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失敗が怖い?カラーができない?パーマを諦めるのは一番簡単なパーマ理論を知ってからでも遅くない!
10〜20代の若年層にとどまらず、30代以上の白髪染めを始める世代まで幅広くデザインカラーブームの昨今。ハイライトやインナーカラー、ブリーチオンカラーなど、髪色を楽しむバリエーションはこの数年で格段に広がりました。
その影響もあり、若年層をターゲットにデザインカラーに特化した美容室の中には、メニューから「パーマ」をなくすお店も出てきたほど! メニューからなくすまでは行かずとも、スタイリストデビューのためのカリキュラムから省いたor短縮したという声が全国の美容室からちらほら聞こえてきます。
その一方で、一部のパーマが得意な美容室からは「他店で断られた」「他店で失敗した」という理由で、もともと高いパーマ比率がさらに上がっているという声も!
“できない“人が増えていると言うことは、できれば人気が集まるブルーオーシャンということ……?
今回は、どうしてパーマが失敗しやすい&難しいと思われるのか、そしてどうやったら簡単にマスターし、失敗しないパーマ提案ができるのかを解説していきます★
パーマって失敗しやすい? どうして苦手な美容師が増えたの?
❶ 髪の状態と薬剤(化学反応)の見極めが難しい
パーマの2大失敗原因は「次の日に取れてしまった」&「強すぎてチリチリ」が挙げられると思います。
パーマが毛髪を曲げる仕組みは、毛髪内部の“シスチン結合“と“水素結合“を一旦切断し、ロッドで巻き付けた状態で再結合させる化学反応を用います。
この切断するプロセス(還元反応)のときに作用させすぎてしまうと毛髪内部組織の壊してはいけないところまでが壊れてダメージしたり、逆に切断が足りないと全然カールがつかなかったりしてしまいます。また、再結合させるプロセスでも、切断の時に使った薬の水洗が足りなかった、放置タイムが短すぎたor長すぎて頭皮にダメージが……と言った、薬剤の扱いの難しさに高いハードルがあるのです。
でも、昔は美容院のことを「パーマ屋さん」といっていたくらいで、もともと美容師さんはパーマが得意だったんじゃないの?と思う人もいるかもしれません。
実は、その当時の女性たちと現代の女性たちが求めるパーマの仕上がりが全く違うので、だんだんパーマが苦手になってきたということが言えます。
「パーマ屋さん」と言われていた時代(1970〜80年くらいまで)のパーマといえば、全頭を大きなロッドで巻いてモリモリのカールを作ったのち、それをブローで引っ張って形成するというのが主流でした。昔の女性は、毎朝ブローしてセットするのが当たり前だったんです!
それが、90年代以降、“バブルファッション“の象徴・ソバージュヘアなど、ブローを伴わないダウンスタイルが流行するようになりました。2000年代になると家庭用ヘアアイロンが手ごろになり、巻き髪が全盛期に。
美容室が「パーマ屋さん」だった頃のパーマはとにかく全頭にしっかりカールがかかってボリュームが出ればよく、形はあとで整える技術だったのに対し、今求められるパーマは「狙ったところに欲しいだけのカールを薬剤反応を使って一発で作る」という難しい技術になってしまったのでした。
❷ 巻きたいところにカールが作れるアイロンの方が簡単
2000年代に一般家庭でもヘアアイロンを持つようになって、自分で髪を巻くことができる女性が増えました。
一般の方が少し練習すれば使えるだけあって、ヘアアイロンは「曲げたいところ」に直接作用してカールやウエーブを作れるので、感覚やセンスさえ掴めれば簡単にカール感のあるヘアデザインを作ることができます。
その一方パーマは、ロッドの巻き方や使う薬剤によって「ロッドの太さ=カールのリッジ」というわけにもいかず、酸化還元反応(結合の切断と再結合)が終わって乾かしてみないとどうなっているかわからないところもあり、だんだんと提案に抵抗が出てきて苦手な人が増えていったのかなと思います。
事実、メンズ美容市場のパーマは今伸び盛りなんです。Google検索などで「パーマ」と打ち込むと、予測変換の2位に「メンズ」と出てくるほど。
メンズのお客さまにパーマが人気な理由は「社会人はカラーをしている人が少ない(ブリーチ部がない人が多い)」「簡単にボリューム感が出る」ということだと思いますが、美容師さん側もメンズのパーマならレングス(長さ)が短い分、どうなるかがイメージしやすいから提案しやすいのかな?と思っています。さらに、韓国から入ってきたプリカールなど、根元だけに薬剤を作用させる「根元パーマ」は注目されています。レイヤーをたっぷり入れた上での根元パーマ、とっても可愛いんですが……人の髪は1カ月に1〜1.5cm伸びると言われています。立ち上げた根元部分は1カ月経つとハチの位置にきてしまい、頭が大きく見えてしまうことに。頻繁に美容室に行ってヘアチェンジを楽しむ人以外には少しハードルが高いかもしれません。やっぱり、全頭にパーマをかけた方が断然もちがいいんですよね。
ということは、仕上がりがイメージしやすい簡単な理論で、アイロンで巻いたようなふんわり巻き髪に仕上がるパーマメソッドを体得すれば…… パーマで失敗したくない女性の駆け込み寺になれるんじゃないの?というわけです……!
「巻いた通りにカールを作る」出す理論が分かれば思い通り
巻いた通りにカールを作れ、かつ簡単に習得できるパーマ理論を習得すれば、周りにできる人が少ない今「パーマで売れる」ことが叶うはず。
そこで、東京・表参道に店舗を構え、店舗全体の顧客8割以上がパーマ客だというMAGNOLiA[マグノリア]の代表MARBOH氏の理論を紹介します!
アイロンで巻いたようなパーマから、直毛に扱いやすさをプラスするニュアンスパーマなど、幅広い質感とテイストを得意とするMAGNOLiA。同店ではMARBOHさん本人だけでなく、全スタッフがパーマ提案を得意としています。
パーマを提案するのが当たり前な風土のMAGNOLiAは、いったいどんな高度なトレーニングを行っているの⁉︎とリサーチしてみると、実はその逆で、とってもシンプルなベーシック理論でした。
❶「巻いた通りにカールが出る」放置時間を設定する
同店では1剤をシステアミン系、2剤にブロム酸系の薬剤を使っていますが、MARBOHさんの理論では「各店で使用している薬剤に応じて放置タイムの基準を作ればOK」とのこと。
パーマの種類は1剤が医薬品の「チオグリコール酸」、「システイン」、化粧品分類の「システアミン」、「ラクトンチオール」、「チオグリセリン」、「GMT」など、1剤だけでも様々な種類があります。システアミンは高分子で浸透が早く、低pHで作用するのでダメージも少ないので、今パーマが得意なヘアサロンでよく使われている1剤ですが、人によってはアレルギーで使えないケースもあります。
各店のニーズやコンセプトに応じて選定している薬剤があると思いますので、その薬で「巻きたいところに巻いた通りカールができる基準タイム」を設定してみましょう! これだけでかなりパーマが簡単になると思います。
「ブリーチ履歴のある部分」に対する基準タイムを設けるのもいいかもしれませんね。酸性領域で作用する1剤など、薬剤も格段に進歩していてブリーチ毛でもパーマがかけることも可能。それをウリすれば、ぜひやってほしい!という女性はたくさんいそうです。
❶ 巻き方は2種類×2種類を組みわせるだけでOK!
ヘアアイロンで巻いたような質感で仕上げるために必要な巻き方の種類はたったこれだけしかありません!
スライスによる種類
・平巻き 弾力のある強いカールができる
・縦巻き ふんわりとしたゆるいカールに仕上がる
巻き始めによる種類
・毛先巻き 毛先に強いカールがつく、まとまりが出る
・中間巻き 毛先より中間に強いカールがつくので無造作に仕上がる
目指すシルエットや質感に応じて洋服をコーディネートするように組み合わせられるので、とても簡単です。
「巻いた通りにカールが出る基準タイム」を作り、「2種類×2種類」の巻き方を覚えて組み合わせるだけ! 簡単ですよね。MARBOHさんによると、この巻き方を肩上・肩下のレングス別に組み合わせ、たった8種類の基本スタイルをマスターすれば今求められる質感のパーマスタイルを提案できると言います。
その8スタイルの詳しいレシピは、MARBOHさんの書籍『やさしいパーマ新BASIC』(髪書房刊)にまとめていますので、失敗しないパーマ提案を習得したい方、パーマを武器に集客したい人はぜひ参考にしてみてください!
ヘアアイロンで巻いたようなふんわりカールや、生まれつきのくせ毛のようなニュアンスカールが思いのままに作れるようになれば、パーマが苦手な人が多い今、強い武器になるはずです。
ヘアアイロンや根元パーマももちろん可愛いのですが、毛先のダメージやスタイルの持ちなどを考えると、全頭パーマがうまくかかる方がどう考えても楽ちん!というのは、美容業界誌編集として声を大にして言いたいところ……!
失敗を恐れてチャレンジできていない人が多い今こそ、ぜひ「パーマが得意」で周りと差をつけてみてはいかがでしょうか?
▼一番簡単なパーマ理論をもっと知りたい人へ
『やさしいパーマ新BASIC』 MARBOH(まーぼー)[MAGNOLiA]
A4変型判/120ページ/定価4,620円(税抜4,200円)
JANコード:9784908697098
https://kamishobo.shop-pro.jp/?pid=118551719
AUTHOR /ななしま
月刊NEXT LEADER編集部→月刊BOB編集部→書籍編集部。好きなものは宝塚と蛙亭と、赤井秀一です。