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失敗ヘアスタイル提案の原因は「語彙力」だった!常連客を増やすキーワードカウンセリングのススメ

人口減少や少子高齢化の影響で、美容室も大量集客によって売り上げや利益を確保するのが難しい時代。さらにコロナ禍の影響で、行ったことのない美容院へ割引クーポンを目当てに回遊する流動客層の割合が減少し、行きつけを決めたいというニーズが高まっていると言います。

美容室側としても固定客やファン客をしっかり掴み、1人でも失客を減らしたいところ。

そこで今回は小社刊のカウンセリング理論本『なぜか失客しないヘアスタイルの決め方』より、東京・神奈川などに14店舗を展開する美容室M.SLASH[エムスラッシュ]のカウンセリングシステムを紹介します。

それは、キーワードカウンセリング。髪型を“言葉(形容詞)“で細かく表現仕分け、顧客が髪型のオーダーで求める気分の微差に的確に到達し、「なんとなく満足」ではなく「これを求めていた!」という100点提案を叶えるための理論です。

200名以上のスタッフを有する同社が、属人的なスキルになりがちなヘアスタイル提案の精度アップのために作り出した仕組みなので、カウンセリングが苦手な美容師さんや、センスや感覚頼りで提案している美容師さんにおすすめしたい内容になっています!

なぜ髪型の提案に“語彙“が必要? すべての失客タイプに必要な4つの理由

ケイヨウシ…私ニハ ムズカシイ……

という声が聞こえてきそうですが、ちょっと待ってください。ヘアデザインを頑張る美容師さんほど文章とか言葉での表現力に苦手意識があることは、重々承知しています。カッコいい系もフェミニンも、オシャレも、なんでも「カワイイ」って言いますよね。ただ、私も何かあるとすぐ「尊い」で片付ける系の人なので、その気持ちわかる。

ですが、1人も失客を防ぎたい今、お客さまがオーダーする髪型に80点の提案では足りないのです。毎回確実に100点でおかえしするための理論、それがM.SLASHのキーワードカウンセリング理論なのです!!!

まず、失客原因4タイプを例に取りカウンセリングに「髪型を表す語彙力」がなぜ必要かを説明していきます。

1「写真見せたのに違う感じにされた、下手じゃん」イメージ共有失敗失客を防ぐ!

カウンセリングに語彙力不要論を唱える美容師さんの多くは、「ヘアカタやインスタで要望された髪型に仕上げているから大丈夫」という意見だと思います。

しかし、同じ写真を見ても、髪型のプロである美容師さんと素人であるお客さまの間では、こんなギャップが生まれているんです。

・美容師 フォルムや質感、ヘアカラーの色味を見ている

・お客さま モデルや写真のムードを見ている

「髪型をオーダーしているのに髪以外の話してるの⁉︎」と思うかもしれませんが、結構女子ってそういうとこある。よく、メンズ客はヘアカタログオーダーが多いといいますが、女性は個人差はあれど細かい長さやフォルムバランスより「なんか可愛いからこうなりたい」でオーダーする傾向が強くあるようです。

ですので、写真を見せられてオーダーした場合でも、言葉による補足でイメージのすり合わせは必須というわけです。

2「切りすぎ!」「全然物足りない」噛み合わない失客を防ぐ!

編集の周りの一般女性からもよく聞く失客理由がコレ。

「短くしてくださいって言ってるのにいつも短くしてくれないんだよね」

「毛先5cm程度って言ったのにめっちゃ短くなった!」

美容師さんからすると「5cm切ってください」というオーダーをされて、ちゃんと5cm切ったのに短すぎるなんて言われるのは理不尽だと思うでしょう。

ですが、美容師さんは日頃コームなどで5cmはこれくらいと正確に把握しているかもしれませんが、一般女性の「5cmで」なんてハッキリ言って雰囲気です。つまり

カウンセリングでは美容師にとってのモノサシを捨て、お客1人ひとりのモノサシに合わせてニーズを聞いてあげることが必要。そのためにも、髪型のオーダーを言葉で紐解いていく語彙力は非常に重要になります。

3「正論だけどそんな言い方なくない?」失言失客を防ぐ!

これも究極のあるあるだと思うんですが、語彙力がないとこんな恐ろしいことが起こります。

Case1

ちょっと老けて見られるのが悩みなんですよ〜
このくらいの前髪にすると老けた感じじゃなくなりますよ!
(自分で言ったとはいえ、人に言われると腹たつな…💢)

あとは、こんなケース。

Case2

なんだか野暮ったいのはわかるんですけど、どうしたらいいのかわからなくて
前髪に動きがないと顔が長いのが強調されてバランスが悪いんですよね、だからここを…
(サラッと顔長いって言った?ムカつく…)

こんな恐ろしい修羅場を回避するためにも、お客さまの悩みやコンプレックスをポジティブな褒め言葉に即座に変換する脳トレが必要。

キーワードカウンセリングでは、これを「ネガポジ変換チャート」を用いてしっかり整理する練習もします。

4「センスはいいのかもしれないけど合わなかったな」価値観の不一致失客を防ぐ!

ここまでの3つで大体の「本当にあった怖い失客」は回避できそう。4つ目は、安定して100点をキメるために必要な理由です。

例えば、こんなオーダーがあったとします。

老けて見られるのが悩みだけど、子供っぽくイタくなるのは嫌

この場合、一般女性であるお客さまが思う「イタい(奇抜)」と、美容師が思う奇抜は天と地ほど離れていることが多いように思います。ここもお客さまの価値観に合わせることが大切。具体的にはこのように、チャートでの髪型をイメージし、お客さまの髪で形を作りながら(後の章で説明しますね)

このくらいだと可愛いすぎますか?
このくらいの前髪だと動きも出て爽やかな印象になります

という具合にお客さまのモノサシ上で話をすることができるようになります。

印象の“微差“を整理した7段階の髪型チャート

4タイプすべての失客を防ぐには、お客さまのモノサシ上で繊細に会話する語彙力が必要ということは理解してもらえたかと思います。

そこで、M.SLASHが開発したのが、髪型と髪型を形容するキーワードを7段階に整理したチャート。同社のカウンセリング教育やセミナーでは、ロング・ボブ・ショート3種類のレングス×7段階の髪型チャート「DESIGN7」を切り分けられるようになるところから始めます。

これはどういうものかというと、左側のスタイルがショートバングかつ軽い質感のアクティブな印象のスタイルになっており↓

右に行くに従って前髪が長く、髪全体の動きのない重めなスタイルとなっているチャートなのですが↓

黄色くマーキングしているように、それぞれ印象を表す形容詞(キーワード)が設定されています。このキーワードは「大人っぽい←→かわいい」といった印象を、前髪の長さや質感を少しずつ変えながら小刻みに7段階、印象の微差を丁寧に言語化したものになります。

チャートを使ったキーワードカウンセリング3つのステップ

最後に、チャートを使ったキーワードカウンセリングでのやり方を簡単に説明します。前の章でも少し触れましたが、実際に「DESIGN7」のチャートを見せながら…というわけではなく、チャートの髪型とキーワードを頭に入れた上でお客さまの髪で形を再現しながら微調整していきます。

1 現状の悩みの把握=チャート上で現在地確認

お客さまの現在の状態はチャートでいうとどの髪型に当てはまるか、その現状に対してお客さまはどこに不満や悩みを持っているか聞き出します。

美容師の頭の中

現在の状態▶︎ Long1 大人っぽい/クールな/落ち着いた

今のクールな雰囲気も素敵ですが、変えたいところはありますか?
そうなんです、ちょっと冷たく見られるのが悩みで…
承知しました。少し親しみやすい雰囲気にイメチェンしていきましょう

2 イメチェンの幅をすり合わせ=過去のスタイル履歴を聞く

お客さまのOK/NGラインを見極めるために、過去のヘアスタイル履歴を聞きます。

美容師の頭の中

❶前髪を短くすることに抵抗がある場合はレングスで柔らかさを出すBob2くらいまで切れないか交渉

❷全体の長さを短くすることに抵抗がある場合は前髪を大胆にLong5くらいまで切れないか交渉!

ここ2〜3年くらいは、ずっと今くらいのロングですか?
そうなんです、結べる長さが良くって
なるほど、では長さは急に変えないほうがいいと思うので前髪で印象チェンジしていきたいのですが、いかがですか?

3 完成イメージの調整=言葉と視覚でゴールを可視化

という上記の会話を踏まえて、初めて髪を触らせてもらいます。

このくらいは可愛すぎますか?
うん、ちょっと甘すぎるかな
ではこれくらいは? 今よりちょっと爽やかな印象になりますよ

実際に仕上がりイメージを目と頭で理解するので、仕上がった時の「思ったのと違う」を回避でき、限りなく100点に近づけることができるのです。

大人対応、メニュー比率アップのためにも100点を目指そう!

リピート率アップ、常連客増がマストな時代、提案上手な美容師さんはここまでやっています!

「いつも来ていたあの人が最近来ない…」というお客さまを1人でも減らし、ファン客でサロンをいっぱいにするためにも、お客さまのオーダーに100点満点で応えるサロンワークを目指していきましょう!

この理論をマスターしたい人はこちら!

『なぜか失客しないヘアスタイルの決め方』M.SLASH著 定価4,180円(税抜価格3,800円)

116ページ/A4変形判(225×293mm)

https://kamishobo.shop-pro.jp/?pid=112753193

ななしま

AUTHOR /ななしま

月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。

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