NEWS

業界

iPS細胞の代謝を活性化

タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は、東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の島田幹男助教らとの共同研究を行い、α‐グルコシルルチン(αG ルチン)がヒトiPS細胞の代謝を活性化することを明らかにした。

【研究の要点】
■ αG ルチン(天然化合物ルチンの水溶性を高めた化合物)の作用を線維芽細胞、iPS 細胞、iPS 細胞由来表皮角化細胞で比較
■ iPS 細胞ではαG ルチン処理により細胞内代謝が一時的に活性化することを発見
■ iPS 細胞由来表皮角化細胞ではαG ルチン処理によりヒートショックプロテインが増加傾向であることを確認

 

【研究の概要】
αG ルチンは、天然フラボノイド(1)であるルチンの誘導体であり、ルチンよりも水溶性が高い特性を持っている。そのため食品や化粧品の抗酸化剤、着色剤として使われてきたが、幹細胞に対する作用はこれまで明らかにされていなかった。そこで同社の化粧品研究開発部:三宅智子研究員、東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の島田幹男助教らの研究グループは、ヒトiPS細胞から表皮角化細胞(2)を作製し、線維芽細胞(3)、iPS細胞、iPS細胞由来表皮角化細胞にαGルチンを作用させた時の遺伝子発現変化を、次世代シークエンサー(4)により網羅的に解析。その結果iPS 細胞では、αG ルチン処理によって最初期遺伝子(5)(immediate early gene; IEG)応答が起こり、細胞内代謝が一時的に増加することを発見した。

また表皮角化細胞では、ヒートショックプロテイン(6)の発現が増加しているという変化も確認(図1)。さらにiPS 細胞の多能性(7)にαG ルチンが及ぼす影響を調べたところ、多能性マーカー(8)の発現は低下せず、多能性が維持されていることもわかった。(図2)。なお本研究は、幹細胞に対するαGルチンの作用機序を初めて明らかにした。

【図1】αG ルチンにより、iPS細胞では細胞内代謝が一時的に活性化し、表皮角化細胞ではヒートショックプロテイン(HSPs)が増加傾向だった。

 

 

【図2】 αG ルチンを含む培地でiPS 細胞を24 時間培養後も多能性マーカーであるOCT4(緑)、SSEA4(赤)が発現しており、多能性が維持されている。

 

 

         この記事が気に入ったらいいね!しよう
Facebook Twitter Line

PICK UP BLOG

\ ボブログTV 公式SNSで最新情報をゲット! /