髪の未来予測が美容を変える
60年前から髪と頭皮の研究に取り組む㈱ミルボン(佐藤龍二社長)では、10月12日にTRUNK HOTEL SHOTO GALLERYにて事業説明会を開催した。
説明会は、コロナ禍でオンラインによるイベントが主流となる中、あえて万全の対策を施した会場にジャーナル各社を招いて開催した。同時にオンラインでも配信された。
冒頭に佐藤社長は、「美容室向けヘアケア・化粧品市場」でミルボンが占める売上高が362億円であることを発表(※国内304億円/海外58億円 2019年12月期末)。新型コロナウイルス感染症による影響を鑑み、今後の美容室へのサポート体制は「リアルとデジタルの両立化」「美容師1人ひとりの働き方に合わせて学べるコンテンツの充実」を推進すると述べた。
その取り組みのひとつ、美容室出展型ECプラットフォーム事業「milbon:iD」は、2019年9月にスタートした同社のデジタル化の施策。
開始3カ月で登録件数が1,000軒を突破。この数字は今年になっても増え続けており、訪れる顧客と美容室の絆が強固になっている証と考察した。
また、「美容室=個々のお客さまへの個別対応」すなわち パーソナル対応を支えるための研究開発費を年々強化しており、昨年度は15億3400万円を計上。
2016年には70数名だった研究開発員も今年度は95名に増員した。中でも毛髪研究の分野では大学などの研究機関よりも充実しており、国内屈指の規模を誇る。2021年には北米研究分室を稼働し、中国研究所・タイ研究所の開設も予定している。
続いて登壇した開発本部/基礎研究グループの永見恵子氏は、IFSCC=国際化粧品技術者会連盟での発表テーマ「髪の未来予測」について発表。
「近い将来、髪と頭皮の変化についてAIが自動予測する技術」の運用を始めたと明かした。
さらに同社は2019年3月から、ITアクセス社の「Smart Skin Care(スマートスキンケア/登録商標)」を全国110軒の美容室で運用し、2020年3月までに18,318名の髪と頭皮のデータを集積している。
これらを解析研究し「地域ごとの毛髪特徴」を分類したところ、白髪・抜け毛のリスクは西日本よりも東日本が高く、髪が細くなるリスクは都市よりも地方が高い解析結果になった。このスマートスキンケアの運用は、同社の掲げる美容室と顧客の絆の強化「デジタル×パーソナライズ」の加速に大きく寄与すると期待される。
発表会の締め には、世代・トレンド評論家/マーケティングライターの牛窪恵氏が登壇。ミルボン社開発研究グループ統轄マネージャーの伊藤廉氏と佐藤社長の三氏によるパネルディスカッションが行われた。