タカラが省エネ大賞を受賞
タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は、本社「TB-SQUARE osaka」の換気制御と空調運用改善の取り組みが評価され、2021年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を初受賞した。表彰式は令和4年1月26日に東京ビッグサイト(東京都江東区)にて行われる。
今回受賞したのは同社とダイキン工業株式会社(十河政則社長兼CEO、大阪市北区)が協力した施策で、同社のショールーム「TB-SQUARE osaka」における換気最適化と空調運用改善の取り組みが評価され、一般社団法人省エネルギーセンター主催の 2021年度省エネ大賞において、省エネ事例部門「省エネルギーセンター会長賞」の受賞が昨年12月22日に決定した。
これは同社が「来場顧客の快適性」を第一として省エネに取り組んだことや、 ショールーム機能だけでなく教育・体験・イベント開催などの機能を併せ持つ「美の情報発信基地」、また従来のオフィスビルとは異なる吹き抜けに近い構造でエネルギー消費の改善を行った点が評価された。
同取組は、 2016年にオープンした地上6階建ての「TB-SQUARE osaka」の全フロアが顧客対応を目的とした施設である特性上、省エネに取り組みつつも来場者の快適性は担保する必要性があるという課題を解決するため、ダイキン工業の協力を得て実施したもの。
分析を進める中で、 館内イベントの有無で来場者数が大きく変化するにもかかわらず、 換気設備は一律の運用を行っていたため、 空調エネルギーのロスが発生している可能性が判明。 そこで「来客数の変動」に着目し、CO2センサーと連動した換気制御の最適化を実施し、高機能コントローラーによる「空調制御システム」を追加導入することで、エネルギー削減を実現した。
その結果、空調消費電力量は年間で31.6%、 平均使用電力(デマンド)は23.7%の削減[※]に成功。 これにより施設の機能目的を生かしつつ、 来場者への常に快適な空間の提供と省エネの両立が実現した。 [※]対策前2017年度と対策後2019年を比較したもの。
【内容】
ショールームにおける換気最適化と空調運用改善による省エネ
~ダイキン工業株式会社との協創~
(1) CO2センサー導入による最適な換気制御の実現
施設オープン当初より全熱交換器を採用し、 排気時に放出していた空調エネルギーを回収して、 給気してきた空気に戻すことで、 換気による温度変化を抑えてきた。しかし当該施設は、 日によってもフロアによっても来場者数に変動があり、 全館一律の換気では空調エネルギーのロスが発生する。下の 円グラフの通り、 空調負荷のうち約1/3を外気負荷が占めており、 換気による過剰な外気導入を抑えることはエネルギーの削減へと繋がる。そこでCO2センサーを導入し、 人の込み具合を検知。 全熱交換器と連動制御を実施。 空気の清浄度を保ちつつ、 来場者の増減に応じて外気取り入れ量の最適化を実現、 空調負荷の軽減が可能となった。
(2) 高機能コントローラ導入による空調機の運用改善・デマンド制御
高機能コントローラを導入し、 施設内の個々の空調機を一括管理。 ダイキン工業の遠隔監視システムで監視、 運転内容のデータ蓄積・分析を行った。空調機のエネルギー使用量のデータを収集し分析した結果から、 エリアの使用用途に合わせた空調スケジュールを設定することにより、 快適性を保つ範囲で消し忘れや冷やしすぎ・暖めすぎの回避を目指した。 さらに実データに基づいた提案から、 継続した運用改善と空調に携わる従業員の省工数化の両方を実現した。