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想像するだけでおもしろいヘアスタイルの歴史 Vol.3

定番のあのヘアスタイルはどう生まれたの? へスタイルのバックグラウンドを知ることで生まれる新しい発想もきっとある。ニューヨークのFashion Weekやミラ・ジョヴォヴィッチなどのヘアカットなどニューヨークで活躍し、2018年に帰国したKatsumi Matsuoさん執筆の「ヘアスタイルの歴史」。3回目の今回は「カールヘア」にクローズアップ!

 

Matsuoさん
Matsuoさん
僕が数年前から書き溜めていたヘアスタイルの歴史を、現役美容師さんやこれから美容師を目指す人にも読んでいただけたら嬉しいです!

Vol.1の記事「編み込みの歴史」はこちらから。

Vol.2の記事「ボブの歴史」はこちらから。

 

photographer: Vikram Pathak Creative Directors: Tracy Wingrove Stylist: Donald Lawrence Hairstylist: Katsumii Matsuo Make up artist: Mahfud Models: Cat Decome, Xiara Waller, Lula t Kenfe

 

枝と粘土から生まれたカール

新型コロナウイルスの影響により、さまざまな業界で変化を求められる年となりました。

コレクションも同様、ロンドンを皮切りに最も伝統と格式を重んじるパリでもデジタル版で開催されることになりました。

コレクションムービーがタイムスケジュールに合わせてストリーミング配信され、ブランドによってはショールームの公開、服づくりのプロセス、バックステージなどの独自コンテンツを公開し、さらには発表する地域も多様化して、デジタルファッションウィークとして動き出しました。

私の初めてのコレクションはアシスタントとしてニューヨークコレクションへの参加でした。

20名ほどのモデルを9ミリのヘアアイロンでタイトカールに仕上げるスタイルで、スピードも仕上がりも多くの課題を感じた貴重な経験となりました。

ヘアアイロンのルーツは紀元前3000年のエジプトで、アルカリを含む粘土を髪に塗り、木の枝に巻きつけたものが始まりだったようです。

その後、ブロンズのヘアカーリングトングも発見され、ギリシャ、ローマ時代でも鉄や青銅の棒でカールをつけたりしていました。

現在のデザインに非常に近い形になったのは、1875年フランス、パリのマルセル・グラトーがマルセルウェーブを考案し、上流階級の御婦人、そして欧州や米国でも流行り、20年代から30年代を代表するスタイルになったのです。

日本においては1904年頃、当時女性たちの間で流行していた「二百三高地」という名前の大きく前に張り出したアップスタイルをつくる道具として、火箸を現在のヘアアイロンのように用い、火で加熱して使っていたようです。

近年、すべてのヘアアイロンはプッシュレバーに変化しています。アメリカ、ヨーロッパではまだ存在していますが、グループハンドルのマルセルスタイルは日本ではすっかり姿を消し、フリッパーも短くなりました。

 

いつの時代もカール=曲線美への憧れがある

40年代以降はアメリカで第二次世界大戦の勝利を祈願してヴィクトリーロールが生まれました。50年代からはLucile Ball 自身の映画で好んで行ったことにより当時の流行になったプードルヘア。

『Vogue』 『Harper’s Bazaar』『Elle』などのファッション雑誌の表紙を飾ったスーパーモデルIvy Nicholsonのピクシーカットにカールスタイル。さまざまなカールスタイルが生まれます。

 

©Mirrorpix/Alamy/amanaimages

60年代はフランス出身の女優でファッションモデル、ヨーロッパを代表するセックス・シンボルとしてMarilyn Monroeと同時期に活躍したBrigitte Bardotのボリュームのあるカールスタイル。

70年代は40の雑誌の表紙を飾ったJerry Hallのフリジーカール。

80年代には『スプラッシュ』で注目された女優のDaryl Hannahなどもやっていたクリンプヘア。

その後はエフォートレスで無造作なカールやビーチウエーブなどさまざまなスタイルが生まれました。

 

進化のヒントは歴史にあり! 歴史から新しいデザインを創造しよう

 

 

このような歴史からもわかるように、時代は回ると言われますがやはり流行は変わっていくものです。

 

私たちの業界は流行に鋭くなければやはりスタイルは古くなり想像力、感性、表現力は衰え、技術の進歩は止まってしまいます。

 

思考や行動が習慣化し、新たな発見や成長が阻害されぬように、次々に変化していくためのヒントは歴史にも隠されています。

 

場所を問わず発信できる今の時代だからこそ、歴史から新しいものを創造してみませんか?

自分の個性をつくり上げ、一歩先ゆくヘアスタイルの流行を発信していきましょう!

今回は大まかな歴史解説となりましたが、世代の異なるお客さまやサロンの先輩後輩などの全く時代背景が異なる人の考え方や価値観を理解するためには、歴史を学ぶことが大変役に立つと感じています。
これまで3回に渡り「ヘアスタイルの歴史」を読んでいただきありがとうございました。

 

 

Profile

松尾克己/1978年生まれ、福岡県出身。1998年、山野美容専門学校卒業。都内サロン勤務後、2006年ニューヨークへ渡米。2009年、Interview Magazineにてヘアスタイリスト・デビュー後、Art Department所属。New York Fashion Weekでは、キー・ヘアスタイリストを務め、Met GalaやTony Awardsなど、レッドカーペットでのセレブリティのヘアスタイリングを多数手がける。アメリカを拠点に雑誌Vogue, Elle, Harpers Bazaarや広告等を中心に活動。またヘアートレンド・アドバイザーとして、大手企業へヘアープロダクトやオーガニック製品事情を提供。2018年現在、日本に帰国。

Portfolio:http://beautydirection.net/artistlist/katsumi-matsuo/

Instagram : https://www.instagram.com/katsumimatsuo/

 

yahagi

AUTHOR /yahagi

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