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美容室こだわりインテリア探訪①自由が丘「kal」抜け感のある、大人で都会的なインド感
アジアのゲストハウスのようなチル感、でも瀟洒で、大人っぽい
美しいアールを描く青いフレームの大きな鏡。その脇を固める童話のようなドア。この愛おしい大胆さ!
これをインスタで見かけて、瞬時に取材の依頼を送ったのが自由が丘のkalさん。
とにかくこの鏡が見たい。というだけでご連絡してしまったのだけれど、伺ってみたら隅々まで届いたこだわりがなんとも言えないやすらぎを与えてくれる空間で、ここで切ってもらうお客さまって、なんだかイイナア、羨ましいなア……と思ったのだった。
取材を快く受け入れてくださったのがオーナーのお二人。(左:川村一浩さん 右:岡本優花さん)取材を依頼したのは、偶然というか必然というか、オープン直後だった。
(記事が遅れてしまったため、現在はオープンから3か月。スミマセン!)
東京都目黒区、東急東横線の自由が丘はその名の通り起伏のある地形だ。駅の周りには落ち着いた商店街が広がるが、坂を上がればすぐに高級住宅地。
以前の持ち主は写真家だったという上品な造作の一軒家。薄紫のカーポートの下にkalの旗を見つけることができる。
サロンの先輩後輩として出会ったお二人。それぞれの場所でお客さまを切りながら物件を探し、この自由が丘の住宅街の中の一軒家を見つけたそう。最初から住居兼サロンを探していたわけではないが、物件とのめぐり逢いがあり、またコロナ禍の中で、よりお客さまに寄り添い、風通しのいい働き方を求めてこの形に落ち着いた。
「子育てしながらの働き方を模索していました。鎌倉なんかも検討したのですが、お互い都内のサロンに勤務していたので既存のお客さまに還元するために都内回帰の方針に。住宅地だけれど駅からの距離も近く、お客さまの負担にならない場所に出会えました」
ここで合ってるのかな……? と思いながら家をのぞく、ちょっとわくわくする瞬間。
芝生にレンガの道が通っているだけで心が弾んでしまうのは狭い東京都だからだろうか?
百日紅の薄ピンク、ベンチのブルー・ワイン・モスグリーンと、洒脱な色彩感覚が、ここはお客を迎える空間なのだと静かに主張している。
そして、早速出迎えてくれる大胆な鏡!
立てかけられたホウキすら必要なピースに思えてくる、ちょっと雑然としているようでいて絶妙なバランスで保たれたムード。
ピースのひとつひとつに妥協なくこだわりが行き届いているのだけれど、この空間を保っているのはなんといっても鏡の隣のドアの向こうが裏庭まで吹き抜けなこと。
裏は本来プライベート空間だが、ここをカーテンで塞ぐとサロンが一気に暗くなる。
「インドや東南アジアのゲストハウスのような、気取らない雰囲気を出したくて。風や光の通り道があることが大事なんですよね」
インドやアジアのテイストはともすれば民俗的になり過ぎるけれど、kalさんはマルジェラでもジルサンダーでも馴染みそうな瀟洒でハイカルチャーなテイストにまとまっているのが特徴的。好きなものを集めて詰め込んだような店内が、こんなにキレイにまとまっているのはナゼだろう?
それにしても、全部カワイイ。いったい何から聞いたらいいのやら。とあたりを見渡していると、お客さまにサービスしているチャイとクッキーをすすめていただいた。
チャイのワークショップなども行う岡本さんのご兄弟が提供するチャイとクッキー。クッキーにはスパイスを使い、粉も現地で使われているタイプ。お冷はカルダモン水で、空き皿はマスクトレイという気づかいも。
「うまー!」と思わず声をあげるとお二人が笑ってくれる。うーん、仕事と思えぬチル感だ。
インド、ネパール、ヨルダン、大阪、神戸、千歳烏山。足で稼いで集めた宝物たち
kalに詰め込まれた、きらきら光る宝物たちを紹介していきたい。
インドやネパール、ヨルダン……オーナーのお二人が好きな国々の文化をミックスし、さらにヴィンテージショップやリサイクルショップなどでコツコツ集めた雑貨屋やインテリア。さらに縁のある人の作品も取り入れている。
名前や値段に頼るのではない、本当に好きなものを集めた店内は、人柄が反映されていて好感を抱かずにいられない。
美容室の顔である鏡も個性が光る
セット面は大きな壁の鏡の前に椅子を置くほかに姿見を利用した1面。
アクリルのフレームの姿見はリサイクルショップで出会った。スペースエイジ・ミッドセンチュリーな雰囲気だが、kalに佇むとまた違った味わいを見せてくれる。
さりげなく立てかけられたレトロな柄入りの鏡。ワゴンなどの奥に隠れているのがまた素敵な配置。
この場所は階段の下をぶち抜いたスペースだ。本来は壁材に隠れていた柱。大工さんが書いただろう符丁も、kalの気取らない空気を彩っている。
アジアン強めの受付周りもソ~キュ~~ト
店内では比較的アジアが強めな受付けのマスターピースは、カウンター代わりにした大きなキャビネット。
ひとつひとつの小物が可愛くて、お会計で長居してしまいそう。
庭を臨むシャンプーブース
庭からの優しい光が差し込むシャンプーブース。窓の向こうは芝生が広がる。筆者も美容業界誌編集者として色んなサロンに伺ってきたけれど、都内で最強にチルいのはここのシャンプー台だと断言していい。
奥には各地で集めた小物たちが並ぶ飾り棚。大きな鏡もそうだけれど、大胆な曲線の使い方がkalさんらしい垢抜けるポイントなのだなと思う。左下で黄緑に光っているパンダの置物によるチャーミングな外しも効いている。
ブースの奥ではカラー剤たちとともにダビデとサイババがお客さまを見守っている。このサイババパッケージのお香はお客さまに必ずツッコまれる人気スポット。
なんだかカラー剤のパッケージと馴染んでいるのも「いとおかし」な感じ。
みんなのバイブスで作ったチルな空間。
チャイサービスのご兄弟をはじめ、お客さまやご友人つながりのアーティストにも協力を仰いだというkalの内装。
友人アーティストの作品に彩られ
天井画は友人の画家の作品だ。ちなみにランプシェードはインドのもので、動物の内臓を膨らませたものらしい。
kalのロゴなどのデザインも友人の作。まだ掛ける場所が決まらず立てかけてあるのが逆にすてきな金属の看板もつくってもらったものだ。
ちなみにドアもヴィンテージもので、ドアに詳しすぎるすてきな古物商から買い求めたそう。うーん、この、一つ一つにちゃんとエピソードがある感じが楽しい。
お客さまや家族を巻き込んで手作り!
そんなエピソードの極めつけが壁。
インスタで手伝ってくださるお客さまを募集してみんなで手塗りしたそう!
当時の様子がこちら。
「二人のサロンですが、あまり小ぢんまり、内向きにならず、アウトプットを重視していきたいと考えていて。お客さまを巻き込むような取り組みをしていけたらいいなと思っているんです」
さらに、庭も完全な手作りだ。ご両親を含めた家族を中心に、ほぼ一から作り直すような形で施工。
ついでなので店内のビフォーもご紹介。
こうして見ると普通に民家。ドアとドアの間に半円をハメよう!と思いついて実行しちゃったのがほんとにすごい……!
エスニックを垢抜けさせる方法とは
まさしく90~00年代の日本の住宅……という感じが逆に新鮮な出窓には、懐かしのキネティックアートも取り入れたレトロな雑貨が並ぶ。
ひとつひとつは思いっきりオリエンタルレトロなものも多いけれど、全体としては垢抜けているkalの雰囲気。高級なヴィンテージショップで買っているというわけでもないし、どこでこの雰囲気を保っているのだろう?
「やっぱり、まず掃除ですね! 埃を溜めないことが何より大事です。床や壁も含め、色合いは明るくして、全体として泥っぽい雰囲気を遠ざけています。それから、アクリルやガラスの素材感を取り入れて抜け感をつくることを意識しています」
「床は特にこだわりました。塩ビにしてコストカットするかとても迷ったんですが、チープにしないことを優先してタイルにしたんです。あとはバイブスで好きなものを詰め込みました!」
お話している印象はニコニコ人懐っこく優しいお二人だけれど、つくりたいもののビジョンがはっきりしていて妥協がない。二人のパズルのピースがばっちり合っているのもこの空間を保つコツなんだろうなあと感じる。
「岡本は足し算で攻めていくタイプ。それを川村がバランス取ってく感じですね」
この夏、庭ではナスを育てていた川村さん。なんか、その感じもイイなー。
オーナーのお二人と話しながら、「狭いながらも楽しい我が家」という言葉を思い出していた。1920年代の歌で、「私にとっては小さな我が家が青空なのだ」という歌の一節だ。
コンパクトな空間に、ひとつひとつ二人の手で探し出してきた大小のモノが詰め込まれ、それでいて広くて解放感を感じる。無造作なようでキチンと、行き届いている。
kalさんは、わが家が青空、そんなサロンだなあ、そしてやっぱり、そんな場所に通うお客さまは、なんだかイイナア~。と思った。
☎kal おすすめショップ&others☎
インテリア
英国アンティークドア専門ショップ「レアント東京」
https://instagram.com/reant.tokyo
リサイクルギャラリーNEWS世田谷店
https://instagram.com/setagaya_recycl
sein
協力アーティスト(敬称略)
岡本裕樹(チャイサービス)
https://instagram.com/okamo1212
MAKO(天井画、外のフラッグ下の矢印標識)
https://instagram.com/mako.sugimoto
マイ(ロゴデザイン)
https://instagram.com/my___116
プロフィール&お客さまスタイル
左:川村一浩[kal(カル)/東京・自由が丘]
かわむらかずひろ/1987年生まれ。埼玉県出身。住田美容専門学校卒業後、都内3店舗を経てkalをオープン。現在、スタイリスト歴7年。
https://www.instagram.com/kazuhiro__kawamura/
右:岡本優花[同上]
おかもとゆうか/1991年生まれ。神奈川県出身。日本美容専門学校卒業後、都内1店舗、フリーランスを経てkalをオープン。現在、スタイリスト歴5年。
https://www.instagram.com/kal_okamo/
※予約や問い合わせはサロンのインスタへ
https://www.instagram.com/kal_hair_salon/
🌷kalのお客さまスタイル紹介🌷
気取らない、飾らない、でも垢抜けるスタイルたちはまさにkalの雰囲気とマッチ。ミドルトーンの色使いも抜群のニュアンス感!ワンちゃんを含めた家族連れのお客さまも。それにしてもお庭があるっていいですね。