ヘアとメイクの影響力を解明
タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は、 大阪大学大学院/人間科学研究科の森川和則教授と行った研究「ヘアセットとメイクアップが魅力度と清潔感に与える影響」について発表した。
この研究では、ヘアセットとメイクアップには魅力度や清潔感を高める力があり、特にヘアセットは清潔感を高める効果が強く、 髪もメイクと同様に印象を変える力が大きいことを明らかにした。 今回の研究発表は、 第26回 日本顔学会大会 フォーラム顔学2021(9月18日~19日、オンライン開催)にて発表された。
【要点】
■ヘアセット・メイクアップのどちらも魅力度、 清潔感を高める力があり、 特にヘアセットは清潔感を高める効果が強いことが明らかとなった。
■髪もメイクと同様に印象を変える力が大きいことが示唆された。
【研究成果】
ヘアセットとメイクアップそれぞれが印象に与える影響を比較するため、「分散分析」によって影響力そのものは大きいかを調べた。 分析の結果から「魅力的」「清潔感」いずれの評定語においても、 ヘアセットとメイクアップ「なし」の条件よりも、 『あり』の方が評価点が高くなり、 ヘアセットとメイクアップが評定値に有意な影響を与えることを示した。 またヘアセットとメイクアップそれぞれが与える影響力にどれだけの差があるかを調べるため「重回帰分析」を行った結果、魅力度に与える影響はヘアセットもメイクアップも同等だが、 清潔感に関してはヘアセットの方が約2倍与える影響が強いと考えられる。
【研究の背景】
ヘアデザインやメイクアップは自身の外観を大きく変える手段であり、 髪の魅力が顔の魅力評価に及ぼす影響や、 メイクが魅力と認識に及ぼす影響の調査など多くの研究がなされている。 生活者を対象に行った印象に関わる事前アンケートでは、 印象を変えるためには髪よりメイクの方が重要と考えていることが明らかになった。 そこで同社のこれまでの印象学研究※から、 髪もメイクと同様に印象を大きく変える力があるとの考えのもと、 ヘアセットが人の魅力度および清潔感に与える影響をメイクアップと比較調査した。
※参考:同社の2018年2月ニュースリリース “髪の「艶」から受ける「印象」の心理学的要因分析”
☞ https://www.takarabelmont.co.jp/column/gloss-impression/
【研究概要】
本研究では髪もメイクと同じくらい印象を変える力があるかどうかを調査するため、 ヘアセットによる印象変化とメイクアップによる印象変化の度合いをできる限り公平な条件で比べた。 ※刺激画像作成
30歳から49歳までのヘアセットおよびメイクに対して意識の高い女性28名をモデルとして、 4種類の写真(ヘアセット有無2種×メイクアップ有無2種)を、 可能な限り撮影条件を統一してモデル自身で撮影した。
【実験参加者および評定方法】
30歳から49歳までのヘアセットおよびメイクに対して意識の高い女性100名を実験参加者として、 刺激画像と評定語を同一画面上に提示し、 刺激画像に対して「魅力的」と「清潔感」がどの程度あてはまるかを「当てはまらない(0点)」~「よく当てはまる(10点)」の11段階で評価した。
【まとめ】
人の印象は、 様々な要因により形成されるが、 今回の研究結果からヘアセットが魅力度や清潔感という印象に与える影響について明らかになった。 今なお続くコロナ禍により、 人とのコミュニケーションは、 マスクで顔の大部分が隠れる状態が今後も続くと想定され、 また、 人との対面がオンラインにシフトしていく中で、 髪が人に与える“印象”はより重要な指標になってくると考えられる。 今後は、 髪がもたらす印象をさらに研究することで、 人々のコミュニケーションにおける課題解決とそれに合わせた製品開発への応用を目指す。