ボブログ

“制限”や“縛り”がある方が、いいものがつくれる?

 

齋藤さん
齋藤さん
みなさん、こんばんは。favorite gardenの齋藤です! 今日は、作品づくりやサロンワークでぜひ試してほしい“制限”や“縛り”について書きました!

「何を書いてもいい」「何をつくってもいい」というのは逆にいろいろ迷ったり、最終的にまとまりがつかなくなることが多い。なので、こういう時は個人的に“制限”や“縛り”をつけることにしている。

例えば僕の場合、いい作品をつくろうってなった時。コンテストの規定やテーマ、雑誌側からのオーダー内容が「何をつくってもいいですよ」だと、無限の選択肢にまずぶつかる。これをまとめる作業は制約があろうがなかろうが結局出てはくるが、制限がない場合はまとめるのにすごく時間と労力がいる。これはどんなことでも実はそうだろうと思っている。

写真を撮る場合、例えば使える機材、撮影時間が限られているとする。するとその機材でできること、またその撮影時間でできることを探る作業になる。制約がない時は、時間と労力がまず無限の選択肢によって奪われてしまうため、最も重要なそれ以降の思考(深く落とし込むこと)や必要な作業への時間がなくなったり、おろそかになったりすることも多い。無限に時間と労力があり、なおかつ集中力が続き、必ず深く落とし込む作業をできるのであれば問題はないが、最初に制約がある方が一番重要な時間を最大限確保することにつながると思う。

アレもコレもできる、無限の選択肢がある方が、たくさんイメージが湧いてやりやすい人ももちろんいるだろう。けれど僕の場合は、作品を見た人に何かを感じてもらうためには、深みのある写真、作品じゃないと何も届かないと思っているところがあって、長く、そしてじっと足を止めてもらえる写真や作品にするためには、テーマ設定の後に何をどうつくるのかが大切だと感じている。

 

 

遊びのつもりで、自分でつくって撮った写真を雑誌風にしたものなど、写真を撮るという行為は日常茶飯事行っているが、その都度、制約をつけて撮影していることが多い。上の写真はどちらもモデルや色合いに先に制約をつけて撮影をしている。個人的にはその方がまとまりやすいし、その方がいいものができる。

モデルの制約というのは、僕の場合は「きちんと自分が切ったのか」ということ。首都圏のサロンモデルはカットがNGでカットしないこと自体が当たり前になっていると聞くこともある。そこから良い作品をつくって評価されたとしても、僕の場合はやっぱり自分がカットしていないのに自分の作品とは言えない。集客のためではなく、本質を追求するためにという意味で、このモデルの制約は外したことがない。

集客も売り上げももちろん大切で、僕は売り上げの部分で才能があるとは思っていないし(笑)、売れることを目的にしていないところがあって。本質を求めてやっていれば、長く生きていけると信じているということが大前提としての意見だ。(もちろん、いろんな考え方があっていいと思う。)

 

美容師としての自分の売りを“制限”から生み出す

次に、「制限がある方がいいものがつくれる?」という思考回路で思いついたのが“美容師としての自分の売り”に関してだ。例えばカットが売り、カラーが売りと絞ってお客さまが選択しやすくする行為をマーケティング観点から実行している美容師は多い。これをとことん絞った方がいいと思う、例えばカットが売りの人はカットの何が売りなのか? 前髪カットのバランス感では絶対に負けないとか襟足のおさまりは誰よりも自信があるとかいう特化した売りポイント。制約というより特化という言葉の方が適切だと思うが、ある意味制約でもあると思う。

例えば「襟足のおさまり」というテーマ=制約を貸した時、いろんなタイプの襟足のおさめ方、削ぎ方、長さの残し方を研究することができるだろう。「売りにするから」と考えることと「制約をかける」ということは、似てるようで別物だが、どちらにしても多くのお客さまに支持される技術を持つ、良い美容師へと近づくことは間違いない。

だから作品でもサロンワークでもまず少し窮屈な制約をかけてみる。そうすれば、他の人よりアイデアが一歩進んで斬新に見せることができたり、深くさぐらないと習得できない技術を習得できたりすると思う。

写真を撮る時に構図はこれじゃないとダメと決める、シャッタースピードに制約をかけるのでもいい。

齋藤隆志[favorite garden(フェイバリット ガーデン)/鳥取県・米子市、広島県・広島市]

さいとうたかし/1976年1月15日生まれ、鳥取県出身。松江理容美容専門大学校通信課程修了。2004年、鳥取県米子市にfavorite gardenをオープン。2017年広島に2店舗目を出店。JHAファイナリストの常連で2015年、2019年にはAREA STYLIST OF THE YEAR、中国・四国エリア賞を受賞。facebook、instagram、noteなどのSNSで発信する歯に衣着せぬ物言いは多くの美容師の指針となり、つくりだされる作品は多くの美容師ファンを持つ。

齋藤 隆志(favorite garden)

AUTHOR /齋藤 隆志(favorite garden)

「虹プロ」にハマり、NiziUからTWICEに飛び火してそのままONCEになりました(笑)

この記事が気に入ったらいいね!しよう
Facebook Twitter Line

PICK UP BLOG

\ ボブログTV 公式SNSで最新情報をゲット! /