために、動画撮影と動画編集の技術も持っておいたほうがいいと思いますか？」という質問に対しての答えは、「うーん、どうでしょうか。そういわれているし、もちろん動画で成功する美容師さんもたくさんいると思いますけど、ほとんどの人は労力や費用に対してのリターンは得られないんじゃないでしょうか」と答える。

リターンを得るためには、美容師よりもユーチューバーとしての動きを優先して取り組むこと、もしくは大きな美容室であれば動画集客担当を何人かつくって順番に担当するか。個人で動画をつくりつづけることは美容師の仕事をしながらは難しいと思う。

今、作品撮りひとつとっても、時間をかける人は圧倒的少数。なので、動画撮影・制作も続ける人、時間をかける人は成功する可能性が高いとは思うが……動画の編集能力があってもその動画がバズるわけではないし、動画撮影技術が高いからといって制作した動画がバズるわけではない。ということが重要だ。売れる、売れないということは、動画編集・撮影技術とは全く関係ないということ。

撮影や編集の技術ではなく、何をどう発信するか？　そしてコンテンツが魅力的であるかどうか、コンテンツ力を磨くことが一番大切だというのが僕が出した結論だ。ここまで言い切っても、時代の流れで「今後は動画の編集技術だって必要じゃないのかな？」と感じることがあると思う。それでも僕は、魅力的なコンテンツをつくれることこそが他の美容師との十分な差別化になっていて、時代に流される必要もないと思う。

もちろん時代は流れて新しいことが当たり前になり、昔の当たり前が非常識になるかもしれない。けれど本質が一番大事なことだと思う。